第24話 青いのに女神が連れて行かれる!バッドエンドなんてあり得ないから!
短いです
シーナ視点
私はローズ教の信者、シーナ。信者とシーナってなんか似てるよね。読み方が。
それはどうでもよくて。
最近私は秘密裏にとある情報を入手した。
なんでも、1週間の内に女神が青いのと一緒にこの村から出て行ってしまうという。
あり得ない!なんでこうなったの!?バッドエンドじゃん!どうすればいいの!?どうしよう!女神が!女神様!なぜ信者を見捨てるのですか!
お兄さんは何をしてるの?絶対止めるはず、って思ってたら言う決心がつかなくて、まだお兄さんには連絡していないらしい。
でも、1週間の内にお兄さんから許してもらえなかったら行けないよね。その間に私は出来る限りのことをしないと。グズグズしてた自分が悪いんだし。
おかしいなぁ、攻略必須アイテムの髪飾りだってあげたのになんの進展もない。あれ作るの楽しかったな。女神が身につけてくれるのを妄想しながら作ってたら結構いいものができて。私そっちの才能あるんじゃ?って思ったけど、女神のためじゃなきゃ作れないな。
でも女神はつけてくれないし。
もういい、アタックだ。親愛度が上がってないと大失敗してもう話せなくなるやつだけど、少しは上がってるはず。大丈夫。ここは現実。ゲームでは話せなくなるなんて“システム”だったけど、現実なんだから失敗しても懲りずに話しかけることはできる。心は抉られるけどね。
アレクは今いない。
よしっ、女神ー!ただ今参ります!
●●
女神は黒くなった木の下で青いのと話してた。
うわぁ、表情が柔らかい。いつも青いのの前では硬い表情だったからなぁ。わざとそうしてるみたいな感じだったけど。まあ楽しそうなのは何より……ってダメダメ、女神取られちゃう。
青いのはすごい楽しそうだな。いつも笑顔だけどなんかもっと自然な笑顔。目がキラキラしてる。すごくいい感じの雰囲気だ……。
ううん、大丈夫、行こう。
「ろ、ローズちゃん。こんにちは」
「……何か用かな」
くっ、そうだよね、私が話しかけるのは謎でしかないよね。今まであんな態度取って取られてたのに。アレクを好きじゃないとも言ったし、変な人でしかない。
「ええっと、用っていうか。私もお話ししたいなって思って」
「そう。……座る?」
少し悩んだ後に女神はそんなことを言ってくれた。
「座る!座ります!」
嬉しい。女神からのお誘いだよ!?ああ……幸せすぎる。
女神の隣に座る。近すぎたかな?女神がなんかちょっと驚いたみたいな顔して私を見てる。
「何の話してたの?」
「魔法についてですよ」
なんで女神じゃなくて青いのが答えるの。割り込まないで!……って割り込んだのは私だね。
「へ、へぇ。ローズちゃんの属性は闇だよね。どんな魔法を使えるの?」
「……私?どんなって大したことはできない」
「貴女はどんなことができるんですか?この前魔法で助けてくれましたよね。あれはありがたかったですが、熟練者でなければ飛翔魔法は難しかったはず……」
私女神と話したいの。青いのとは話したくないの。……はぁ。
そりゃさ、私努力したもん。難しかったんだよ。ローズルートでローズが言うセリフがあってね、『鳥のように空を飛べたらこの大きな世界を全部見て回ることができるのかな』ていうのなんだけど。これを聞いたヒロインが頑張って飛翔の魔法を使えるようにするの。
一緒に飛ぶんだよねぇ。この時のローズの笑顔がもうすごくって。引き伸ばして印刷して額縁に入れて部屋に飾ったよね。
この世界を認識してからずっとそのことばっかり考えてた。
「頑張ったの。空飛べたら楽しそうじゃない?せっかく風属性なんだから飛んでみたいなぁ、ってそう思って」
「……飛べるの」
ん!女神が自分から話しかけてくれた!なんか興味ありそうな声音!
「もう飛べるよ!この前は微妙だったんだけど、昨日試したらできるようになったの。最初は制御が難しかったけど慣れたらくるくる回ったり鳥と競争したりできるようになって。楽しかった!るーくん抱えて飛んだんだけどね、るーくん吐いちゃって。酔っちゃったのかなぁ」
青くなってた所でやめるべきだったな、って反省してる。その日の夜はるーくんほとんどご飯食べられなくてすぐに寝てたから。
「空を」
「うん、空を」
「鳥と」
「うん、鳥と」
「……楽しい?」
「すっごく楽しい!」
私のその言葉を聞くと女神は黙って下を向いてしまった。
もしかしてさ、もしかしてさ!飛びたいって言いたいけど今までの感じから遠慮してる?それじゃあ私から言わないと!この世界はストーリー通りじゃないからね!よぉ〜し!
「よかったら飛んでみない?」
「えっ。ほん────」
「僕も参加したいですね。空を飛ぶなどそうそう経験できることではないですし」
お前は誘ってねぇよ!黙って帰れ!
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