第21話 バレ……た?
ミーシャと会った次の日。
私はミーシャに街を案内してもらうことになっていた。
他の3人?依頼受けて魔物倒したり素材集めたりしてるよ。私は留守番。1人でしてもいいんだけど兄さんが知ったらなんて言われるかわからないし、ナラルさんも許してくれなかった。
迷惑をかけたいわけじゃないからね。ちゃんと街の中にいる。
ミーシャは家の手伝いが午前中にあるからその後で、ということになっていた。
だから午前中暇だな……と思っていたけど、なんか疲れてたのか起きたら昼だった。急いで準備しないと。
迎えに行きます!ってミーシャが言ってたからな、早くしないと来ちゃう。
「……とりあえず顔洗って……」
服はどうしようか。フィオと会った時のことがあるから、街中でいつも通りっていうのは少し躊躇するっていうか。
髪型も良くないのかな。
宿の裏の井戸で水を汲んで、顔を洗う。あ、髪結ぶの忘れてたからすごい濡れちゃった……。
ま、拭けばいっか。
ぼたぼたと髪から滴れる水を拭きながら宿の中へ戻る。もちろん水が滴れなくなってから、ね。湿ってはいるけど。
今日は下ろしておこうかな。
「わっ、ひゃっ!?おねっ、お姉様っ、やばっ、わっ、ちょっ、あのこっち向いて下さい!」
あれ。ミーシャだ。入ってきちゃったのか。
「ミーシャ。ごめんさっき起きて」
「ひえっ!とんでもないです!寝起きを!そんな!見られたなんて!それは寝巻きですね!素敵です!それに髪が!髪を下ろしてらっしゃるお姉様も素敵ですっ!濡れているのがまたいい!」
テンション高いな。私起きたばっかりだから合わせられないや。……そうじゃなくても無理か。
曖昧に笑って、泊まっている部屋へ行く。着替えなきゃ。
「は、入ってもいいですか?」
「ん?別にいいけど……」
何もないからね。荷物はほとんど影の中だし。
「お姉様の泊まっているお部屋……!」
そんな期待されてもなぁ。本当に何もないんだけど。
部屋に入る。さて、服はどうしようか。
どうしよう、って言っても二択だけど。いつも街で着てるズボンか、村から影に入れて持ってきたワンピースか。
待てよ、持ってきたやつここ最近着てないけど着られるのか?
影に手を突っ込んでワンピースを取り出す。
「……無理な気がする」
丈的に。身長伸びたからなぁ。うーんどうしよう。
「お……おねえ、さま……?いま、の……」
「え?」
今の?今、の。
ミーシャの前で影からワンピースを取り出してしまった。
待っ……!?やだ、起きたばっかりだからってどうかしてるよ私!?
ミーシャはワンピースが出てきた影の辺りを見つめたまま動かない。
「みー、しゃ……?」
やだよ、怒鳴られて、逃げられるの。恐怖の目軽蔑の声。慣れたは慣れたけど、こんなに好意を向けてきてくれた子が同じようになると思うと怖い。
「お、お姉様はっ、お姉様のっ、使う魔法、は……先程の、その、影から……その、服を……服を。服?その服はワンピースなのですね!?お姉様が着るんですか!ぜひ!ぜひ着てください!見たいです!」
……あれ?おかしいな。想像してたのと違った。
「ミーシャ、私……わかった、よね?」
「はい!わかります!お姉様がその服を着てより一層輝いている姿が!」
そうじゃないんだ。
そんなことより早くその服を!
早く!!




