第24話 面倒な予感がする。
「女神……じゃなくて、ローズちゃんを隠れて助け……でもなくて、ローズちゃんを見守るためにいるの。…………あれ?逆?」
「こっちのお仲間ですか?」
「違う!……いやそうかも」
シーナだった。本物。
話を聞けば、村から着いてきたんだそう。しかもルフトとアレクを連れて。何のために?って聞いたら私を見守るためだとか言い出した。
悪役だったから?とか考えたけどシーナの態度がそんなんじゃない。
「お仲間ですか!気が合いそうです!名前を教えてください!」
「シーナ。じゃなくて!違うから!私は宗教なの!遊びじゃないの!本気なんだから!どれだけ想い続けてたかわからないでしょ!」
そう、ミーシャと同じような態度。
「時間の問題じゃないと思うんです、こういうのは。同じ思いなことに変わりはないじゃないですか。深さは……まあ、シーナさんの方が深いというか抜け出せない感じしますけど」
「あんたねぇ!あーもう!あんた何なの!私の女神に近づいて何が目的なの!」
……は?
女神?さっきも言ってたけど女神って何?宗教って?シーナって何かの宗教入ってたの?女神を崇める宗教ってこと?
私の、女神?
「ねぇ」
「はっ。ちっ、違うんですめがっ……ローズちゃん!今のは……今のはそう!そう、えっと……そうだ、今日のローズちゃんものすごく素敵だよ!」
めが?目がどうかしたのかな。うん、話しを逸らさないでもらいたい。
「私は、ただお姉様のことが大好きなだけです。出会って数日も経っていませんけど、お姉様の素晴らしさはとてもよくわかってます。だから!認めてください!」
いや、あの。何を?
それに私、そんな素晴らしいなんて言われるような人間じゃないんですが。自分で自分の悪さはわかってるから。
「しーちゃん!お話中ごめんね、あの人来ちゃったよ!」
また増えた。ルフトだ。少し成長して、ほわほわ感が薄くなった気がする。でもまだ天使。
慌てた様子で走ってきたけど、どうしたんだろう。
「えっ!?……くそっ、制裁が足りなかったか。るーくん、行くよ。仕事の時間だ。ローズちゃんごめんね、私行かなきゃ!大丈夫、絶対に守から」
ルフトの言葉を聞いたシーナは、見たことのないような真剣な表情で私の手を握った。
私はもう何がなんだかわからない。
「あっ。お、お姉様。ノアさんです!帰って来ちゃったみたいです!……でもあれ?なんか1人増えてる?」
えっ。
ミーシャが指差した方を見れば確かにノアたちだ。そして1人増えてる。ラクスとノアにべったりくっついて歩いてくる女が。
誰あれ。あ、もしかしてあの髪色って、ラクスのとこのヒロイン?
「お姉様、まだ気がつかれてないです!行くなら今です!私が足止めするので!」
「う、うん。ありがとう」
あのヒロインには会いたくないなぁ。面倒なことになりそうで。
ミーシャに甘えることにしよう。
「大丈夫。私が、排除する」
シーナはなんか暴走してノアたちの方に行っちゃったし。排除って何。何を排除するつもりなの?
「お姉様」
「ごめんね。ありがとう」
シーナが行った隙に行こう。
と、したんだけど……。
「ローズ!」
ノアが女を振り切って私に向かって来た。気がつかれた……。
「ローズ、その格好はどうしたんですか?とても似合ってるよ。お兄さんが見たら大騒ぎしそうですね」
ノアの後ろを見れば、シーナが女に向かって魔法を撃ち出すところだった。ラクスがそれを止める気配はない。むしろ面白がってる。
止めろよ。
「ローズお姉ちゃん……。ごめんね、しーちゃんが。でもね、しーちゃん頑張ってたから怒らないでね?」




