第17話 一難去って……。
昨日は更新できずすみませんでした。
「なんだったの」
「特に変わったことは何もありませんでした」
戻ってきたノアは、いつもと変わらない調子でそう言った。
さっき、大きな眩い光が一瞬後ろの方から見えた気がしたんだけどなんだったんだろう。みんな見えてたらしい。でも確かめに行ったノアは何も無かったって。
結構眩しかったからなぁ。上からピカーって。雷か?でも雷なら一緒にもの凄い音がしてないとおかしいし。
「ノアが見て何もなかったなら大丈夫だろう。行くか」
ナラルさんの言葉にラクスも頷いてる。
あれ、これ気になってるの私だけ?
「では、ローズとラクスで分担してこれを持ってもらって」
「ああうん」
ノアから受け取った魔物を影の中に仕舞う。このまま行って本当に大丈夫なのかな?
嘘ついてるように見えないけど、ノアは基本、この人当たりのいい笑顔だから何かあってもわかんないや。
「行くか」
ナラルさんが歩き始める。まあ、ナラルさんが大丈夫って言うのなら大丈夫なんだろうな。旅を始めて1年半の私よりよっぽど経験もあるんだから、従っておけば大丈夫。
と思って足を進めようとした時。
「いや今のおかしいだろ!?」
ラクスが声をあげる。
「何がです?」
「いや、今の!こいつの!どこに消えたんだ!?」
消えた?……あ、魔物か。ラクスには見せてなかったから。ていうか魔法を見せないようにしてたから。あれこれまずいんじゃ。
闇属性じゃなくてこれと同じような魔法あるのかな?あれば誤魔化せるんだけど……。
「……ローズは鞄に入れてましたよ」
「……ああそうだな。鞄にきちんと仕舞ってた。ラクスも仕舞うならさっさとしろ。待っててやるから」
「いや無理あるだろ!?」
私の気持ちをわかってくれている2人は誤魔化そうとしてくれたけど、ラクスは誤魔化せなかった。
言うしかないかな。
「実は私……手品師になりたくて」
「は?」
「日常的に練習してるから。反応があると嬉しい。2人は慣れてるから最近やりがいなくて。ありがとう」
「え……は?え?どう……いたしまして……?」
疑問符を頭に浮かべたままのラクスを置いて歩き出す。2人も着いてきた。ラクスは戸惑った顔で首を傾げながら着いてくる。
いや私ので誤魔化されて2人ので誤魔化されないってどういうこと?
「手品師。ローズは手品師ですね。確かに始めからそう言えば良かった」
「上手いこと言ったなあ。手品師で誤魔化されるのか。これからそういうことにしておこう」
ラクスには聞こえないくらいの声で2人はそう言った。
●●
何度か魔物に遭遇して、全て倒して、日が落ちそうなくらいの時間に次の街に着いた。ラクスは何も言ってこなかった。まだ少し疑問に思ってるみたいだったけど。
先に宿を探してから私以外の3人は組合に行ってて、私は外で夜ご飯の店を物色してるとこ。
何がいいかなぁ。
組合からあまり離れない所の店を見てるから、どこにいるかわからなくなるということはない。うん、組合に人が集まるからかこの通りにはたくさんの店が集まってる。
「いい匂い」
食べ物の匂いが通りに充満してるんだよね。お腹空いてるからなんでも美味しそうに見える。
「あの〜」
後ろからの声。私?
振り向けば、赤みの強い長い茶髪を三つ編みにして左肩から前に流している眼鏡の女の子がいた。なんだかつい最近見たような顔してる。
「わあっ、絶対そう!ローズさんですよね!」
え、誰。怖っ。なんで見知らぬ女の子に名前知られてるの、私。
……待って、もしかしてこの子も何かの乙女ゲームの登場人物で、転生者だとか?それで私を見て話しかけてきたとか……。あり得る。
「……誰」
「私っ、ミーシャって言います!ラフィ……ふぃおら……ふぃ……あれ、なんだったっけ……?えっと……なんか長い名前の女の子と知り合いませんでした?」
知り合った。フィオか。
ああ!この子、フィオがしてるようなのと同じような表情なんだ。だから既視感があったのか。
「前の街で会った子ならいるけど」
「私、その子の友人なんです!時々遊びに行ったり来たりしてて、手紙のやり取りもしてて!今朝早便で手紙が来て、おねえさ……ローズさんのことが書いてあって。ラフィ、絵も文章も上手いんですよ!おね……ローズさんのことそれはもう詳細に書いてあって。読んでから私、絶対にお会いしたいって思ってました!!ラフィと私、好みがそっくりなんですよ!私もお姉様って呼んでいいですか?」
また変なのに捕まった。
今度は普通の名前だ……。
うっかりラクスに認識を変えるような魔法使ってしまっていたりするんでしょうかね。それ以上に2人の演技が下手すぎるのか。
………たぶん後者ですね。




