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76 光泰 信用されず

天正十年六月二日、早朝。

運命の日が、とうとうやって来た。


光泰 「いよいよじゃな」

茂兵衛「もう失敗は致しませぬ」


茂兵衛の仕事は、もう無い。

今更、何か別の役目を与えても仕方ないので、

僕の護衛に付いてもらう。


予定では今頃、秀吉の軍勢が京に来ても良いのだが、

まだ現れては居ない。権兵衛も失敗したか?


光泰 「皆の者、解っておるな。

    賊共は、夜討を仕掛けてくるであろう。

    我らは上様を御守りし、無事に安土にお戻り致す手助けを行う。

    だが、予想外の事態も起こるやも知れぬ。

    気を引き締めてかかるのじゃぞ、宜しいか!!」


全員 「「「「「ハッ!!!!」」」」


店主 「作戦名は如何、致しましょうか?」

光泰 「付けねば成らぬか?」

店主 「折角で御座います。皆の士気が上がる様な

    良い名をお付け下さいませ」


コレ、無茶振りだよな。良い作戦名か・・・英語でいいかな。

ドイツ語の方がカッコいいけど、この時代のドイツが、どんな国か全く知らない。

たぶん王様が居るはずだけど、世界史は詳しくない。

ルソーは、ドイツ人だったような気がする。


光泰  「オペレーション、トリックスター」

三宅綱朝「オペッケペー、鳥食う酢田で御座いますか?」

光泰  「どういう耳をして居るのじゃ?

     伴天連の島国、イングランドの言葉じゃ。

     オペレーションは作戦、トリックははかりごと

     スターは星と言う意味じゃ」


三宅綱朝「伴天連の言葉で御座いましたか」

光泰  「伴天連と言うても、我々が知っておる者とは宗派が違うから

     伝わらぬかも知れぬがのう」

三宅綱朝「若様は、私も知らぬ事を良くご存知で、流石で御座います」


現在、日本に居る宣教師はカトリックであり、

イングランドはプロテスタントの国のはずだ。・・たぶん。

なので、ポルトガル人のフロイスや、

イタリア人のヴァリニャーノとは敵対している。

後の事を考えて、僕に興味を持ち接触してきたら、色々忠告しておきたい。

ガラシャの件もあるし、メロンも諦めていない。


さて、準備も終わったし、本能寺にむかうか。

茂兵衛に名誉挽回の機会を与えておくかな。


光泰 「茂兵衛も、わしの近習として一言申せ」

茂兵衛「皆、引き締めて懸かれ」


その時、茂兵衛以外、みんなが思った。


お前が言うな!!!!!!


光泰 「始めよ」


僕の号令と共に、旗付け係は作業に係り、

護衛係は出発する為、隊列を組んだ。


三宅綱朝「若様、服部平次と申す者が訪れましたが、如何致しましょうか?」


光泰 「なに!!平次じゃと、すぐに通せ。

    護衛係は、待機させよ」

三宅綱朝「畏まりました」


まさか、服部平次が京に来るとは。

徳川家康に何かあったか?


平次 「若様、服部様より、言伝で御座います」

光泰 「半蔵殿がか?」

平次 「京の動きを、駿府に知らせる様、

    忍びの者を十名お預け致すと、申されまして御座います」


成る程、京の動き次第で、どの勢力に付くか見き訳たいのか。


光泰 「徳川様は逃げおうせたか?」

平次 「今頃、船の上で御座います」


ん?伊賀越えは?


光泰 「船で帰られたのか?伊賀の山道を越えて帰らなかったのか?」

平次 「伊賀に向かわれたのは、服部様と穴山様だけに御座います」


まあ、そりゃそうだよな。

危ない山道を行くより、船で帰った方が安全だもの。

半蔵さんご免なさい。手柄失くしちゃったかも。


光泰 「そうか無事なら良い。

    して、忍びの者はどの様に知らせに参るのじゃ?」


平次 「半日ごとに一人ずつ、駿府に向かう手筈と成っておりまする」


成る程、忍者の人達は、十二時間ごとに徳川家康の居る、駿府に向かうのか。

そうなると、五日間の京の情報が、徳川家に届く訳か。


光泰 「忍びの者達には、わしの頼みを聞いてくれるかのう?」

平次 「なにかさせるおつもりで?」


光泰 「ちょっと耳を貸せ(ゴニョゴニョ)」

平次 「では、この様に(ゴニョゴニョ)」

光泰 「それは、良いのう。細かい事は平次に任せる。

    宜しく頼んだぞ」

平次 「畏まりました」


服部平次君は、忍者の居る所に向かった。


茂兵衛「なにを申し付けたので御座いますか?」

光泰 「大した事ではない。ただの御使いじゃ」


忍者達は連絡するだけであり、なにか他の事をする訳ではない。

本能寺の変は今夜。つまり、明日まで七人は暇なのである。

ならば、利用しようと考えた。


(一人目・二日七時、二人目・二日十九時、ここまでが謀反前。

 三人目・三日七時出発、この人が本能寺の変を知らせに行く)


