第33話 青の男の想い
ノアはこれにて終了です
ただ、少し気になっただけだった。
シーナがどこまでの技術を持っているのか、ローズは対抗できるのか。
ローズの部屋の窓は少し高い位置にあった。家自体が中で地面から上げて造られているのかもしれないな。
魔法を使ってよじ登り、窓に手をかける。
何かされている様子はない。ただ、これは……結界?
その結界が気になって少し窓に体重をかけてしまったのがいけなかった。窓の鍵はかかっておらず、内側に開く型の窓は僕を支えることは出来ずに開いていく。この体勢では外へ戻ることはできない。部屋へ入り体勢を立て直してからすぐに出るしかなかった。
1つ想定外だったのは、結界はローズが張ったものであり僕が解除できないほどに完成されたものだったこと。
侵入者に反応した結界は、すぐさま効果が現れた。
黒い魔力が帯となり僕へ巻き付いてくる。咄嗟に魔法で逃げようとしたんだけど間に合わなかった。紐状の魔力に捕らえられてしまう。
魔力は口まで塞いだ。
踠いて紐を解こうにもどんどん力が吸い取られていくようで、手足に力が入らなくなって床に倒れてしまった。
倒れた音で起きたローズが僕に気がつき、声をあげる。
「なんだお前か」
そしてそのまま寝てしまった。
これには驚いた。もう終わったと思ったから。大声を上げられ、村人たちに捕まりこの村から追い出される。
でもローズはこんな夜中に男が自分の部屋に侵入しているのにそれだけで寝てしまった。
女の子がそんなので大丈夫なのか……?
捕まる可能性は無くなったけど、僕はこのままどうすればいいのかな。このまま、夜を過ごす?ローズから朝になんて言われるのかわからない。
結局魔力から抜け出すことは出来ず、僕は朝までローズの部屋にいることになった。
●●
見つかった日は拷問だった。
あの兄妹はどうかしてる。人前でなんであんなイチャイチャできるんだ。イチャイチャとは少し違うかな。
シンは、あんな1つのことで周りが見えなくなるような人だとは思わなかった。
……そこまで彼女に魅力があるということか。
ローズは、不思議な子だと思う。
年相応の女の子らしい所もあれば、僕より年上の大人の女性と感じる時もある。おかしいけどね?でもなぜだかそう思ってしまう。
部屋に入ってしまってからもローズは僕と話してくれた。シンはずっといたけど。
シンがいなくなってからは、もっと話すことができた。
楽しかった。彼女は、僕が今まで出会った女性とは少し違う。もっとローズと話していたいと、僕は思ってしまった。
だから僕は、ローズを僕たちの旅に誘った。




