俺、いい友人持った。
シンですごめんなさいまだ続きます。
『ほんとごめん。お願いだから、何もしないで僕の元まで連れてきて。僕の前でなら何しても……は駄目だけど、何かするのなら僕の前でにして。僕が怒ってからに』
「……約束はできない」
ユーラの弟が、ローズを傷つけた。
たとえユーラの弟だとしても、ローズを傷つけたのは重い罪だ。
ミーシャから詳細に全て聞いた。自分からローズに着いて行って魔法の属性を知った途端に態度を変えるって何様なんだ。
ん?ユーラはローズが闇属性のせいで追われてるってミーシャが話してたの聞いたはずなのに、それについて何も言わない。何か言うと思ったのに。属性のせいだ、とか。知ってたのになんで弟の同行許可したんだ、とか。
「なあユーラ。ローズが追われてる理由聞いただろ。何とも思わないのか?」
短くない時を過ごした同僚だとしても、分かり合えないこともある。敵対したって仕方ない。
その時は全力で倒すけど。
『妹さんの魔法の属性が闇だから、だよね?聞いたよ、でもシンがあんな風に言う子なんだ、悪い子のはずがない。それにラクスを一緒に、って頼んだのは僕だし。自分から言っておいて後からそれを知って文句を言うのはおかしいことだよ。ま、仕方ないかなって。今更だし』
ごめんユーラ、分かり合えないとか思ったりして。お前はずっと大切な友人だ。そして常識人。そうだよな、普通自分から言っておいて文句は無いよな。
これだけでも俺をどう思ってくれてるのかがわかる。わかるけど弟の教育ちゃんとしてくれ。
仕方ない、弟はできるだけ何もしないでユーラの所に連れて行こう。
「ですよねー。普通おかしいですよね。ていうか、お姉様が何の属性であろうとお姉様であることに変わりなく無いですか?今までお姉様を見ていたのに、魔法を知った途端その属性しか見なくなるってどうかしてます」
俺、ミーシャ好きだわ。ローズのことを、外じゃなくて中身で見てくれてる。闇属性だと知ってもローズに付いていてくれたいい子。
……ノア、あいつは別だ。ローズを連れ去ったから。どうしてあの親子が受け入れてくれたのかは謎だけど。
「ああ、どうかしてる。ユーラ、ユーラのことは同僚で、大事な友人だと思ってる。でもユーラの弟は弟でユーラじゃない。俺はユーラみたいな考え方はできないから。ユーラの弟は認められない。悪い」
『いいよ、どう考えても悪いのはこっちだ。それに考え方は人それぞれだし──うわ、ごめんもうこんな時間だ。そろそろ行かないと。また後で』
出勤の時間にはまだ少しだけ早いが、ユーラは朝にものすごく食べる。それを考えたら妥当な時間か。
「綺麗な声の人でしたねー。優しそうだったなぁ〜」
「そうか?聴きすぎててわからないけど、まあ優しいのは合ってるだろうな」
「やっぱり!それで弟はアレですよ?考えられないです。お姉様に向かって、悪魔って。お姉様は私たちのこと洗脳してたんですって。絶対にそんなことしないのに。……いや、お姉様にならされてもいいかも?」
悪魔?それ聞いてない。




