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隠し攻略ルートは悪役の私!? 〜乙女ゲームの悪役に転生しましたがヒロインから女神と崇められています〜  作者: 絡鎖
スピンオフ!番外編!この世界の私たち。

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添い寝と仕事

 腕の中の暖かいものがもぞもぞと逃げるかのように動くのを感じて、ギュッとつよく抱きしめる。動きが激しくなる。もっと強く抱きしめる。


 うん?


 まだ逃げようとしてるな。逃すかよ。足まで使って押さえ込む。


 「い”っ……!?い、痛い!しーちゃん!いたいってば!あ”ぅっ!?背骨っ!背骨がぁ!ごきって言った!ごきって!しーちゃん!!起きてよ!アレクにぃ!たすけて!いやぁ!殺される!」


 うるさいなぁ。動く湯たんぽ抱えてあたたか良い気分で寝てるって言うのに耳元でこんな……湯たんぽが喋ってる!?


 「うわぁ!?……湯たんぽじゃない!?」


 「朝からうるさいぞ!……お前ら一緒に寝てたの?なんだよ、痴話喧嘩なら俺呼ぶなよ……」


 「ちがうの!待って!アレクにぃ!いかっ、行かないで!置いてかないでってば!しーちゃん離して!」


 暖かいものの正体はるーくんだった。るーくんを抱き枕にして寝ていたらしい。こんな足まで絡み付けて。


 それにしてもるーくん、前はもっとふわふわだった気が……なんか体も大きくなってるし、全体的に硬いな。成長したってこと?


 「いつの間に……なんだなんだ、男じゃないかこれは男の肉付きになりかけて…………っ、な、なに、何で赤くなるの!?」


 「離してってば……!そうだよ僕も男だよ!いつまでも面倒見ないといけない年下の子、だなんて思ってたら大間違い……あれ?今まで僕がしーちゃんの面倒見てたよね……?じゃあそんなこと思ってないか。あのね、ダメだよ、しーちゃんもいい歳なんだから、そう言う関係でもない異性に、寝てる間中胸を押し当てるなんてことしたら。顔をどこにやればいいのかすっごく迷ったんだから。どの角度でも当たるんだもん。僕だから大丈夫だったけど、もし違ったら大変なことになってたかもしれないよ?」


 赤くなっていたるーくんはどこへやら、あっという間に冷静になったるーくんは私に説教を始めた。


 るーくんに面倒を見られてるという言葉の辺りで、悲しくなって緩んだ私の手足の間からスルリとるーくんは抜け出して、私にクドクドと言葉を連ねている。


 「大体しーちゃんは危機感がないんだよ、何でもかんでも楽観的に捉えすぎ!もう少し────」


 「いい枕になった?」


 「────へ?まく……まっ、まくっ、まくらっ!?そっ、なっ…………!」


 年頃の男の子には刺激が強いみたい。また真っ赤になってる。可愛いな!アレクならこうは行かないだろうな。るーくんだからこそです。一生可愛がってやる。あ、お嫁さんにはバトンタッチします。


 あんまりこういう系統で揶揄うのは、下品な感じがするから極々たまにしかしない。私はそういうお姉さんになる気はない。だからこそ反応がどれとも違って可愛らしいんだけど。


 「昨日のご飯ありがと。美味しかったよ」


 「…………っっ!!」


 起き上がって、前の会話を無視した言葉を投げかければ、るーくんは顔を真っ赤にしたまま部屋から出て行ってしまった。




◼️◼️




 女神は青いのに着いていくと言い、るーくんも女神に着いていくと言って消えてしまったのでアレクに仕事を押し付けようとしましたが、アレクは他の仕事で忙しそうだったので泣く泣く自分で片付けている私です。


 どうして私はルス教なんかの復興を考えているんだろうか。私は女神教の教祖なのに。どうして。


 別の国からのアルカーナ支援の文書を眺めながら考える。


 当初は女神教を広めるための踏み台にしようと思ってたんだよね。やり方を見て、内部から教えを変えていければなって。上手く行ってないけど。


 ほぼほぼ共通認識として信じられ信仰されているルス教は、宗教を広めるなんて考えは現在はしてないし、信仰してない人は異端だし。広める、始める、と言う点では非常に参考にならない!


 認識だって、長い間信じられてきたものを変えるなんてそんなことはすぐにできるはずもなく。最近起こったこと、つまり女神たちの事件の真相を間違いなく広める程度しかできなかった。


 だから闇属性に対する忌避感は未だ残っている。


 女神は別だよ?だってルス自らがみとめたお方、だもん。それは感謝だよね。そうでもなきゃ女神がこの国に来た時点で大騒ぎだから。女神が大変なことになる。


 その内ちゃんと闇属性に対する認識を変化させていきたい。女神が特別というのは、ここの人たちは当事者だからわかってるけど、別の場所だと他と変わらない闇属性なのだから、早く認識を変えさせていきたい。


 何年かかろうとこれだけは絶対に実行するから。


 「うーん。この国やだな、すごく恩着せがましい感じがプンプンする。この国の支援受けたくないな〜。これじゃ本当に“支援”になっちゃうじゃん。よくないなぁ」


 「どれでしょうか。……ああ、その国ですか。いつも同じ調子で送ってくるところですよ。付き合いが長いので、離せないのです。熱心に信仰していますしね。ですがまぁ……教祖さまが代表になった、方針が変わったと断ってもよろしいかと」


