第29話 今日も今日とて……ああっ!また失敗。
活動報告にて投稿は無しなんて言いましたが嘘でした。
シーナ目線
「ああ!心が本当に広くてお優しいお方!ですがこのままでは私が私を許せないので!…………はっ。やだ、私何口走ってるの……え、ろ、ローズちゃん。これは、えーっと……あの。その。違くて。いや違わなくて」
やだ私、何言ってるの。何言っちゃってるの!?ご本人様の前で!
ほら、変な顔してる!絶対おかしい子って思われた!
「待ってね、今のは無し。無しにして。聞かなかったことにして」
「いつまで這いつくばってるんですか?何か落ちてるんです?」
くっ……!そもそも青いのがいけないんだからね!女神を連れて行くなんて言わなきゃ私が慌てて平常心を保てなくなるなんてなかった……はずなのに!
でもそっか、この世界に土下座の文化はないんだった。いきなり地面に突っ伏したらおかしいよね。だから女神に変な顔されたのはそのせい!そういうことにしておこうか……。
「あんたには関係ない!これは私の気持ちなの!気持ちを態度で表してるの!」
青いのを睨みながら立ち上がる。なんでそんな面白そうな顔するの。昨日げろげろで顔真っ青だったくせに!また飛ばしてやろうか!
髪も顔も青かったのは見ものだった。
「土下座するほどのこと……?」
私が青いのを睨んでると、女神がポツリとそんな言葉を漏らした。
…………んっ?
土下座って女神言ったよね。この世界に土下座の文化はないんだけど……そっか、この辺りには無いだけでどこか別の地域にはあるのかも。女神は書庫によく行ってるから、それを知ってるんだ。そっかそっか。
一緒に書庫にいるのにこの青いのは何にも知らないんだね。こんなのが女神を連れて行くなんて!そしてこんなのに負けそうな私って!
「どげざ……彼女がしていたのは“どげざ”?というのですか?そもそも名称があるものだったのですね……」
「えっ、あっ、ああ。そう。もっと遠い向こうの方の国のもの。謝る時にする。自分の気持ちを最大に表すもの」
う〜ん、女神な上に知識も豊富。青いのにはもったいないよね。だからこそ、なんとしてでも女神の出発を止めなきゃ。
取り敢えず青いのの悪い噂でも流して、女神のご両親に会いに行くのを妨害でもするかな。
……ダメだね、こんなことしたら私が悪。女神様は青いのを嫌って無さそうだし……私が悪い噂なんて流したら女神が悲しむかも。それは、嫌だなぁ。私は青いの嫌いだけど。
じゃあ会いに行くの妨害しよう。これなら女神に実害ないよね!青いのを怪我させるとかじゃないし。妨害だし。行きづらくさせるだけだし。
……よくないか。いじめと変わらない。これで女神のご両親が、青いのが来ないことで『なんて非常識な奴だ!お前はそんな奴と絡んでたのか!』なんて女神に言ったら大変だし。
じゃあどうするのよ!
「気持ちを、最大に。そんなものがあるんですね。初めて知りました。……ローズはともかく、貴女はなぜ知っているんですか?その国の出身?」
「へ?私の出身は王都の方なんだけど。……あ、うん、そう!違う!親がそうなの!小さい頃にしてるの見たの!それで知ってるの」
危ない。本なんて読んでない私が遠い国の文化を知ってるなんておかしいよね、例え王都から来たとはいえ。
「へぇ……」
女神が目を細めて私を見た。嘘ってバレた?親がそんな遠い国なのはおかしかったのかな?
私は悪いことをしてしまった子供のように、女神から目を離した。……挙動不審だ……。
「では貴女はその国へ行ったことは無いんですね。……そちらに親族の方はいないのですか?」
親族も何も……この世界での両親は、王都生まれの王都育ちの母が、村を魔物に襲われて逃げ出し、魔物への復讐に燃え冒険者になった父に一目惚れして結婚したらしいからその国とはなんの関係もないし、母は一人っ子で遅くできた子供、父は家族も何もかもを魔物に奪われているから両親が亡くなった時には親族はいなくなっていた。……おじいちゃんは一回会ったきりで、すでにおばあちゃんは亡くなっていたし。
「いない、かな。て、ていうかあんたにはそんなこと関係ないでしょ」
「そうですが……いえ、失礼しました。ご両親のことを思い出させてしまったのならすみません。配慮が足りませんでした」
悲しかったけど、過去のこと。私が今一番大事なのは女神教なの。だからなんとも思ってない。
ていうか!青いのにそんな態度取られるとこっちが狂うんだけど!私を気遣うなんてこと、したことないくせにやめてよね。
「別に。私は過去をうじうじ振り返らない主義なの。そりゃあ悲しかったし、その後引き取られたシスターのとこなんてさいっあくだったけど今は最高だし。あんたがめが……ごほんごほん、ローズちゃんに変なこと吹き込まなきゃ最高のままだったのよ!」
また口が滑るとこだった。
言わなきゃいけないのはわかってるんだ、女神に対するこの深く大きな想いを。でも昨日それ言おうとして恥ずかしくて逃げ出したんだよね……ああっ、思い出しただけで恥ずかしくなってきた。好きだなんて言っちゃって……私ったら!
でもその恥ずかしさは、青い悪魔が言った次の言葉で吹き飛んだ。
「ローズは元々いつかこの村を出るつもりでしたよ?それが遅いか早いか、1人か複数かの違いでは?どこが変なことなんです?」
読んでくださりありがとうございます!
あらすじ少々変更いたしました。
いつ、彼女に愛を叫ばせるか悩んでいます……。




