第16話 天罰だよね。
私の目の前に無様に転がる2人の女と4人の男。
「天罰は実行されました。女神を侮辱した罪は重く、到底許されるものではありません……。その身に、心に、刻むのです。至高の存在は女神だと……」
「くっ……一体なんなんだ……君、は……」
「ちっ、まだ足りないのか。るーくんもう一発」
「もうやめようよ、しーちゃん……」
手加減なんていらないんだ。女神を侮辱したんだよ?許されない。許せない!
「何……何なのよ……」
たとえ相手がるーくんの雷によって瀕死だとしても。
動ける内はまだ足りないよね?動けてるのはルッカともう1人の女だけみたいだけど。なんだっけ、名前。呼んでたけどもう忘れた。レ……わかんないからいいや。
「相手の意識がある内はまだ余裕って習わなかった?あれ?死んでからが本番だっけ?」
「流石に殺したら駄目だよ!?もう、ほんとローズお姉ちゃんのことになるとしーちゃんいつも壊れるよね。……あれ?いつも壊れてるっけ?」
「落ち着けルフト。いつもローズのことを考えているから壊れてるんだ。結局壊れてるな。とりあえず、ここまでにしとけ。やり過ぎだ」
いつの間にかアレクが降りてきてた。
ていうか2人とも酷くない?私壊れてないんだけど。普通だよ?女神をただ守りたいだけなのに何がいけないの?
「あ、あんた達、なんで……そうだわ、ローズに洗脳されてるのよ……そうじゃなきゃ、こんなことあり得ない……」
あ、落ちた。
限界だったらしいルッカは他の仲間と同じように気絶。残るはもう1人の女のみ!さあどうしてやろうか!
「……何してるんですか、これは」
「え?制裁」
それ以外に何があるんだ。
…………あれ?今の声って……。
ゆっくりと後ろを振り向けば、長く青い髪の憎い奴が。
「うわぁぁぁぁぁああああああ!?なんでっ!?なんでいるの!?えっ、えっ!?なんで!?」
私の隠蔽魔法は完璧のはずで……うん、まだちゃんと効果はある。切れてない。
なのになんでコイツはここにいるの?
「あんな光があれば何かあると思うのが当然でしょう。前から何かあると思っていたのですが、何もないので大丈夫だと父とも話していたんです。貴女だったんですね」
るーくんか。るーくんの雷が大きすぎたからバレたんだ。女神は?女神にはバレた?あれ?コイツしかいないよ?
「他の人は」
「光には気がつきましたが、僕が見てくると言ったので来ていませんよ。で、なぜ貴女はここに?」
良かった。……良かったのかな?
「別にあんたに言う必要ないでしょ。あ、私だったって言わないでよね。何もなかった、わからなかったって言って。じゃなきゃあんたもあれの仲間入りだから」
今バレるのは嫌。もっと運命的な感じの再会がしたいの私。女神の危機に現れる!とか。女神を救う!とか。
だから今は嫌。
「それは怖い。3対1であまり勝ち目はありませんしね。いいでしょう、言う通りにしますよ。ところであそこの女性が魔法を行使しようとしていますがよろしいので?」
なに。
見れば女がこっちを見て丁度魔法を放つところだった。火だ。火の弾が一直線に私に向かって来てる!
「っ!」
驚いた声をあげたのは向こうの女だった。私じゃない。寸前で私は火の弾を風で霧散させたから無傷。
ていうか私1人を攻撃しても意味なくない?何がしたかったんだろう?
「危ない危ない。感謝なんてしないからね。さあ行った行った。私は制裁の続きがあるからね」
「何もありませんでしたが、恐ろしいものを見てきました」
「いや何かあったんだよね?」
「いえ、何もありませんでした」
「……そう」
アレクのことは、もうくん付けではなく呼び捨てになっています。
この後どう対処したかはご想像におまかせします…が、彼女たちはまた出てくるでしょう。




