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79 光泰 うつ

六月二日、夕方、本能寺正門


光泰「父上は居られるか!!」

家臣「若様」


家臣は、居ないはずの僕を見て、驚いている。


光泰「通せ話がある」


僕は無理やり本能寺に入った。


光秀 「なぜ、お主がここにおる」

光泰 「父上は、正気ですか!!!」


僕は語気を強めた。


光泰 「なぜ、謀反などを起こしたのです!!!!」

光秀 「お主には、解らぬ」

光泰 「左様ですか」


問答無用か、説得は無理だな。

早く終わらせないと信長がキレる。


マントの中に隠し持っていた、クロスボウを取り

明智光秀を狙った。勝負は一瞬で決まった。

心臓はかすれたが、肺に当たり血が流れている。


明智秀満「何をなさる!」


家臣達が刀や槍を一斉に構えた。


光泰 「狼狽えるな!!!」


家臣達が一瞬、止まった。


光泰 「父上は、乱心なされておる!!!

    武具を捨て、上様の沙汰を待て!!!

    お前達が不服なら、わしの首を跳ねよ!!!

    逃げも、隠れもせぬ!!!」


僕は家臣達に囲まれながら地面に座った。


光泰  「もうすぐここに、羽柴の軍勢が押し寄せて来る。

     我らに、勝ち目は無い!!」

明智光忠「まさか」

光泰  「父上は、侮りすぎじゃ」

家臣  「我々は、この後どうすれば」

光泰  「後はこのまま、羽柴の軍勢と一戦交えるか

     上様に降伏し、下知を待つしかあるまい」

明智秀満「それでは、我々は如何なりましょう?」

光泰  「上様には事前に、わしの命を引き換えに、

     お前達の助命を願えておる」


信長のマントを、証拠に見せた。


光泰 「皆、わしに従えば悪いようにはさせぬ」

    

明智光秀が、最後の時をむかえようとしていた。


明智秀満「殿!」

明智光秀「いっ・・何時から気づきおった・・・」


正直に話そう。


光泰  「四百年前から」

明智光秀「そうか・・源平の頃からの定めか・・・」


そうなるか。


光泰  「父上、最後に言い遺す事は?」

明智光秀「・・・・・・」


明智光秀は、息を引き取った。


結局、謀反を起こした理由は、解らなかった。


光泰  「父上は、謀反が成功すると思っておたのか?」

明智光忠「存じませぬ。我々も昨日の朝方に、聴き申した」

光泰  「朝じゃと?それでは、碌な準備も出来ぬでは無いか。

     いくら武具を揃えても、謀反人の手助けなど士気が下がろう

     何故お止めせなかった」

明智秀満「今だから申しますが殿に対する、織田の所業は余りにも御無体、

     この無念を晴らしたく、皆もそう思うておりましょう」

光泰  「それは、父上個人の恨みであろう。

     おぬし達が付き合う必要はあるまい」

明智秀満「しかしながら、ここで討たねば、

     明智家の先は失くなっておりましょう」

光泰  「そうか、父上は良い家臣に恵まれたのう」


明智秀満に説得は、最初から無理だったようだ。他の家臣もその様だ。

僕が、謀反を話していても止めなかっただろう。

薄々気付いていた。家臣から、すごく評判いいんだもの。


光泰  「誰か、降伏を伝えに行け」

伝令  「なんと、お伝え致しましょう」

光泰  「明智光秀”のみ”死亡、全て、終わったと伝えよ」


伝令は、信長の待つ二条城に向かった。


皆、一言も喋ろうとしない。僕を、じっと見ている。

しかし、一万人の血走った家臣達に囲まれるのに、

心の中は落ち着いていた。


家臣達が、余計な事を考えないように、会話をするか。


光泰  「誰か父上が言いそうな、辞世の句を考えよ」


斎藤利三「順逆無二門、大道徹心源、五十五年夢、覚来帰一元」


僕は、斎藤利三が言った明智光秀の辞世の句を、

「武人として、正道を貫いた。55年生きて、思い残すことは無い」

と解釈した。(何故漢文?)


