よだれが止まんないね
前回更新から1ヶ月経っているって本当ですか?時間の経過とは怖いものですね。
村を一周した。
いや、正確には三周。一周も三周も誤差の範囲。
過去の思い出と、様々な記憶を頼りにこの空間に浸ってました。楽しい。とても楽しい。
おばさん達にるーくん居ないことを悲しまれたりるーくんは?って何度も聞かれたりしたけど楽しかった。もう一回回ろうかな。
「今度は空から行くかな〜」
「シーナ」
「っわぁあ!?めがっ、いや驚いてない驚いてないそんないきなり陰から出てくるからって驚いてない」
「めちゃくちゃ驚いてる……探したよ。どこに行ってたの。着いてきてると思ったらいないから」
それはそれは……嬉しいことです。私のために時間を使ってくれたと。でも久しぶりに帰ってきたんだし、私のことは気にしないでもらいたい。
「お話邪魔したら悪いな〜って思って!せっかくの帰省だし」
「大したことは話さなかった。魔道具で話せているから。行こう?母さんがお客さん!って張り切ってるの」
それもそうか。なんたって女神にはシンが付いている。魔道具が壊れたって直せるしそもそも転移の魔法陣設置しちゃってる。
でも帰ってきたわけだし、直接話すのと魔道具越しとはまたちょっとは違うんじゃないかな〜。
女神の言う通りに気にせず大丈夫なのかをウンウンと考えながら女神に着いていく。目指すは女神の生家。
知った道を連れられ、家の中まで案内される。あれ?ドア開けてもらっちゃったけど私がするべきだったのでは?
「失礼します!」
「来たね、シーナちゃん。ここまであの子をありがとうね、お疲れ様。滞在中はゆっくりしてって!」
家の中へ入れば女神のお母さま……つまりゴッドマザーじゃん……やだこの家神々しい……。ご、ごほん。お母さまからそう言われた。
私は夢の時間を過ごしただけなのでこちらこそありがとうなんだよね。うん、お礼はちゃんと言わないと。女神の全てに感謝を。
「いえ!こちらこそです!あ、これどうぞ。アルカーナってわかります?そこのお土産です」
「ぶっ……ゲホゴホッ……!」
「やぁね、あなた。汚い。ここ田舎だし、私教養もないから他所のことはわかんないの。ごめんねぇ」
女神も知らなかったし、知らなくてもおかしい事はないけどお父さまは驚いたように飲んでいたものを吹き出したから、知っているらしい。
まぁ世界の宗教の総本山とも言える国だから、知っててもおかしい事はない。ここからは結構離れてるから知らなくてもおかしくないけど。あれ?とすると、情報まで入ってこないような遠く離れてる地と地を、こんなすぐに移動できてしまう私はおか……しくない!実力って考えたらおかしいことなんて何にもないんだから!
「よくその国でお土産なんて……色々厳しいって噂くらいしか知らないが……」
確かに厳しいな。情報統制に思考誘導、人体実験……。今でこそ消したものはあるけど人々の考え方まではそうすぐには変えられない。
ルスが最後に女神に加護を残っていた信者の前でかけてくれたおかげで女神という最高神は認められているけれど、闇属性の魔法に対する忌避感は未だ薄まらない。でも前よりはマシになったんだよねぇ、すぐに捕らえてくるなんてこと無くなったから。
遠い道のりだ。
「今私、その国に住んでて!とっても綺麗な国なんですよ。良かったらこれ、絵手紙です。観賞用として置いておいてもいいし、使っても評判良いこと間違いなし!腕のいい絵描きを連れてきて描いてもらったんですよ〜」
国としての在り方は気に入らなかったけど、あの白い街並みは世界のどの国と比べても胸を張れるほど綺麗な所だ。私が設計したわけじゃないけど。
外の人に自慢したくなった私は、絵師を雇った。私の国でもないけど。
その絵師とは、チャラ男の監視を任せていて現在1番その腕の実力を知っているリウ。最初、こういう風景画は厳しいって言ってたけど街を見たら描くって言ってくれて。リウもリウで漫画家としての仕事があるから時間はかかったけど、あの風景をここまで綺麗に描き表してくれて。追加でチップ渡すべきだったなぁ。
「住んで……!?」
「はい!クソきょ……じゃなくてルス教の、指導員みたいなことしてるんで」
「ルス教の発祥国でルス教の指導員……!?」
「そうなんです!改善点が沢山あって毎日楽しいです」
お父さまは混乱して頭を抱えてしまった。
一気に情報を与えすぎた模様。でもいずれ知る事になったであろう情報だし、それが早いか遅いかだよね!絶対にさ、『君は今何をして暮らしているんだい?』って話題になるでしょ。それが今だっただけ。
「と、とりあえずシーナの事はそれくらいにして……お客さんの部屋なんてないから私の部屋使ってもらうことになるけどいい?私は兄さんの部屋使う」
「えっ!?いっ、いいの!?」
「良いも何も他に部屋無いから。兄さんの部屋を使ってもらってもい「わかった!ローズちゃんのお部屋借りるね!」
シンの部屋なんて嫌だ。怖い。と食い気味に反応すれば女神は苦笑いしながらこっち、と私を手招いた。お部屋案内ですようふふ。
そもそも女神の住むこの家はこの村の中では大きい方で、立派なんだけどやっぱり“前”やアルカーナ、女神の現在住所の王都と比べると随分小さい。お部屋もベッドと机、棚が置いてあるくらいで至って普通のお部屋。シンプルなの素敵。
「荷物は適当に置いてもらって……特に何も無いけど、あんまり漁らないでもらえたら嬉しい」
「そんなことしない!」
枕の匂いを思う存分嗅ぐことはする。
帰郷編終わったら次の話どうしようね……。




