とある昔話2
セリスから私がどう思われてるかはよぉくわかりました。図太く無神経で子供のくせに生意気な女。それを両親に言ったら、『今更そんなこと言われたの?わかってると思ってた』『それで今まで付き合ってくれてるんだから感謝しろよ』だとさ。
泣きたい!!
図太く無神経って最悪じゃん!しかも生意気。最悪のオンパレード。私ってもしかしなくてもただの性格悪い女だったの?
「はー、つら」
「辛いこともないのに辛いって言うのは本当に辛いことがある人に失礼だと思う。謝って」
「いやなんで!?私にも辛いことくらいあるんですけど!」
「はいはい。そんなのないくせに見栄張らなくていいよ」
失礼な。私にも辛いことくらいある!セリスに言われたこととか!周りからの評価とか!そもそも辛いことで見栄張るなんて聞いたことないから!
「セリスのばーか!私だって悩みますぅ〜」
「なんとも幼稚な……例えば?」
「将来のこととか」
「どんな?」
「…………死んだらどうなるんだろうって」
「馬鹿はリアだね」
くそっ、頭が良くないって自分では言うけど絶対セリス、私より頭いい。いや私が何にも考えずに言葉を発してるだけかもしれないんだけど。考えてる分セリスの方が上なのは当然だよね。はは。
言い負かされる率高い気がする。前世含めても、今世だけでも私の方が年上なのに!言い負かされただけで頭良いって判断してる訳じゃないよ?もちろん。そんなので頭良いって思ってしまうほど馬鹿ではない。……はずです。今までのセリスを見て、だからね。
「でもさ!死んだら本当にどうなると思う?神の天使ってほんとだと思う?」
「さぁね。でもリアは天使にはなれないよ。清き行い全くしてないからね。だからまた生まれ変わっちゃう。たぶん次は野良犬とかかな?」
「はぁ!?」
その通りだけど実際に言われると腹立つ。てか野良犬って何!
「……天使になることが救われる道って大人は言うけど、僕はそう思わないなぁ。神に仕えるってことはさ、もうこうやって過ごせないってことでしょ。人じゃなくなるんだもん。高位の存在?になるって神父様も言ってたもんね。僕、ここでこうやって生きてるのが好き。人として生きてたい。だから死んでもまた生まれ変わりたいんだ。人として」
神父の話が出てきたのは胸糞なんだけど、私も生まれ変わって生きていたい。地球で生きられないからここに来たのに、何も変わらなくなっちゃうからね。
エタンシェレ教では、生まれ変わることは悪とされている。清き行いをしなかったから天使になれなかった悪人。輪廻転生が信じられていない。輪廻転生って死んでまた生まれるってことであってたよね?
まあそんな合ってるか合ってないかはどうだっていいんだけど。
なーんでこんな世界にあの神は私を送り込んだのか。謎。清き行いなんてしないって見抜かれてたのかな?ムカつく。
「天使になれるほど清き行いをしてる人ってそんなにいないんじゃない?だってそうしたら世界から人居なくなっちゃうし」
「まぁ……確かに。でも、生まれ変わらなくなった分神様が生まれさせてるとしたら関係ないよね。うーん、そうしたら天使がものすごい数になるからやっぱりリアの言う通り、清き行いをできてる人ってそんなにいないのかな」
「てことはさ、私たちだって神が新しく足した命かもしれないし、天使になれずに生まれ変わった命かもしれないってことだよね」
私の場合は他の世界からきた異物ですが。
地球でも死んだらどうなるのかなんてわからなかったんだからこの世界でもわかるはずがない。まあ魔法なんてあるから、天使はあり得るかもしれないけど私がなるはずないしね。
地球で生きられなかった分、のんびりゆったり暮らしていければなんでもいいけど。
「僕もリアみたいに異端なのかなぁ。生まれ変わりたいなんて、リアの前でしか言えないや。……ね、内緒だよ。今話したこと誰にも言っちゃダメだからね」
「んー、わかってるって。そんなの言う相手いないし〜。てかその前に信じてもらえないよ。私の言うことなんてみんな戯言って思われてんの知ってんでしょ」
自分で言ってて悲しいが、実際そうなんだ。変なこと言っても真面目なこと言っても戯言。また変なこと言ってるよ、って。酷くない?前世を思い出す前からそんな扱いだったからね。
「僕まで同じに思われたら嫌だもん」
「何それ酷。まーわかってますけどー。私は一生そんな扱いされるんだって。……考えたら虚しいなこれ。雑に扱われてるけど、冷たくあしらわれてる訳じゃない。嫌われてる訳じゃないのはわかるけど、悲しいぞ!!」
「そんなだからじゃない?……あ。おばさんだ。リア、お母さんが何か……」
セリスの指差す方向へと目を向ければ確かに母さんがいた。手を振って……ん?手を振る、ってよりはあっちいけってやってるみたいだな。なんだ?
「何ー?どうしたの?あれ?知らない人が続々……あっれ変態神父じゃん!待ってじゃあ残りは教会の人!?マジで!?私やばくない?」
「リア!そんなこと言ってる場合じゃない!おばさんが捕まってる!」
「逃げなさい、リア!あんたがおかしい子ってのはわかってるけど、それもあんたの個性だから!だからね!教会に従うことなんてないの!逃げなさい!この変態の毒牙にかかる前に!」
ひぇぇ、何これどんな状況?




