第15話 まあ天罰だよね。
シーナ視点
「わかったわ、確かローズの使う魔法は闇。魔法でヒロインのこと虐めてたし、2人を洗脳してるのね!許せない!今助けるわ。ラクスも、ノアも!2人とも私の────」
そんなこと女神がする訳ないでしょアホか。これはキツいお仕置きが必要。
隠れてた木から降りて、ブツブツ言ってるヒロインの後ろに行く。るーくんとアレクには待っててもらってる。私から何か合図があればすぐに動いてくれるけどね。
「行くわよ、あの女から2人を助けるわ。いつも通りに行きたい所だけどあの女は闇属性の魔法の使い手よ。気をつけて。2人は洗脳されてるから」
「2人?あれ、女の子なのー?綺麗な顔だけど……あっちの青いのが2人いて……うーん?3人だよー?」
「……ノアの、お父さんね。いいの、私の好みじゃないもの。おじさんはいらないわ。それはあの女に残しておいてあげる」
クソ女すぎる、このヒロイン。青いのは好きじゃないけどそのお父さんは私結構好き。幾つなんだろう?若く見えるけどな。
ま、とりあえず制裁しないとね。今の私は女神の使者です。
「【災厄の風】」
小さな声で呟けば、女のすぐそばに風の渦が生まれる。やり過ぎたかな。
渦は勢いよく成長し、気がついた女と周りの人が悲鳴をあげ逃げようとした。でも私の風はそんなんで逃げられるような風じゃない。女を巻き込み、残りの女の仲間を巻き込み、移動を始める。直径3、4メートルくらいの竜巻は森の木々を器用に避けて女神たちから離れていく。
あ、これは女神たちには見えても聴こえてもないです。こう、上手く魔法を使ってね、わからないようにしてるの。私すごい。すごすぎる。
竜巻の中央に私はいます。あはは、私を中心に6人の男女が巻き上げられて回ってる。ヒロインが何か叫んでるけど風で聞こえないなぁ。
自分のした完璧な仕事にニヤニヤしてたら一応、と被っていたフードが風で落ちた。ヒロインが目を見開く。髪切っててもわかるか。私も一応ヒロインだしなぁ。
あ、あれですか、私も洗脳されてるとか言い出すやつ?面倒だなぁ。
とりあえず、ヒロインの扱いの上手だった男みたいな話し方の女の子だけを地面に下ろす。
「な、君、は……?」
回復早いな。油断ならないぞ、この女。
「女神は汚させない。私の神を泥棒呼ばわりなんて許されない大罪を犯したあそこでぐるぐるまわってる女へ神罰を与える!」
「いや君がやったんじゃ……」
戸惑ってるな。私も私が何言ってるのかわかんないや。ただ一つわかるのは、あの女は許せないということ。
「言い訳無用!私は私の信念の元、勝手に行動する!で、あんた話わかりそうなんだけどあの女何なの」
「へ……?は?いや、彼女は私たちの仲間の1人で……」
「じゃ、連帯責任だよね。あの女の傲慢を許した自分を憎め。何か言い残すことは?」
何かあの女の悪い所をたしなめるような言動があれば少しは手加減しようかと思ったけど、やめた。今まであれを許してきたのがいけない。許してなきゃ女神を侮辱するあんな言葉は出てこなかったはずなんだから。
「言い残すこと……?いや君はさっきから何を言ってるんだい?女神だとかなんとか……急に攻撃してきて、どっちが罪を犯してるんだ?もう私の仲間を返してもらえるかな。返してもらえないなら私も手加減はしなっがぁっ……!?」
なんか言ってる途中だったけどなんかこのまま口論してたら負ける気がしたから風の塊ぶつけちゃった。
手加減せずに思いっきりぶつけたから女はまた風の渦へと入っていった。
回ってる回ってる。ヒロイン含む他の仲間はもう目を回してるみたいでぐでってしてて表情がやばい。そんな女の仲間だからいけないんだ。
さてどうしようかな。そうだ、るーくんに電気流してもらおう。風なんて大したことできないからね。アレクの火で髪燃やしてハゲさせるのもいいな。女神を侮辱した罪は重い。
風の渦の外へ出て、るーくんを呼ぶ。
「るーくん、あれやって。ビリビリ!って。風の中に雷撃って!」
「……非人道的だよしーちゃん」
「えぇ……じゃあアレクに火放ってもらって全員ハゲさせよ……」
「僕がやるから!わかったよ、やるから!」
火より雷撃つ方が人道的だと判断するるーくん。まあハゲさせるよりマシか。
「威力足りなかったらアレクに頼むからね」
小走りに風の渦へと近づいていったるーくんは右手を掲げて一言、詠唱する。
「【天からの一撃】ごめんなさいっ!」
バガンッ!
真っ白な光と共に大きな音がした。
私、そこまで強いとは思わなかったな。
狂信者とは彼女のこと




