86 光泰 なかなくなる
僕はいつの間にか寝ていた。
夢に明智光秀は出てこなかった。
初菊はずっと側に居てくれたようだ。
初菊 「おはようございます。十次郎様」
初菊は微笑んでいる。
光泰 「歳はいくつになった?」
初菊 「十八才になります」
十次郎「ご趣味は?」
初菊 「お菓子作りでございます」
十次郎「好きな人は?」
初菊 「十次郎様でございます」
光泰 「結婚してください」
初菊 「よろしくお願いします」
僕は二度目のプロポーズをした。
フフフッハハハハハハ。
皆さん聞いて下さい、僕は大人に成りました。
嬉しくて一話飛ばしたみたいだ。
森お茂「おめでとう御座います」
光泰 「ありがとう・・・・いつからそこに居た!」
森お茂「朝からで御座います」
光泰 「初菊を追ってきたのか?」
森お茂「左様で御座います」
光泰 「ここは何処じゃ?」
森お茂「本能寺で御座います」
光泰 「もしかして聞いておったのか?」
森お茂「全て聞こえておりました」
光泰 「声、大きかったか?」
森お茂「よく、聞こえていたそうで御座います」
光泰 「もしかして家臣に聞かれていたか?」
森お茂「皆、流石若様じゃと、申しております」
やってしまったーーー!!!
本能寺で本能の赴くまま、明智光秀を殺害したにもかかわらず、
みんなに聞こえるくらい大きな声で、初体験をしてしまった。
だって、ずっと若い二人が、おあずけ食らっていたんだもの。
そりゃ大きな声になりますよ。すんげぇー気持ちが良かったもの。
お互いの名を呼び合いながら、あえぎ声がいつの間にか大きくなっていた。
森お茂「若様の声が、寺中に聞こえたそうで御座います」
どうやら僕は、気持ちいいと大きな声を、出してしまう癖があるようだ。
光泰 「口止めせねば成らぬな」
森お茂「相談するなら、若い弥平次様になさいませ」
光泰 「初菊、ちょっと言ってくる」
初菊 「必ずお願い致します」
初菊は赤くなっていた。
明智秀満「お諦め下され」
光泰 「まだ、なにも言うてはおらぬでは無いか」
明智秀満「それがし一人の口なら、如何様にもなりましょう。
ですが皆が知ったとなれば、その口を止めるのは、難しく御座います」
光泰 「しかし、恥ずかしいではないか」
明智秀満「なにを今更、申しておるのです。
若様の悪名も、不動の物になりましょう」
ねえ、もしかして怒っている?
光泰 「とにかく口止めじゃ、皆に知らせよ」
明智秀満「なんとお知らせ致しましょうか?」
光泰 「昨晩の事を話した者は、磔、獄門、島流しにするぞ。と」
明智秀満「若様が当主に成られて、初の下知になりますな
ところで、印状(公文書)に残しますかな」
光泰 「残すな!!」
僕の当主としての初仕事は、もっとも恥ずかしいものだった。
ちなみに口止めには成功しなかった。
その後、罪に問われたものは誰一人いなかった。
罰すると余計に広まると見舞いに来た、黒田官兵衛に教えてもらった。
広まるの早くねーか。




