47 十次郎 歌う
戦国時代は、歌を歌う文化があまりない。
歌の数が少ないのが原因のようだ。
焼き物屋店主との定例会議の日、
十次郎「この歌を、流行らせよ」
店主 「意味がお有りですか?」
あけち三兄弟の歌を、作ってみた。
歌詞は、〇〇〇三兄弟の、替え歌である。
ここは、戦国時代だ。ジャスラックよ、かかって来い。
十次郎「玩具の名を、子供に植え付け
欲しがるようにする為じゃ」
店主 「流行りましょうか」
十次郎「面白がれば、流行るであろう。銭も掛からぬ」
店主 「それは良うございます。
たいして手間も、かかりませぬし、広めてみましょう」
これは実験だ。
どこまで正確に、歌の歌詞が広まるか。
通信技術の乏しい、戦国時代の宣伝効果を、知りたい。
どこで、明智の悪評が広まっているのか、解るかもしれない。
本能寺の変の黒幕かも、しれないからな。
その後、
光慶 「変な唄が流行っておるそうじゃが、
おぬしが作ったのでは、あるまいな」
十次郎「変な歌とは心外です。
明智家の悪評を減らす為の、努力でございます」
光慶 「詩がおかしいぞ」
十次郎「はて?どこがでしょう?」
光慶 「光泰とは、だれじゃ!」
光泰とは、僕の本当の名前である。
元服したら書き慣れた名前で、名乗りたい。
先に名前を広めて、事後承諾に持ち込む作戦だ。
十次郎「私が、元服した後に名乗る、諱でございます」
光慶 「己で決めるやつがおるか!!」
十次郎「兄上が、父上の名を先に貰ったから、仕方なく決めたのです」
(注:諱を身分の下の者が、口にするのは無礼になりますが、
光泰の名を、十次郎の諱だと知る者はいません。
なので、歌っても問題ありません)
光慶 「勇敢無敵の長男はいいとして、
皆に、優しい次男とは、嘘ではないか!」
十次郎「そうで御座いますか?酷い事は、しておりませぬが」
光慶 「惚けるではない!」
十次郎「嘘でも付かなければ、評判は良くなりませぬ」
勇敢無敵も、嘘だけど。
光慶 「三男がヨーヨーで、次男が竹とんぼで、
なぜ、長男が雷で、遊ぶのじゃ」
十次郎「上下を、表しておるのです」
光慶 「わしは、雷で遊んだ事はないぞ!」
十次郎「今、雷を落としているでは有りませぬか」
光慶 「上手い事を、言ったつもりか!」
せっかく、面白く作詞したのに。
十次郎「では、どう変えましょうか?」
光慶 「知らぬ!」
十次郎「お決めくださいませ、名奉行様」
光慶 「その手には、乗らぬ!」
チィ!乗ってこなかった。
十次郎「ところで、誰からお聞きになったのですか?」
光慶 「村を、見回った時に、通りがかった塙長八なる、牢人が、
唄っておったぞ」
十次郎「塙?」
光慶 「おそらくは、本願寺との戦(天王寺の戦い)で没落した、塙直政の縁の者であろう」
十次郎「よく、ご存知で」
光慶 「上様の、赤母衣衆であったからのう」
十次郎「さすがは、兄上で御座います」
光慶 「そんな事は、どうでもよい!」
これも駄目か。
しかし、明智の領内で歌うとは、塙長八は、馬鹿なのかな。
光慶 「今後は、変な唄を作るでない!」
十次郎「ハハー畏まりました」
光慶 「仰々しいぞ!」
あけち三兄弟の歌は、酷い替え歌を、勝手に作られるのだが、
それは、二年後の出来事である。(え!続くの?)
お菓子繋がりで書きました。だんご→だんうえもん
塙長八→時雨左之助→塙団右衛門直之と変わる設定です