ただ、僕が命令出来る訳ではないので、騙すかたちになるが、

半蔵さんの命令で、僕の有利に成るような噂を流して貰う


内容は服部平次君に任せた。

この後、全て僕の思惑どうりに動くとは限らない。

下手をしたら、いつの間にか不利な状況に、成っているかも知れない。

平次君の能力なら、臨機応変にやってくれるだろう。

元々、予定外の援軍だから、少なくとも不利に成ることはない。


服部平次君は、結構優秀だ。

短期間だが解った事は、少なくともあの二人より優れている。

まあ、斉藤家に凄いのがいるけど。(八才の時の武勲てなんなんだ?)


光泰 「待たせたな、本能寺に向かうぞ」


僕達は予定より遥かに遅く、本能寺に向かった。


屋敷は京の都の下京に位置していて、本能寺は南東だ。

御所に続く道を挟んで反対側に有る。明らかに遠回りしている。


茂兵衛「あのう、もしかして直ぐに知らせに行く事も

    出来たのでは御座いませぬか?」


それは正しい。これ程、重要な事は早く知らせるべきだ。


光泰 「皆の者、余計な事を言うで無いぞ。

    茂兵衛の命が罹ておるからのう」

 

早く知らせる役目だったのは、茂兵衛君、あなたですよ。


光泰 「茂兵衛は、上様に切られる様、絶対に余計な事を言うでないぞ」


茂兵衛は、劣っているのでは無い。深く考えていないのである。

知識、教養、記憶力は人並みに有る。

細かく命令すれば、出来る子である。

ただ、独創性が欠けているだけ、ロボットだと思えばいい。





本能寺に着いた。意外と近かった。

門には鶴の寺紋が有る。

浪士組の報告どうりだ。地図を作らせた甲斐があった。


光泰「日向守の次男、明智十次郎光泰でござる。

   上様に至急、知らせねば成らぬ重大な話がござる。

   急ぎ、お取次ぎお頼み申す」


門番「何事なにごとか、説明致せ。

   それに、そなたが誠に明智殿の御子か解らぬ」


光泰「ここで言える話では御座らぬ。何処に間者が居るか解らぬ。

   お疑いなら、面識が有る森蘭丸殿に、お取次ぎをお願い致す」


門番「暫し待たれよ」


十分ほど待った。


蘭丸「これは光泰殿、何事でござるか?」

光泰「お耳を」


僕は他の者に聞こえぬ様、小声で話した。


光泰「明智光秀、謀反」

蘭丸「なに!!冗談ではあるまいな」

光泰「この様な事、冗談では申せませぬ。

   此度、連れて来た兵にはまだ、知らせては居りませぬ。

   皆を騙して、護衛に付けましておる故、慎重にお願い致す」

蘭丸「詳しくは、上様に申すが良い。

   他の者は外に待たせよ」


僕は一人、本能寺に入った。


蘭丸「此方で、お待ち下され」


僕は、仏像の前で待たされた。

坂本城を出発して、二十時間経過していた。

六月二日の夜とまでしか、解っていないから

日が変わる瞬間が、最も早いはずだ。

本能寺の変まで早くとも、十六時間後かな?

・・・逃げれるか?


織田信長と、蘭丸、黒人の弥助、少年二名がやって来た。


信長「プリン小僧、説明致せ」


プリン小僧って何?変なあだ名を付けるなよ。

それよりも、説明を聞いてる場合か?

