第13話 連携プレーですねこれは。
「はぁーっ、はぁーっ……お前、あり得ないからな……」
「ふぅ。厄介な魔物でした。3人でようやく、でしたからね」
「まあラクスがわざと変な方向に誘導したりしなけりゃもっと楽だったと思うぞ?」
「余計なことは命取りですよ?今回の魔物は格下の相手ではなかったのですから」
「Aランクだからって油断するなよ」
「コイツが戦ってりゃもっと楽だっただろ!」
魔物を全て倒した後。
息を切らしたラクスは私に向かって指を指しながらそんなことを言ってきた。
でも私戦闘ほとんど未経験。役立たずなの目に見えてる。そりゃ少しは楽になるだろうけどね?立ち回りとか知らないし。
ラクスは、戦闘中わざと私の方へ魔物を誘導するような行動をしていた。全部ナラルさんとノアが阻止してたけどね。
そんなに私に戦わせたいか。
「戦闘なんてほとんどしたことないのにどう戦えと?無理に決まっているのに戦えなんて、君は私に死ねと言っているのかな」
「そんなこと言ってないだろ。それに俺はお前が戦えると思ったから言ってるだけだ。弱いと思う奴には言わない」
いつ強いって思われたんだろう。
あ、わかったぞ。私が兄さんの妹だからか。いや、だからといって私が戦えることにはなりませんよね?
「私は兄さんじゃない。光の魔法だって使えない。私は、そんなことできない」
人に嫌われてる闇の魔法しか使えないからね。ノアとナラルさんは特殊だから知ってても一緒に旅しよう、って言ってくれるような人たちだけど、一般的な反応は『悪魔!寄るな!消えろ!』だから。悪いことがあれば全部自分のせいになるの耐えられます?
「じゃあなんの属性なんだよ、お前」
「それ、は」
言えないって。
言ったら終わり。今はただ不満そうな表情をしているラクスも、知れば嫌なものを見る目に変わる。
「ラクスはそんなにローズのことが知りたいんですか?無駄ですよ、ローズには鉄壁の守り人がいますからね。手を出せば大変なことになりますよ」
「はぁ?そんなんじゃ……」
「うーん、ローズは辞めといた方がいいぞ、シン君厳しいからなぁ」
言葉に詰まった私を助けてくれたのは、ノアとナラルさんだった。2人の方を見れば、私へニコリと笑いかけてくれる。
ありがとうございます。
「……全く気がつかなかった。知らなかった」
2人が話を逸らすチャンスをせっかくくれたんだからこれは生かさないとね。
「はぁ!?だから違うって!俺はそんなんじゃなくてただ────」
「わかりましたよ。さ、早く処理しましょう。でないとまた魔物がやってきますしね」
「そうだな、やっちまおう」
ラクスはまだ不満そうだったけど、2人は倒した魔物の方へと行ってしまった。




