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隠し攻略ルートは悪役の私!? 〜乙女ゲームの悪役に転生しましたがヒロインから女神と崇められています〜  作者: 絡鎖
第2章 悪役の私が村を出て旅してる。

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第4話 ふぅむ。そうなりますか。


問《お仲間どうしたんですか?》

答《なんか煩いから置いてきました》




前の街に置いてきた。女が鬱陶しくて。


その鬱陶しい女ってヒロインじゃない?


だとしたら、この世界には私たちのゲームだけじゃなくて他のゲームも混ざってるってことになる。


不思議すぎる。まあ、こんな広い世界だし……あり得なくはないか。


他のゲームもあるのかな、あるのなら登場人物たちに会ってみたい!リアルで見るのと画面越しだと絶対違うし、クオリティは村でよくよくわかってるもん。美男美女を見たい。癒されたい。


あ、ノア(最推し)は別です。慣れては来たけど癒されるより疲れるから。



で、だな。


「こんなもんで話せるのか。魔道具ってすごいな。……いや、【光の騎士】がすごいのか?」


なんか話してる内に兄さんと話す時に一緒に話させてくれってことになって、夜になってから私たちが泊まった宿へラクスはやってきた。


この魔道具を他人に見せるわけにはいかないから部屋の中で、ってなったんだけど私だけいつも別部屋で、ナラルさんがラクスと私で2人っきりは許してくれなくてナラルさんとノアの泊まる部屋で話すことになった。


「何でもできるから。いいかな、始めても」


「ああ」


いつものように、薄い板の上部に取り付けられた石に魔力を流す。


すぐに反応は帰ってきた。


『ローズ!無事か!今どこに居るんだ』


「うん、兄さん。今は宿の部屋の中」


『そうか、良かった。なぁ……そろそろ、戻って来ないか?俺もう……』


いつも通りの会話。まず無事の確認をされて、その後で早く帰って来てくれ会いたいと遠距離恋愛のカップルみたいなことを言われる。


兄さんこの調子じゃ絶対結婚できないし、年齢的に今が1番のはずだから私に構ってないで外に目を向けるべきだと思う。


1年半も会わずにいればシスコンもなりを潜めるかなぁ、なんて思ってたけど間違いだったね。時間が経つにつれ酷くなってく。


「まだまだかかりますよ。すみませんねぇ、転移魔法なんて使えないもので」


『うわ、お前までいるのか。は?なんで居るの?ローズと2人っきりとか?おい、早く出てけ』


「違うから」


2人っきりの何が悪いんだ。村でだってホラ、書庫でいつも2人だったよ?


「……なんか思ってたのと違う」


魔道具から聞こえる兄さんの言葉に、ラクスが戸惑った顔をしている。


まあでしょうね。【光の騎士】だなんて言われてる人がこんなシスコンで思ってた通りです!なんて言う人いないよね。


『ん?誰だ?聞いたことない声。……男?おいお前誰だ!ローズを騙して何かする気だろ!許さないからな!何かしたらすぐにお前は後悔することになるぞ!』


「……これが、本当に【光の騎士】なのか?お前の兄ってだけじゃないのか?」


『おまっ……なんでその呼び名を……っ!?』


む、珍しく兄さんが狼狽えた声出してる。たまにノアにやり込められた時とかしか出さない声。そんなに光の騎士って嫌な呼び名なのかな?私だったら恥ずかしいけど、これは前世に地球で生きた常識があるからで、この世界じゃ魔法はあるし詠唱だってあるんだから大したことじゃないと思ってた。


「本物か?なぁ、同僚にユーラって騎士いないか?」


『ユーラ?なんでユーラがそこで出てくるんだ。俺はお前がどこでその呼び名を知ったのか聞いてて────』


「兄貴……ユーラからだよ。何か問題あるか」


『はぁ!?兄!?ユーラが!?兄弟いたなんて知らないぞ!おいユーラ!弟が俺のローズといるんだけどどういう状況?』


わかんないよ。俺のローズって何。合ってるけど。そんなこと言ってるとほんとに婚期逃すよ。兄さん一生独身とかちょっと考えられないしね。


でもやっぱり兄さんと一緒に住んでる人だった。合ってたね。


少し向こうで話してる声がかすかに聞こえた後、兄さんじゃない声が魔道具から聞こえた。


『ラクス?ラクスなの?』


優しげな声の人だ。


「兄、貴?久し振り」


『うん……久し振り。元気?無事だった?怪我してない?今どうしてる?』


「元気だよ。大っきな怪我はしてないし、病気もない。今は依頼で魔物討伐してる。ちょっと離れた別の国の、ウィルフィスって街にいるんだ。兄貴は?」


この兄弟、どのくらい会ってないんだろ?なんか少し声の調子が固くて壁を感じるというか。お互いを思ってるのはわかるんだけど。


『僕の方は特に変わったことはないよ。シンの妹さんといるんだって?一緒に行動してるの?前の彼らはどうしたの』


「違う。今日会っただけ。いつものやつは……なんか女がもう1人入ってから変になったから置いてきた」


『……置いてきた?もう1人の女?……へ、へぇ。大変だね、ラクスの実力なら心配ないと思うけど、でも1人は駄目だよ。彼らを待つか新しい仲間を見つけな?』


うーむ。ゲームだとパーティ内の女はヒロイン1人だったんだけどな。最初から逆ハー気分を味わえる攻略も簡単なゲームって言われてたし。


でももう1人。


話から推測するに、最初にいたのはストーリーには関係ない女性だな。そして後から入ってきたのがヒロイン。……鬱陶しいから置いてきたとも言ってた。もしかして、その子も転生者だったりする感じ?


うわぁ、なんかすごいなこの世界。たったの1年半じゃ何もわからないや。もっと良く良く“外”を見ながら旅しないといけないな。


「わかった。なぁ、お前らって何のために旅してるの?」


ん?


旅の理由。なんだろ、私は世界を見て回りたい、だけどノアたちは?聞いたことないな。


「目的はないね。ひとところに留まって過ごすのが好きじゃないんだ。ノアは付き合わせてるだけだか」


へぇ。そうだったんだ。じゃあ村への長期滞在は結構異例のことだったんじゃない?


「ふーん。なら俺もいれて。目的ないなら別にいいだろ?見た感じ長く旅してるっぽいし、魔物の換金するために冒険者の登録くらいしてんだろ?俺の依頼は俺でするから、頼む」


冒険者登録は、私もした。大きな街の組合に行った時にしてもらった。ランクとかもあるみたいだけど、ラクスの言う通り遭遇してしまった魔物の換金のためにしかしてないから、下のランクのまま。不便はない。


「ああ、別に構わないが……ノア、ローズ、どうだ?」


「僕も構いませんよ。ラクスとは気が合いますしね。ローズは?」


うん、私の意見も普通に聞いてくれるのは認めてもらえてる感じがしてすごく嬉しいな。


でもラクスと旅……やだな、予想通りならそっちのヒロイン転生者だし、会って何か言われたら?もし“ローズ”を知っていたら面倒なことになりそうだし。


「う、うん。いいかな」


……断る雰囲気ではないのが辛いとこ。理由も理由だし、まあ会わなきゃ……平気だよね。うん。


『全く……今日会った人たちになんてこ──『駄目駄目!そんなの!そんなの……!』』


ああ……そうだった、兄さん聞いてるんだった。ラクスは一緒にくるのをやめると言う気配はないし、これはまた面倒なことになりそうだな。

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