急がないと追いつかれるよ。


光泰「明智光秀が明日の夜、上様の寝所に攻め入りに参りまする」

信長「どうやって知った?」


聞かれると思ったよ。


光泰「まずは、こちらを御覧下され」

信長「なんじゃこれは?竹筒に糸を付けて?」


僕は夜、寝むれなかったので、こっそり糸電話の改良をしてみた。

旗を付ける竹の端っこを切って、コップの代わりにして

耐久性を高めた改良版。たけいとでんわー(ドラエもん風)


光泰「声を遠くに、飛ばす玩具で御座います」

信長「玩具で遊んでる場合か!!たわけ!!」

光泰「この玩具の性能を試していた時、聞こえてきたので御座います。

   明日、上様を亡き者に致すと」

信長「この様な物で、聞こえる訳なかろう」

光泰「では、お試し下さいませ。

   片方が竹筒に耳に当て、もう片方が話してみれば解りまする。

   糸が弛まない所まで、離れて下さいませ」

信長「蘭丸、試してみよ」


まず僕と蘭丸で、竹糸電話を試した。


光泰「もしもし、森殿。聞こえますか?」

蘭丸「聞こえまする」


信長「わしに貸せ!」


信長は蘭丸から、糸電話を取り上げた。

さて、なんて言おう。失礼の無い言葉にしなくてはならない。


光泰「上様、聞こえておられますか?プリン小僧で御座います」

信長「なんじゃこれは、聞こえるではないか」


流石に驚いてるな。流石に原理は解らないだろうな。


光泰「お解り頂けましたでしょうか?」

信長「これで、光秀の企みを聞いたのか?」

光泰「いえ、これで聞こえたのは、父上の声では御座いませぬ。

   父上の元に来た、何者かの声で御座います」

信長「誰かは解らぬのか?」

光泰「知らぬ声で御座いました」


もしかしたら、黒幕がいるかも知れない。

もしもの為に、それとなく匂わせておく。


信長「兵を連れてきたそうじゃな。

   もっと早くに、知らせる事も出来たのではないか?」


チッ!!気付かれたか。


光泰「伝令を送ったのですが、もしかしたら逃げてしまったのやも知れませぬ」

信長「そんな役立たずは、切ってしまえ」


茂兵衛の事は、絶対に黙っていよう。


光泰「ところで、早く逃げないので御座いますか?」

信長「わしはまだ、おぬしの言う事を信じておらぬ。

   これも光秀の謀略かも知れぬ」


わーーーー疑われてるーーーーー。


光泰「まさか、磔にはしませんよね」

信長「してほしいか?(ニヤリ)」

光泰「したら化けて出ます故、楽しみにして下さいませ(ニヤリ)」

信長「わしは今まで、物の怪を見たことがないがのう(してみるか?)」


蘭丸「今日の御予定は、如何致しましょう?」

信長「勘九郎を呼べ」


勘九郎?誰だ?中村か?


蘭丸は、近くにいた少年に指示を出した。

顔が似ていたので、弟だろうか?


信長「これは、何という名じゃ」

光泰「糸電話と申します」

信長「ほう、糸伝話か。何故、聞こえる?」

光泰「まずは竹筒に~(以下省略)」


僕は、解る範囲で糸電話の説明をした。


信長「なるほどのう」


今、気付いたのだが織田信長の顔が、

半年前に見たより太っている気がする。


??「父上」


誰か来た。勘九郎か?

織田信長を父上と呼べるのは、息子の信忠か?


信忠「なにを、呑気にしておられます。

   早う、戦の準備をせねば成りませぬぞ」

信長「少し落ち着け。今ここで、慌てふためいて逃げては、

   公家共に笑われるぞ」

信忠「悠長な!だから前々から申したので御座います。

   京の守りを強化すべきだと」

信長「終わったら好きに致せ。それより早う岐阜に戻り、

   勝家と一益に、上杉と北条との和議を結び、安土に参陣致せと」


柴田勝家と滝川一益か。連絡するべきだったかな?

秀吉の事は、言わなくていいか。

もしかしたら連絡が、届いてないかもしれないし。


信忠「大阪の三七(織田信孝)は如何致しますか?」

信長「三七は、余計な事をするやも知れぬ。

   明智と長宗我部の謀かもしれぬから、守りを固めよと伝えよ」

信忠「三介(織田信雄)は、参陣させなくて宜しいですね?」

信長「けして知らせるな!」


三七は織田家三男の、信孝である。

評判は、悪くは無いのだが野心家で扱いづらい人物だそうだ。

三介は織田家次男の、信意である。(注:後二回、改名します)

評判は凄く悪い。完全にアホの子。おかげで信孝が兄だと間違われている。

勿論、僕は二人に会った事は無い。


しかし妙だ。織田信長と言えば、即断即決のイメージがあるのだが、

何故かすぐ逃げようとしない。年をとって判断力が鈍っているのだろうか?

