シン「これは正義だ。……いや、愛だな」
続いてシン視点です。
まだ続きます。
「お姉様が男性ならこう、って感じですけどお姉様は今のままでも充分かっこよくてイケメンで……やっぱりお兄さんはお兄さんですね」
「そのお兄さんっていうのやめてくれないか?君の兄さんじゃ……」
「いいじゃないですか!お姉様のお兄さんはお兄さんですし。そもそもなんて呼べばいいんですか?名前聞いてませんよ」
今俺はミーシャと共にローズの安全の確保を、正確にはルス教を追い止めるために街を出て歩き続けていた。
ミーシャはご両親を説得(街にいたらどうなるかわからない、司教が戻ってきたら罪人ってことになるかも的なことを言って)して俺と共に外へ出た。街に戻る気は無いようだ。
できたらさっさと魔法を使って行きたい所だが、ミーシャが『急ぎ過ぎて見逃すこともありますし、先行してお姉様を追った力強い方がいるので大丈夫だと思います』と言って俺を止めた。
確かに急ぎ過ぎで周りが見えなくなるのは困る。だけど先行した力強い方って誰だ?そんな奴いたか?俺が知らないだけってあり得るか?ローズは出会った人だとかも細かく教えてくれるし、それはないと思う。……そうだと信じたい。
「シンだ。言ったから呼び方変えてくれ」
「仕方ないですね、シンさんにしますよ」
仕方ないって何なんだ。
ミーシャは俺が出会ったことのないような性格の子だ。ローズのようでもない、ルアでもない。貴族の令嬢たちのように媚びてくることもない。接しやすいかと言えばそれは違うが、接しにくいというわけでもない。
よくわからない。
「なあ、さっき言ってた力強い方って……と、失礼」
聞こうとした所で通信用の魔道具が起動した。これは王都の部屋に置いてきた魔道具からだ。ローズじゃない。
「ユーラか?」
『シン!?今どこにいるの!』
「……森?」
『はぁ!?』
ユーラだった。怒ってるなぁ、まあ悪いことをしてるのは俺だ。帰ったら謝ろう。
「わあすごいですね、そんなものも作れるんですか……」
ミーシャは魔道具を見て目を輝かせている。悪くない気分だ。
「ああ、便利だろ。同僚からだ。……ユーラ、悪い。書いてあるだろ、その通りにしてくれ。結構面倒なことになってるんだ。ローズがルス教に追われてる。助けないと。ユーラの弟だって一緒なんだろ?……えっと、ラクス?が」
『ルス教に追われてる!?妹さん何したの……止めても聞かないだろうから止めないけど、お願いだから後でバレるなんてこと無いようにして。帰ってくるまではなんとか頑張るよ。だから僕の弟のこともよろしくね。帰ってきたら様子を聞かせて』
ユーラは俺の扱いが上手くなったのかユーラ自身が図太くなったのか……それとももう諦めているのか。前より俺の行動を肯定することが多くなった。
「同僚さんの、弟さん……ラクスが。……え……最低すぎる……」
「どうした?知ってるのか?」
知ってるも何もローズと会っているのなら彼とも会ってるのか。
魔道具を見てニコニコしていた表情が一転、暗くなっている。
「ラクス……さん、は。いえ、あの人のせいでお姉様は追われることになったんです。いえ……そもそもは変な人がノアさんとあの人に着いてきたことからで……」
感想ありがとうごさいます!!!




