第25話 ♪そぉらを自由に〜とっびたいなぁ〜♪
遅れました
短いです
重力を無視するって最高に気持ちいいと知りました。
「たっかーい!!すごーい!!もっと早く!」
「もっとだね!よぉ〜し!シーナ、いっきまーす!!」
「うぇっ!?ちょ、もうやめっ────うわあぁぁぁぁぁ!!」
いや、本当にすごく楽しくて気持ちいい。開放感がすごい。高い所からシーナに落とされるんじゃないかとか最初は疑ったけど、そんなことを考えたのが恥ずかしくなるくらいにシーナは私に付き合ってくれてる。
“ローズ”を忘れて素が出てしまうくらいに。
【飛翔】魔法は対象者に術者がかけることで術者以外も飛べるようになる。変なことし放題じゃん、と思ったけどそうではないらしく、対象者が心を許してないと上手くいかないんだって。
対象者は自分の意志では飛べないから、術者が対象者を操るしかない。触れてる方が操作しやすいらしくて、私たちは3人で手を繋いで飛んでいる。
あの木から落ちた時は咄嗟のことだったから飛翔魔法に風を吹き上げる魔法を混ぜて使ったんだそう。咄嗟の判断すごいな?
「急降下からの急旋回行きまーすっ!やっほうジェットコースターだぜ!」
「きゃーっ!たっのしー!」
ジェットコースターだと。ジェットコースターなんてこの世界には無い。……探したらあるかもしれないけど。やっぱりシーナは転生者。おかしいヒロインなのも納得できる。私が転生者ってバレたらやばいかな?
「大回転〜!」
「無理無理無理ですやめっ…………うっ……ぐぅっ……」
「あははははは!あんた顔やばいよ!るーくんよりやばい!」
シーナの向こうのノアがイケメンがしたらいけない顔してるんだけど。真っ青な顔。吐きそうなのか口元を手で抑えてる。
「この程度で酔っちゃうなんてよく旅出来てたなー?屁でもないぞ〜!うへへへよーしもっと訓練してやろ〜うっ!」
「ひぃっ!お願いだから降ろしてぇぇえええええ!」
シーナはすごく楽しそうだ。私も楽しい。
なんでシーナは私に話しかけてくるんだろう?悪意がないのはわかる。わかってきた。アレクを取り合ってた時より何か吹っ切れているというか、話してて楽しい感じがする。……もしかしたら、仲良くするのもいいかも。だってもう私は悪役じゃないんだし、バッドエンド回避もできてるっぽいし。そもそもノアとこの村を出て行くんだからバッドエンドも何もないね。
ならその日までシーナとは仲良くしようかな?同じ転生者だし、同い年の女の子だし、少しおかしい所を抜けばいい子ではあると思うし。
「ノア、弱い!」
「あははローズちゃんに言われちゃってるよ〜!」
「もうどうでもいいのでぇっ!お願いですっ!もうっ、もうっ、吐きそっうでっ……ぅっ……」
さすがにやばいと思ったのか、シーナがノアの手を離して下に降ろす。急下降で。
「うあぁぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”っっ!!」
ものすごい声を発してノアは地面に着いた。寸前でシーナがスピードを落としたから怪我はない。
降りた途端ノアは地面に膝と手をついた。
ノアの体に隠れているから私たちからは見えない。何をしてしまったのか。見ない。かわいそうだし。
「うはははははあいつ吐いてるぅ〜!いい歳して吐いた〜!ウケる〜!」
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