81 光泰 倒れる
後は明智家の処分か・・口出しするのは無理だよな。
一応、謀反を防いだのだから悪い様にはしないだろう。
みんなが待つ本能寺で返事を待った。
六月三日
初めに来たのは、羽柴秀吉と黒田官兵衛と家臣数名だった。
光泰「どの様な沙汰に成りましょうか?」
秀吉「知らぬ」
光泰「もめておるので御座いましょうか?」
黒田「その様で御座います」
明智の領地は広い。京都の半分以上の領地と堺に繋がる河川周辺、
美濃にも小規模だが明智領が有る。石高は三十五万石(未検地は含まず)
与力も旧幕臣や名門の家柄であり、家臣や親族を合わせると五万人位いる。
(注:正確な数値では無い)
秀吉「御館様(信忠)が厳しくてのう、
上様(信長)が穏便に話を進めておるくらいじゃ」
織田信忠は、初めて命を本確的に狙われたのである。
信長はこれまで、いくつもの修羅場を越えてきた。
黒田「無理も御座いませぬ。御館様はまだお若い。
この先、同じ事が起きぬよう、締め付けたいので御座いましょう」
秀吉「やり辛いお方じゃ」
織田信忠は歴史上、活躍はほとんどしていない。
幼名が奇妙丸、子供が三法師ぐらいしか記憶にない。
黒田「あまり期待しないほうが宜しいでしょう」
秀吉「おのれを弁えず、佐久間の阿呆が、御館様に諫言しておってのう」
佐久間?何故その名が出る??
光泰「佐久間は失脚して、高野山に行かれたと聴きましたが・・」
黒田「嫡男の甚九郎(信栄)殿で御座います。
今年から、赦免され御館様に仕えておられるようで」
光泰「甚九郎殿に、恨まれる筋合いは無いと思いますが・・・」
黒田「もしかすると甚九郎殿は、日向守(光秀)の諫言で、
失脚したと思うておるやも知れませぬ」
秀吉「明智の領地が、欲しいのだけじゃろう。父親に似て、欲深い。
茶だけ、立てておれば良いのに」
佐久間甚九郎ねえ・・要注意人物だな。後でメモっておこう。
光泰「ところで、羽柴様は何事で、こちらに来られたので御座いましょうか?」
秀吉「官兵衛、説明せよ」
黒田「我々は兵の撤収と、重臣の監視を命じられて御座います」
秀吉「あそこに居っても仕方がないからのう」
その後、明智の兵は取り調べの後に、重臣以外を残し各地へ帰っていった。
僕が、坂本城から連れてきた者は、最初に帰っていった。
茂兵衛も帰っても良いと言ったのだが、
最後まで、お供致しますと張り切っている。
光泰 「役目はもう無い、早う帰れ」
茂兵衛「近習たる者、死ぬまで離れては成らぬと、
爺様は申しておりました」
茂兵衛は失敗を取り返す為、帰りたくないのか。
光泰 「帰れ」
茂兵衛「今帰れば、母上に殺されます」
お茂さん怖いか・・初菊とお茂さんにお土産を買っていこうかな。
八ツ橋は無いのかな?お土産なら、ひよこ饅頭か?
光泰 「では、鶏を買ってこい。ひよこでも構わぬ」
茂兵衛「鶏鍋で御座いますか?」
光泰 「罰として、おぬしが育てるのじゃ。
卵を生むまで、近習には戻さぬ。飼育日記も忘れるな」
茂兵衛「それは、あんまりにも・・・(軽すぎないか?)」
光泰 「不服か?」
茂兵衛のワクワク鶏飼育生活は、こうして始まった。
黒田「(明智は終りじゃな)」
秀吉「あれは要らぬな(なにか忘れておるような?)」
茂兵衛は知らない内に、羽柴家への仕官を閉ざされた。
六月四日、二条城に呼び出された。
織田信長と信忠がいる。
蘭丸が、今後の処分を書いた文を読み上げた。
蘭丸「近江坂本城以外、召し上げる。
丹後国の領地は当分の間、羽柴筑前守に任せる」
近江の領地以外、失くなるのか・・仕方ないか。
蘭丸「これより、明智十次郎光泰に明智家当主及び、坂本城を任せる」
ああ・・そうなるか、まあいいや。
明智光秀も坂本城の城主から再スタートだし。
光慶になんて言おう。
蘭丸「以下の者、五名切腹を申し渡す」
五名か・・家老全員切腹か。
蘭丸「明智 治右衛門 光忠」
叔父さんゴメン。
蘭丸「明智 弥平次 秀満」
倫子姉さんに、なんて言おう。
蘭丸「斉藤 内蔵助 利三」
小さい子供が沢山いるんだよな。
蘭丸「藤田 伝五郎 行政」
この人は大丈夫、子供も元服済みだし。あと一人誰だっけ?
蘭丸「明智 十五郎 光慶、以上」
ん?最後が変だぞ。異常だぞ。
光泰 「あのう、兄上の名が呼ばれた気がしたのですが?」
信忠 「当然であろう。不服か?」
ハァ?光慶は謀反に参加していないだろうが!!
光泰 「あっ兄上は、謀反に加担しておりませぬが?」
信忠 「嫡男ならば、責任を取るのが道理であろう」
光泰 「おっ・・お待ち・・くださ・・・・・・・・・・・・・」
僕は突然、意識を失った。