 私の言葉にそう返してきたのは私の秘書(見張り)のユヤ。出来る人間。中性的な見た目で未だに男なのか女なのかわからない。女神で鍛えられていると思っていたけれど、私の中性識別能力は女神専用だったらしい。


 私の見張り役はみんなこんな感じでなんか冷たい。ていうか私に対する態度が軽い。


 「そう?じゃあここは断って……こっちは受けよう。ここも。ここは嫌だから断る。あ〜もう確認書類いくつあるの……てか外交って王さまの仕事じゃないの!?」


 「国の数だけございますね。アルカーナを助けたいとそれだけ周囲に思われているのですよ。それと残念ですが、国王陛下にそれを求めるのは国の終わりと同じかと。初めに申したはずです、陛下は本当の本当にお飾りでしかないですよ、と。政治など理解しておりません。終わった後は教祖様が案を出された観光政策についての報告書が残っております」


 私も政治など全く理解しておりませんが?平気かアルカーナ。


 勘とその場の雰囲気で今まで乗り切ってきたけど、そろそろきつい。復興で何が良いかって聞かれた時に適当に観光やろうよって言ったらそれ通っちゃったし。きつい。言い出しっぺだからすること多い。でも責任者をアレクにした。またアレクの村帰りが私のせいで遅くなる。


 でもまぁ仕方ないよね。その内ここの光属性の人に頼んで転移の魔法陣設置してもらうから……。


 アルカーナには独自の転移魔法陣がある。ここで登録した人だけを通すようになっている魔法陣で、それ以外の人は使うことができない。国外秘の技術で、光属性の限られた人にしかそれは教えられていない。もちろん私も知らない。もし、それ以外の転移魔法陣を設置しようとしても何かレーダーみたいなのがあるのか、すぐにバレて対処されてしまうとか。


 特別な位置の国だから、もし魔法陣を利用されて軍隊転移させて攻められでもしたら大変だもんね。そこらへんは対策されてるらしい。


 私が頼んだことは大抵実行されるから後で言っておこうね。脳内リストに追加だ。


 「青……か、神の代理人の方は今どうなってるの?進んでる?」


 「ノア様の助けもありそろそろ終わると先程連絡がきておりました」


 「終わるって言った?全部?」


 「はい」


 あの量が直し終わったの?こんなすぐに?私と女神とのいちゃらぶ無しに?観光案内してあげたかったのにその時間もなく?


 嘘でしょ。


 「冗談言わないでよ〜。すぐ嘘ってわかるよそれは流石に」


 「冗談……?いえ、事実です。目を逸らしたいのは分かりますが、終わってしまうものはありがたいことではありませんか」


 それはそうなんだけど!


 「くっ、このままじゃ終わらせられない、せっかくここまで来てもらったのにこんな……!青いのに押し付けてその間は女神と過ごすつもりだったのに!」


 私は行かなくてはならない。今すぐに、女神の元へ!るーくんが付いているとはいえアルカーナに来たのだから、私の目の届く場所に来たのだからもう我慢はできない!


 と、張り切って立ち上がった私の肩を押さえてまた椅子に座らせるユヤ。力が強い。肩に爪が食い込んでいます。


 「代表?何をするおつもりですか?」


 目が怖いよぅ!獲物を見る鷹みたいな目してる、これは食物連鎖で上に立つ者だ。


 くっ……。ここは一旦退くしかない……。


 「……しごとです」


 「はい。そうですね」


 ようやく解放された。流石秘書(見張り)。黙って続けるしかない……。





◼️◼️





 休憩のお許しが出たのはそれから数時間後だった。昼も過ぎてるしさぁ。あーあ、女神今なにしてるのかな。


 「シーナ。これ確認頼む。今日のリストだ。あと採寸があるから後で部屋にって」


 「なんのリスト?」


 声を掛けてきたアレクから紙を受け取る。ようやくの休憩時間なのに……。


 「宴会でもすんの?何これ、パーティー?」


 「え?建て直しが終わったのと、ノアへのお礼みたいなやつ?をやるって言われたんだけど。そろそろ神へ捧げる儀式が近いから、一緒に執り行うって……」


 誰が言い出したんだ。


 ここの人なら誰でも言いそうですね、女神と居られる理由になりそうなので許可しますが。


 青……ノアへの、ってのは気に食わないけどまぁ、祝福を受けたのと、神自身が降りた器はこの宗教では(・・・・・・)後者が重要視されますからね。それに主役ならあちこち引っ張りだこだろうし、女神と離せるからよしとしましょう!


 「ふーん。面白そうって言ってルス来そうだな。大騒ぎになりそうだからちゃんと準備するかぁ……仕方ない、こっちはやるからちゃんと女神の支度やっといてね。ついでにあお……ノア、のも」


 「他のやつらが張り切ってる。あと、さ。朝から通信用の魔道具がうるさいんだが……」


 シンだな。放置してやれ。……いや、ルスが面白がって来ないように結界張らせるのもいいかもしれない。言いくるめれば一晩は帰る時間延びそうだしね。


 「対応しとく。女神は念入りにね!」


 さてやること沢山だ!これは女神と居られる時間を作るため、綺麗な女神を見るためなのだから辛くない!張り切るぞ!




 「お、おい!お前の服の……おいって!」

次でたぶんシーナ回は終わります

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― 新着の感想 ―
[一言] >「え?建て直しが終わったのと、ノアへのお礼みたいなやつ?をやるって言われたんだけど。そろそろ神へ捧げる儀式が近いから、一緒に執り行うって……」 シーナ「よし、青いの(の命)を神へ捧げ物…
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