第10話 留守番、兄さんとの連絡。
ラクスの依頼が終わりそうにないらしく、ノアとナラクさんは夜の森にラクスと行っていた。
私?留守番。魔法見られたくないし、昼の気持ち悪さがまだ残ってるから宿で休んでる。
夕飯も少ししか食べられなかったんだよね。宿の女将さんが作ってくれてて美味しいのに食べられないなんてもったいなかったな。仕方ないけどさ。ノアは夕飯には回復してて普通に食べてた。腹の構造が違うらしい。
さて何しようかな。寝ようか。この微妙に気持ち悪い感じ、寝たら治るかなぁ。ナラルさんかノアに回復魔法かけてもらえば良かった。
あ、回復魔法といえば。
「兄さんに連絡するの忘れてたな」
毎日しないとものすごいことになるからしないとね。兄さんと話すの嫌いじゃないし、私自身も兄さんの声聴きたい。
魔道具を取り出して石に魔力を流す。もう何回目だろこれ。
兄さんはいつも通りすぐに出た。
『ローズ!どうだ大丈夫か!』
「何もないよ」
『そうか良かった……ユーラの弟くんは?大丈夫か?』
「うん」
私から言うことはもう特に何もないな。後はフィオのことくらい?でも大したことじゃないし。
兄さんの話聞きたいな。
『そっか。その街出るの明日だっけ?準備はしたのか?』
「昼間に足りないものは買いに行ったから、もう大体終わってるかな。後はラクスの受けてる依頼が終われば完璧。兄さんはどう?何かないの?」
『俺?うーん俺はなぁ……』
少しだけ考えるような間の後、兄さんは話し始めた。
『国王から姫を2人紹介された。1人は16で、ローズと同い年!って思った。当たり前だけど見た目も雰囲気も全く違うからなんかがっかりした。もう1人は6歳の子だった。小さい子は可愛いけどローズの方が可愛い。少し話して終わったけど、最後までなんで紹介されたのかわからなかった。あ、後な、なんでかわからないけど貴族のパーティーに誘われるようになった。断るのも面倒なことになりそうだったから1回目は行ったけど、女の子たちがキャーキャー言いながらずっと話しかけてきてすごく疲れた。だから2回目からは全部断った。俺平民出身だし、誘われる意味わかんなくてさ』
なんかすごいことになってるな。あれか、光の魔法の使い手を囲いたいわけだ。みんなそれに必死なんだ。王様も、貴族の人たちも。
でも王様、6歳の子まで紹介ってそれ色々やばくないですか。聞いたことあるけど、あの国には3人の王子と4人の姫がいるはず。多い。姫は2人、兄さんと同じくらいの年齢の人がいるはずなんだけどなぁ。もう婚約者が決まってるとか?じゃなきゃ兄さんをなんだと思ってるんだ。
シスコンだ。
……もしかして、兄さんがシスコンってバレてるのかな?だから年下の姫を兄さんに会わせたとか。ありえる。
「そう、なんだ。兄さん、結婚とか考えてないの?」
『結婚!?なんで!?もしかしてローズ、誰か好きな人いるのか!あいつか!ノアか!駄目!許せない!』
どうしてそうなる。ノアは好きだけど、それは恋愛感情じゃないなぁ。推しが好き、の好き。恋愛したい!じゃないの。
「違う!違うから!兄さんそろそろそういう年だなぁ、って今の話し聞いて思ったから」
『なんだ……よかった。ローズが結婚とか考えられない』
考えてください。




