時としてそういう事もあるもので。
短いです
「風よ!……あ”〜くっそ!憎たらしいけど握りやすいし軽いし魔法使わなくてもスルスル斬れんのほんっと憎たらしい!!女神泣かせたら許さないからなーっ!!」
シーナです!
「あははっ!シーナ、風で髪の毛変な風になってる」
絶賛女神とデート中!ひゃっほい!
しかも今回野宿デート。野宿デートなんて私も聞いたことないけど長いこと一緒に入れるのには変わらないし、旅してた時とは違って私と!女神と!2人っきり!
これよくシンが許してくれたなぁって思ったら、最近知り合いに女神の自立を潰したらダメって言われたらしく、私と2人だからという事と女神自身の冒険者としての実績を見て許してくれたらしい。強くなった(元から強くてかっこよかったけど!)女神も素敵。
「えっ。うわっ、あっ、ちが、ローズちゃんに触られるのが嫌なんじゃなくて行為に驚いて後退りしちゃっただけでその!……ローズちゃんが直してくれるならやってほしい……な?」
女神から手を伸ばされ恐縮で体が勝手に動いてしまった。失態だ。それでも教祖なの、私は!
おずおずと頭を差し出す私はまるで女神に頭を垂れる敬虔な信者。うん、大丈夫なはず。女神はそういうのわかってくれる。
「ふふ、頭下げてたら直せない。上げて?」
「ああ!なんと慈悲深i……違う違う、はい。お願いします!」
笑いながら私の乱れた髪を優しげな手つきで直してくれる女神。目つきが優しくていいですね……。うっとりしちゃう。
こんな私たちが今回目指す目的地は、女神の故郷、つまりはじまりのあの村。シンが転移の魔法かけたからすぐ行けるって言ってたけど、女神が自分の足で行きたいって言って譲らなかったからこの幸福な一時は生まれている。
日程予定としては、できるだけ長くしたいけど女神だってご両親と沢山話したいだろうなって思ったから村への滞在を長くして、四日間くらいかな。飛べば村までの時間なんて短くできるし。
つまり、ちょびっと戦って飛んで、飛ぶのに飽きたらまた降りて、みたいなね。早く飛べばすぐ着くことはできるんだし、別にわざわざ危ない外で寝なくてもいいんだけど、出る時に女神が『今日出て、シーナの言う通りに飛んだとしてもどれくらいで着くのかな。明日の昼くらい?この前遊びに来た時はアルカーナを朝に出てここ来たのはお昼くらいだったよね。……アルカーナの方が離れてるけれど、今度は2人で飛ぶわけだし。ずっと飛んでるわけでもないよね?』って。女神の予定ではそうなってるんだから私、合わせます。決して結界張った安全な夜の森で火を眺めながらゆっくり話したいとかそんなわけじゃない。違うから!
そんでもって青いのに渡された剣を手に、私たちは王都を出発したのだった。
剣なんてほとんど振ったことのない私でも簡単に振れて、とても良く切れて魔法を乗せた斬撃を出しやすい。つまりはたぶん良い剣ってこと。たぶん。たぶんだよ。私剣のことなんてわかんないもーん。……いいものだなんて認めないんだから!
女神も剣使ってた。ウフフ。様になってる。カッコいい。私が剣に魔法纏わせて使ってるの見て同じようにやり始めた女神もとてもカッコいい。うまい具合に剣が壊れないレベルにやるの難しいんだよね。うん。前に似たようなことしようとして教会の一部壊したのはいい思い出。
私が女神に手取り足取り教えてさ。初めは木の枝から。木に闇の魔法って言えば村にいた時のこと思い出すなぁ。……チッ、青いののことも思い出して来ちゃった。やめやめ。
「はい。これで大丈夫。行こうか」
「ありがとうございます!よしっ!飛ぼうか!」
女神に触られた辺りを意識しながら返事を聞く前に女神の手を掴み、空へと飛び立つ。
気分ウッキウキ!興奮が止まりません!
もうね、ニコニコが収まらないんだ。ずっと。女神とお出かけ出来るって知った時からずっと。青いのでもシンでもなく、私がご指名って聞いた時からずぅっと。
女神曰く、『兄さんは仕事あるし、ノアは途中で体調悪くなっちゃったらって心配だし。それにね、前からシーナと旅するのは楽しそうって思っていたんだ。シーナとなら兄さんも許してくれるだろうし、楽しいと思うのだけど……駄目、かな?忙しい?』だって!だって!!
忙しくないよ!ってすぐ返事して、絶対にサボれないものだけ急いで終わらせたら出発日までだいぶ暇になっちゃったんだよね。楽しみにしすぎて仕事も捗る。出て行く時のるーくんの様子的に1週間は大丈夫そう。
こうして野宿デートは始まったのでした。




