71 光泰 動く
五月三十日、早朝
明日の夜に、本能寺の変が始まる。
何時スタートに成るかは知らない。
光泰 「この文を、森蘭丸殿に届けよ」
この手紙は以前に書いた物とは別である。
茂兵衛「手妻は手伝わなくて、宜しいので御座いますか?」
光泰 「京の都にも届く手妻(手品)じゃ。
その知らせを、文に書いておる」
茂兵衛「左様で御座いますか」
光泰 「その後は、上様か蘭丸殿の下知に従え」
手紙の中身はシンプルに、[明智光秀 謀反]
余計な情報は入れていない。
信長がこの手紙を信じるかどうか解からない。
判断に迷った場合、明智光秀の軍勢がどこに向かうか、
様子を見るために物見を送るはずだ。
もし信じなかった時は、奥の手を使うしか無い。
次は、光慶だな。
早まった真似をしないように、しなければならない。
やはり、あの人に頼むか。
武市 「若様、折り入っての話とは何で御座いましょう」
初菊の叔父、武市半兵衛太郎は今年から斎藤利三の家臣から、
坂本城付きの明智光秀の直臣に成っている。
次男の嫁の実家が陪臣では、色々扱いに困るらしい。
光泰 「今から亀山城の兄上の所に、向かってくれぬか」
武市 「何か、言伝で御座いますか」
さて、どう言う説明をしようか。
光泰 「実は今、父上の周りに謀略を張り巡らせている者がおる。
そなたは、万が一父上が亡くなり亀山城が落城した時に、
兄上が切腹せぬよう見張って欲しいのじゃ」
武市 「そのような大役、他の者に頼むべきでは?」
光泰 「わしの叔父上に成るお方の言葉であれば、
兄上は素直に聞くかも知れぬ。他に人も居らぬ。
兄上の命さえ助かれば良いのじゃ。」
武市 「解りました。我が命をかけてでも、
この役目必ずやり遂げましょう」
光泰 「気負いするなよ。逃がせば良いからのう」
普段はのんびりした性格なのに、妙に張り切りだしたぞ。
そう言えばこの人、最近警備以外仕事をしていなかったぞ。
今まで伝令だったが、直臣になったら暇になっていた。
今までの他の家臣達のバランスを考えて、
下手な仕事は与えられないからな。
茂兵衛と武市は、それぞれ目的地に向かった。
後は保険をかけにいくか。
光泰 「さて、聞いておったな」
平次 「明智家に謀略とは、何処でお聴きになられましたのでしょうか?」
光泰 「あれは嘘じゃ」
平次 「ハァ?」
光泰 「そなたには本当の事を話す故、急いで徳川様に知らせよ。
簡単に説明するぞ、明智光秀が織田様を殺そうとしておる」
平次 「明智光秀が謀反で御座いますか」
光泰 「そうじゃ。手紙と糸電話も用意しておいたから、
わしの手柄にするが良い」
平次 「??若様の手柄で御座いますか?」
光泰 「生き残れたら、徳川様の家臣にしてくれるよう、
頼もうかと思うてのう」
平次 「明智光秀に加勢せぬのですか?」
光泰 「必ず負ける。わしは、策が失敗したら逃げる」
平次 「なにか企んでおられましたか」
光泰 「生き残れたら詳しく話してやろう。
その時は、そなたの部下になっておるかも知れぬのう」
平次 「ご冗談を」
光泰 「短い間じゃったがご苦労であった。
わしの代わりに、服部半蔵殿に御礼を言うておいてくれ」
平次 「こちらこそ、たいして役にも立てず申し訳御座らぬ」
光泰 「では、そなたの本当の役目を果たすが良い」
平次 「身分卑しき、私めを取り立てて戴き感謝申し上げまする」
光泰 「お互い生きて、また会おうぞ」
服部平次君は徳川家康の居る堺に向かった。
同日、昼
手品の手伝いだと聞いている、近隣の町や村の人達が集まりだした。
浪士組が誘導している。茂兵衛の妹と弟も来ている。
もうすぐ明智光秀が、亀山城から出陣する。
歴史通りだと、夜アレを言って、本能寺に攻撃か。
坂本城に残っている家臣達も集めた。
光泰 「集まって貰ったが残念な知らせがある」
民衆 「ザワザワ」
光泰 「上様の御命を狙う不届き者がおる」
家臣達が動揺している。
妻木範熈「それは誠か」
光泰 「嘘か誠か確かようが御座いませぬ。
今、上様の居る京は手薄で御座います。
そこを狙われた様で御座います」
家臣 「殿にお知らせするべきでは」
光泰 「父上にはすでに、伝令を送っておる(犯人は、明智光秀です)」
もし、上様を救えれば褒美をくれてやる(織田信長から貰うから)」
負ければ明智家は、窮地に陥るだろう(明智光秀、友達少ないから)」
心の臓を捧げよ(アレンジしてみた)」
家臣 「どう言う意味じゃ?」
光泰 「敵は本能寺に有り!!!!!!!!!!!!!(言っちゃた)」
民衆 「(手妻は見れぬのか)」
妻木範熈「待てい!!」
いい所で止めないでよ。
光泰 「何で御座いましょう。急いでいるのでお早めにお願い致します」
妻木範熈「何故、おぬしが向かうのじゃ」
光泰 「父上が間に合わぬかも知れませぬでは無いですか」
マジで遅刻してくれないかな。
妻木範熈「一体、何をする気じゃ」
光泰 「上様を逃がす、手助けで御座います。
戦に向かう訳では御座いませぬ」
妻木範熈「初陣が殿では荷が重すぎるぞ。
他の者に任せた方が、良いのではないのか?」
光泰 「策は御座いますので御安心を。
危なければ逃げますので問題ありませぬ」
妻木範熈「そうか、十次郎は知恵が回るから、
生きて帰れるかも知れぬな」
光泰 「御祖父様には、私の代わりに留守をお願い致します。
動ける兵は連れて行きますので、
女子衆と幼い子供達だけで城をお守りして下さい」
妻木範熈「そうか安心して任しておけ」
初菊 「十次郎様、ご武運を。怪我を為さらぬようお祈り致します」
光泰 「初菊、もしもの時はわしの部屋に有る
本に書いてある指示どおり動くが良い」
初菊 「不吉な事を、言わないで下さいませ」
森お茂 「若様、御安心を。何が有っても姫様の御命お守り致します」
光泰 「流石は頼もしいのう。女子衆を束ねて、留守をお願い致す」
森お茂 「大将首をお取りに成るのを、期待してお待ちしております」
大将は明智光秀だけどね。
さて、気を取り直して。
光泰 「敵は本能寺に有り!!!!!!!!!(重要なので二度言いました)」
家臣 「坊主が御命をねろうておるのか?」
惜しい、坊主じゃ無くてハゲですよ。
僕は本能寺へ向かった。
やっとここまで来ました。
今年はここまでかも。




