45 十次郎 プリンを作る
明智秀満に、子供が出来た。
ただし、倫子姉さんの子供ではない
元芸者の側室が、男の子を生んだそうだ
幼名は、師らしい。
どういうセンスだ。
倫子 「早く産まねば、子が出来無くなってしまうのではないかと~(以下略)」
十次郎「姉上は、まだ若いでございます」
料理頭「材料は、これでよろしいでしょうか?」
十次郎「京子姉上に、作った菓子を覚えているな」
倫子 「京の踊り子に、大きな顔は、させないようにせねば~(以下略)」
十次郎「姉上は、まだ若いでございます」
料理頭「間違いは、御座いませぬでしょうか?」
十次郎「うむ、これで良い」
倫子 「妹達に、先を越されて、なんと寂しいことか~(以下略)」
十次郎「姉上は、まだ若いで御座います」
料理頭「砂糖を煮詰めるので、御座いますか?」
十次郎「今回は、たくさんあるから、問題あるまい」
倫子 「聞いていますか!!」
十次郎「聞いております」
料理頭「これでよろしいでしょうか?」
十次郎「姉上、どうぞ味見を」
倫子 「あら、餡蜜とは違って、豆腐のような菓子ですね」
十次郎「お味は、いかがでしょう」
倫子 「これは、口の中でとろけ、なんともいえぬ味わい、
いままで食べたことのない、天にも登るような~(以下略)」
相変わらず、倫子姉さんの話は長い。
十次郎「今回は、六個作りましたので、他の者にも食べて貰います」
倫子 「弥平次(明智秀満)様には、食べさせなくてよろしいですよ」
これは、揉めたな。訳は、聞かないほうがいいだろう。
十次郎「わかりました」
まずは、明智光秀から食べさせないといけないな。
十次郎 「完成いたしました」
明智光秀「牛の乳を、使った菓子か」
十次郎 「嫌でしたら、別な物を考えますが」
明智光秀「食うてみるか」
明智光秀は、得体の知れない物を見るように、一口食べた。
度胸が無いな。まあ、食べたからいいけど。
十次郎 「お味は、いかがでしょう」
明智光秀「これは豆腐か?」
豆腐じゃないよ。杏仁豆腐でもないよ。
杏仁は戦国時代でもあるが、杏仁豆腐は作れない。
これも、寒天が必要だから。
明智光秀「名は、何と言う菓子じゃ」
名前はどうしようか。
西洋菓子だから、そのまま使えない。
いつ、教えてもらったと、説明がむつがしいからな。
でも、日本語に変えるのは面倒くさい。
適当に誤魔化すか。
十次郎 「プリンでございます」
明智光秀「プリン?変わった名じゃのう」
十次郎 「姉上に、手伝って貰いましたので、
リンの字を付けました」
明智光秀「プはなんじゃ?」
十次郎 「豆腐ではないので、ふをプに変えたのです」
明智光秀「そうか、それでプリンか」
十次郎 「いかがで御座いましょうか?」
明智光秀「これで良かろう」
十次郎 「ありがとう御座いまする」
明智光秀「後は、献上出来るよう、より旨くせよ」
十次郎 「かしこまりました」
よし、合格したぞ。
残り4個か。
初菊と乙寿丸に、食べさせよう。
十次郎「乙寿丸、菓子を持ってきたぞ」
乙寿丸「かしが、できたのですか」
十次郎「初菊の分もあるぞ」
初菊 「私にも、よろしいのですか?」
十次郎「わしの正室になるのだから、構わぬであろう」
初菊 「まだ、正式に決まった訳では、御座いませぬ」
十次郎「それは、時間の問題じゃ」
初菊との婚約は、明智光秀に許しを、貰っていない。
それどころか、話すらしていない。
斎藤利三に、様々な理由が有り、止められているからだ。
一つめに、身分の差がある。
(初菊は下級武士の娘)
二つめに、兄、光慶に婚約者がいない。
(先に弟が結婚すると、兄が惨め)
三つめに、明智家が大きくなりすぎて、迂闊な事ができない。
(準備期間が、必要と言われた)
十次郎「来年の七月頃には、婚約できるじゃろう」
初菊 「具体的すぎませぬか?」
なんだか、死亡フラグみたいだな。
十次郎「来年の事は後にして、早う食べよ」
乙寿丸「はつぎく、おいしいよ」
初菊 「はい、頂きまする」
初菊は一口食べた。
乙寿丸は、いつの間にか食べていた。
十次郎「どうじゃ、口に合うか?」
初菊 「とても、美味しゅうございます」
十次郎「そうか、それは良かった」
乙寿丸「兄上、もっとたべたいです」
十次郎「あまり食べると、虫歯になるぞ」
乙寿丸「それは、こわいです」
十次郎「また今度、作るからその時まで待っておれ」
乙寿丸「たのしみでございます」
残り2個か。
柔らかいから、爺にも食べられるな。
十次郎「爺、菓子が出来たから食べてみよ」
爺 「美味しそうな、豆腐で御座いますな」
十次郎「豆腐ではない、菓子じゃ」
爺 「これは豆腐なのに、甘う御座います」
十次郎「プリンと言う菓子じゃ」
爺 「プリンで御座いますか」
十次郎「どうじゃったか」
爺 「良き冥土の土産が、出来ました」
十次郎「縁起でもない事を申すでない」
爺 「冗談で御座いまする」
ドタドタドタ。誰か来たな。
光慶 「菓子が出来たそうじゃな。わしにも食べさせよ」
すっかり忘れていたよ。
急いできたのか、近習の者が慌てて追いかけて来た。
十次郎「兄上、お仕事中ではないのですか?」
光慶 「すこし休憩じゃ」
近習 「若様、お待ちくだされ」
光慶 「なんじゃ」
近習 「このような、得体の知れぬ物、毒味をせねばなりませぬ」
爺 「これ、失礼な事を申すでない」
近習 「しかしながら、十次郎様は毒を栽培しておられます故」
もしかして、光慶を殺して跡取りになろうしてると、
疑われているのかな。
明智家の当主など、面倒くさいのに。
十次郎「わしは、面倒な跡取りには成りたくないぞ」
近習 「口では、どうとでも言えまする」
十次郎「もしかして、兄上の近習達に、疑われているのでしょうか?」
光慶 「一口、食べてみたいだけであろう」
近習 「けしてそのような事は」
近習は、慌てながら言った。
十次郎「食べさせて見れば、解りましょう」
光慶 「仕方ないのう」
近習は、一口食べた。
近習 「問題ございませぬ」
近習は、笑みをこぼしながら返答した。
図星かい!!!
光慶 「まったく、減ってしもうたぞ」
光慶は、一口ずつ噛みしめるように食べた。
十次郎「美味しかったですか?」
光慶 「もっと無いのか」
十次郎「それで、最後です」
光慶 「なんじゃ、沢山つくれば良いのに」
十次郎「材料が少なく、多めに作れないのでございます」
光慶 「それは、残念じゃのう」
意外と簡単に作れたけどね。
最後の一個を、光慶に食べられてしまい、
僕は食べられなかった。
その後、倫子姉さんは、明智秀満が城代を務める
福知山城に急いで引越しをした。理由は聞かない。
僕は、プリンのレシピを、福知山城に贈った。
これで、静かになればいいのだが。
19話に出たスイーツの正体です。
明智秀満の子は三宅重利です。
母親は創作です。




