第23話 これからのこと。
短いです。2000無い
正直悩む。
何のことか。
そう、私はノアに誘われていた。
“一緒に旅をしないか” と。ノアと、ノアのお父さんと。
それと言うのも、いつか1人でこの村を出て世界を見て回るつもりだ、と私がふと言ってしまったことから始まる。
私はいずれ村の外に出たいと思っている。それが早くなるだけ。推しと旅するなんて最高じゃない?
足の調子が良くなってきたから近いうちにノアはこの村を出発すると言っていた。だから早めに決めてほしい、とも。ノアのお父さんにはもう言って許可を取ってるって。
迷うなぁ。
…….いや、迷うことないのかな。ついていく。それでいいんじゃない?バッドエンド回避できてるし、推しといれるし。兄さんと揉めそうだけど。
なんでノアは私を誘ったんだろう?
恋愛感情があるわけじゃないと思う。ノアからそういうものは感じない。やけに構ってくるけど、それは何か別の理由だと思う。
嬉しいけどね?推しをたくさん見ることができて。話すことができて。私からの態度は酷いって自覚あるけど……推しの前で冷静にはなれない。なら一緒になんて無理じゃないかって?いや、それとこれは別。1人で旅するより慣れた経験者がいた方がいいに決まってる。
誘われたことはまだ父さんにも母さんにも言ってない。
まず、2人に言って許可をもらおう。それから兄さんだ。と、その前にノアに言いに行かないとね。決めました、って。
●●
ノアは書庫にいた。
薄青のシャツに黒のズボン。青く長い髪は頭の上の方で結ってある。ポニーテールノア。いい。うん。
「こんにちは。ここで会うのは久しぶりですね?」
しばらくノアは寝泊まりさせてもらっている家から出てこなかったから、書庫で会うことは無かった。
「そうだね。足はどう」
「いい感じです。まだ違和感はありますが、歩く分には問題ないかと」
「そう。良かった」
いつ言おう。いつ言うのがいいのかな。
「はい。お兄さんにありがとうございます、助かりましたと伝えてください。万能の光の治癒ではないのですね、完全には治りませんでしたが、とも」
毒だ。笑顔で毒を吐いてる。もしかしてノアは気がついてるのかな、兄さんが軽い浄化の魔法しか使わなかったこと。
「面倒なことになりそうだから嫌」
「ふふ、その通りです。いいじゃないですか、この村から出て行けばその面倒も無くなりますよ?答えは決まりましたか?」
ノアの方から聞かれた。有難い。
「……うん、決まった」
「聞かせていただいても?」
「一緒に、行きたい。1人より旅慣れた人と居た方がいいに決まってるから。まだ親には言ってないけど」
なんて言えば許可してもらえるかな。最初はダメって言われるだろうけどさ。自分はこれだけのことができます!っていうのを見てもらわないとだよね。
ノアは私の言葉を聞いて嬉しそうに笑った。柔らかい笑み。あ、無理。顔が良くて目向けられない。
「嬉しいな。ローズがいれば、僕たちの旅は楽しいものになると思います。その言葉を聞けてよかった。父もローズが来るつもりで準備をしてしまっているんですよ」
ああ、それはなんだか嬉しいな。親子の旅に私が本当について行っていいのかわからなかったから。行くって決めたのは私だけどね?
それより、闇属性の魔法を使う私なんかを連れて行ってくれる2人に感謝。
「これからよろしくお願いします。私、旅なんて何もわからないから。覚悟はある。迷惑かけると思う」
「誘ったのはこちらです。なので御心配なく。最悪の想像はいくつもしてありますので。ただ、父も僕も心配しているのは女性が男2人旅で大丈夫か、という所です。ローズ自身が、という意味ですよ?女性は色々と大変なことがあると思いますので」
うーん、でも荷物とかは影に全部入れられるだろうし、体力には自信ある。村の小さい子たち相手にしてからものすごいついたと思ってる。
大変なこと。他になにかある?筋力とか?それは自信ないかな……。
「……大丈夫、だと思う。筋力に自信はないから出発までに筋トレしておく」
「きん……とれ?筋力?いえ、僕の話との繋がりがわからないのですが……。まあ大丈夫というのなら大丈夫でしょう。では、よろしくお願いします」
筋力じゃない?
女の辛さと男の辛さとかそういうことだったのかな。それだったら私はあまり気にしないから大丈夫かな。
それより兄さんの対処を考えないとなんだよね。絶対反対する。1人なら、まだ最後に折れてくれると思うけどノアだから。ノアと兄さん仲良くないみたいだし、言うの怖いな。
どうしよう。
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