光泰  「おぬしら、わしを侮っていたのではないか?」

斎藤利三「いえ、そのような事は・・・」

光泰  「わしが、元服したての子供で、菓子や玩具ばかり作り、

     武芸が苦手で口ばかり達者で、

     生意気な小僧と思うておったのであろう」

斎藤利三「もしや、演技をなされていたので、御座いますか?」

光泰  「まともに弓も扱えぬ、軟弱者なのは、正しいがのう」

家臣  「その弓は、一体なんでございましょうか?」

光泰  「そう言えば、家老と兄上達以外に、見せた事なかったかのう。

     これは異国の弓じゃ。唐土では弩弓、

     南蛮ではクロスボウと呼ぶ物じゃ」

家臣  「見せて頂くには、参りませぬか?」

光泰  「構わぬぞ。なんならそれで、わしを撃ってみるか?

     上手く当てろよ。苦しみたくないからのう」

家臣  「お戯れを。結構に、御座いまする」


ドン引きさせたかな?まあいいや、本当に撃たれたら嫌だし。


斎藤利三「先程、若様の命と引き換えで、我々の助命して戴けると、

     お聴き致しましたが、上様が許すとは思えませぬが・・」

光泰  「明日になったら、とある噂を都中に、流すよう仕向けてある」

斎藤利三「どの様な噂で、御座いましょうか?」

光泰  「{賊の襲撃が、十二歳の童に予言されたらしく

     織田様を助けたらしいぞ。褒美に領地を戴くらしい}

     と流れるのじゃ」

家臣  「そのような噂で、我々は許されぬのですか?」

光泰  「これで約束を違えれば、御館様の評判はどうなる。

     助けても褒美もやらぬでは、仕えても得には成らぬとなろう」

斎藤利三「若様が失敗した時は、

     どうなさるおつもりで有ったで御座いましょう」

光泰  「その時は、羽柴が三万の兵を引き連れて、都は火の海になると、

     噂を流して、明智家の選択を、和議を結ぶか、

     四国に逃げ再起を図るか、無謀な戦をして滅ぶかの

     どれかにする、手筈じゃったのじゃ」

明智秀満「羽柴が三万の兵を集める事が、出来ましょうか?」

光泰  「羽柴は毛利と同盟しておるぞ、知らなかったのか?」

明智秀満「なんと!毛利と同盟したとは、信じられませぬ」

光泰  「毛利に割いていた兵が、明智に向かって来たら勝ち目がなかろう。

     毛利は天下に興味は無く、自分達の領地さえ守れれば良いからのう」


明智秀満「なぜ若様は、そのような事をご存知で御座いますか?」


さあ、なんて言ったらいいかな?


光泰  「爺が、夢枕に立ってのう、

     父上を謀反人にしてはならぬといわれてのう」

溝尾茂朝「森殿がで御座いますか。死して明智家を護るとは、

     これ程、忠義に熱き御仁でしたとは思いませぬでしたぞ」


明智家の、爺の評価は結構低い。まあこれで、多少は上がったかな。

その後、僕がどの様にここまで来たのか詳しく話し、折り返しの伝令を待った。


光泰  「しかし遅いのう。伝令はもう着いているじゃろう」

斎藤利三「もしや、罠だと思われているのでは無いでしょうか?」


それから、少したった後、織田の伝令がやって来た。


伝令  「降伏した証拠を見せよと、申されております」

光泰  「信じてもらうには、父上の御遺体を見せるしか無いかのう」

明智秀満「首を差し出すので御座いますか?」

光泰  「流石に斬るのは気が引ける。そのまま運ぶとするかのう」

明智秀満「では、準備に取り掛かりまする」

光泰  「寺に置いておれば、葬式の手間が省けたのにのう。

     坊主が来るだけで良かったのに」 

明智秀満「宗派が違いますぞ」

光泰  「細かい事を気にすると(光秀のように)禿げるぞ」

明智秀満「殿と同じなら、本望で御座います」

光泰  「中々、言いよるわ」


これから、明智光秀の遺体を二条城に運び、どれだけ好条件を出させるか。

この大博打どう転ぶかな。

本能寺の変編終わり

次は、後始末の話になります

話が予定より長くなったので区切ります


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