四十九歳だもの、仕方ないか。


信長「後は任せたぞ」

信忠「畏まりました」

信長「二条城に移るぞ」


ん?二条城?マジで逃げないの?


光泰「あのう、上様は逃げないので御座いますか?」

信長「わしはまだ、おぬしの話を信じておらぬ」


まあ、そうですよね。

いきなり明智光秀謀反と言われても、信じる人は居ない。

なぜなら、光秀はものすごく評判いいんだもの。

領民に慕われ、家臣思い、知勇に優れ、戦国時代ではイケメンらしい。

まさに完璧超人である。欠点は髪の薄さだけである。



外に待たせた兵達に、今後の話をしないといけない。

寺の外が騒がしいな。

ん?茂兵衛と誰かが揉めているぞ?


茂兵衛「お美与殿には黙っていてくだされ」

家臣J「お美与との話は、諦めよ」

茂兵衛「そこをなんとか」

家臣J「くどい」


光泰 「どうした、こんな時に揉め事を起こすでない」

家臣J「若様、申し訳ござらぬ」

光泰 「何事じゃ」

家臣J「拙者の妹、お美与との縁談を、断っていた所で御座います」


縁談だと・・茂兵衛、やることはやっていたのね。


光泰 「茂兵衛と、おぬしの妹の縁談じゃと・・初耳じゃが」

茂兵衛「喪中なので遅れましたが、本来なら今頃、

祝言をあげる予定で御座いました」

光泰 「聞いておらぬ。まだ一人前にもかかわらず、嫁をとるきか」

家臣J「近習に抜擢されたから、許しておったので御座いますが、

    今回の失敗で、妹を嫁がせるべきではないと思うたので御座います」


茂兵衛に結婚は早い。余程しっかりした嫁でないと駄目な気がする。

甘やかすのは、もってのほか。かかあ天下が、ちょうどいい。


光泰 「茂兵衛、諦めよ」

茂兵衛「そこをなんとか・・」

家臣J「諦めよ」

家臣K「諦めよ」

家臣M「諦めよ」

信長 「諦めよ」

茂兵衛「部外者は口を、はさむでない」

光泰 「あ!上様」

茂兵衛「誰じゃ!!」

光泰 「この阿呆、上様じゃ。頭が高いぞ」

信長 「切ってやろうか?(笑)」

光泰 「家臣の失態は父上(光秀)の責任、どうかこの者を、お許しくださいませ」

茂兵衛「真っ事に、申し訳御座いませぅぬ」


こんな時に、メッチャ噛んでいる。


信長 「まあよい。役立たずでも人質に出来るからのう」


ん?人質?嫌な予感がするのだが。


光泰 「こやつに、人質の価値は有りませぬが?」

茂兵衛「なにを仰っしゃりまする。

    若様の近習たるもの、人質になる覚悟は出来ております」


馬鹿!近習だとバレると本当に人質にされるだろ。


信長 「こんなうつけを、近習にしておるのか?」

光泰 「実はこの者は、森家の出で御座いまして、

    上様を見習い、近習にしたのですが、

    蘭丸様の縁者なら使えるであろうと、思うたので御座いますが、

    この通りで御座います」

蘭丸 「親戚なのか?」

光泰 「ですので、もしもの時は蘭丸様の家臣に、

    してやって下さいませ」

蘭丸 「断る!!」


茂兵衛、再就職断られる、残念。


この時、坂本城の家臣一同は思った。

茂兵衛より頑張ろうと。

僕達は二条城に向かった。


しかし縁談ねぇ。

しまった!初菊とキスすればよかった。

御守りだと言ってしてしまえばよかった。

折角のチャンスを逃した。


光泰 「茂兵衛、もしやお美与とやらに、

    もう手を出してはおらぬな?」

茂兵衛「帰ってきたら祝言をあげようと、約束しただけで御座います」


それ、死亡フラグじゃないかな。

僕だってしたかったけど、わざと約束していないぞ。


光泰 「そうか・・死ぬなよ」

茂兵衛「勿論、死ねませぬ」


爺、ゴメン。孫の茂兵衛に、死亡フラグが立ちました。

今の内に謝罪します。


信長 「なにを拝んでおる」

光泰 「上様の身が守られますよう、拝んで居ります」

信長 「たわけた事を」


本能寺の変まで、早くて後十二時間。

まさか大河ドラマ、明智光秀になるとは。

たぶん光秀のキャラ設定が、かけ離れているので

違和感があるかも知れませんが、おおめに見て下さい。

このお話は、コメディーです。シリアスではありません。

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