第19話 オムライスは美味しい。
短いです。
「ん〜美味しい〜!!」
ミーシャの家の料理店は、普通だった。いや、普通ではない。普通以上に美味しい。
私が頼んだのはデミグラスソースのオムライス。すっごく美味しい。酸味より少し甘みが強いケチャップライスの上に乗ったふわとろ卵にデミグラスソースがかかっててもうなんだろう、言い表せないくらいに美味しい。私の語彙じゃ言い表せない。
他の3人が頼んだのも同じくらい美味しいらしくて、微妙な顔をしてる人は誰一人としていない。みんな頼んでるのはオムライスだけどね。種類が違うだけ。チーズの、トマトの、ライスと卵が逆の、って。
名前が普通なら店も普通だ……。美味しい。また来たい。他のオムライス食べたい。今4つあるけど後1種類あるもんね。滞在中に絶対食べに来よう。
でもそんなに混んでないんだよね、この店。混んでないっていうか空いてる。こんなに美味しい料理を出すのに。
「お姉様にそう言ってもらえて嬉しいです!ふふ、ラフィに自慢しよっと!ラフィ、食べてはくれたけど微妙な顔して帰っていった、って言ってたからなぁ。ふふふ、ラフィのお家の店は初心者にはキツいもんね」
最後の方はもう独り言だった。
でもやっぱり同業者の目から見てもフィオのとこはやばいんだな。
……うん、思い出しただけで胃が辛い。
「この卵どうやってこんなふわふわなんだ……?使ってる卵か……?こんなの見たこともない……これが上流階級の……」
ラクスは卵を食べながらブツブツ言ってる。時々満足気な表情をするから気に入ったんだろうな。
このオムライスを食べて不味いっていう人は絶対味覚音痴。そのくらい美味しい。
「うん、美味しいね。値段は手頃な値段だけどどうしたらその値段でここまでのものができるんだい?」
「両親の腕、としか言えませんね……。まだ私、オムライスの作り方教わってないんです。教えてくれない、というか」
秘密のレシピか。知りたいな、こんな美味しいオムライスの作り方。何か特別な調味料が使ってあるとか?
うーむ気になる。
「ところでミーシャさん。なぜ、こんなにも美味しい料理を提供する店なのにここまで空いているのはなぜなんですか?」
あっ。
聞いてはいけないであろうことをなぜお前はそんな風になんでもないように言えるんだ……。




