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隠し攻略ルートは悪役の私!? 〜乙女ゲームの悪役に転生しましたがヒロインから女神と崇められています〜  作者: 絡鎖
スピンオフ!番外編!この世界の私たち。

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騎士の日常

名前が出てくるのでシンの同僚おさらい

ユーラ

憎きラクスの兄。常識人。

サウラ

料理が上手い。よくオーマに巻き込まれてシンの魔法を浴びる。

オーマ

馬鹿



前半と後半、ギャグから急に雰囲気シリアスになってます。なってしまいました。

 突然饒舌に話し出したローズ。笑顔が可愛いな。いやそうじゃない。


 ヴァルツという男は闇属性の魔法を使う。ローズと同じだ。なんだと。……なんだと!?


 ローズと属性が同じだからといって、ローズに近づいていいってわけじゃない。ローズに悪影響を及ぼす者は全て排除だ。


 でもそいつがいなくなったらローズが悲しむのか。同じ闇属性なんだもんな。悔しいな。笑ってたしな。


 男がみんな悪い訳じゃない。ナラルさんはいい人だ。もちろんノ……いやアイツは悪だ。元凶現悪(元々悪い今も悪い)だからな。


 実力は認めてやるし、アイツの存在がローズの幸せというのも認めてやる。だけどローズを村から連れ出したのはいつになっても死ぬまで許さないからな!それをしなけりゃローズの中の大きな存在になんてならなかっただろうし。


 俺が着いてなかった間、ローズとどんなだったんだろうか。変なことしてないよな?村にいた時から仲の良さそうな感じはしてたけど、なんかもっと距離が縮まってたし。俺の存在、ローズの中でアイツに負けてるなんてことないよな?


 あークッソ、イライラする。まだアイツの体の調子が本調子じゃなさそうだからやらないでおいてるんだが、そろそろ『ぼろぼろに泣かせてやる』ってのを実行したい。有言実行。


 「私も色々手伝ってて、あそこで顔見知りの人も増えてきたんだ。ここの組合の人たちはいい人ばかりですごく気持ちがいいの。前行ったとこなんて、ランク低いからってめちゃくちゃ馬鹿にした態度ですっごくムカついて……ナラルさんとノアは笑顔で大人の対応してたけど、顔引きつってたなぁ。その後ノアがよくわかんない足が生えた魚みたいなでっかい魔物獲ってきてから、掌返してきて。もーっとムカついたの!」


 「あ〜可愛いなぁ、ローズは」


 「えっ?……えっ?」


 口に出てたらしい。だけど事実だから別にいいか。怒ったように口をへの字にしながら話すローズも、いつのローズも可愛いしね。


 でもそれは今言うことじゃなかったな。俺のアホ。


 「そうだな、どこの組合だ?ちょっと粛清してくるよ」


 「い、いや大丈夫だから!もう過ぎた話!」


 「過ぎてないけど?現在進行形でイライラ度は増してるけど?大丈夫だ、何も心配しなくていい」


 「平気だから!ね!組合の人にもノアがちゃんとスッキリすること言ってくれたし!」


 ローズがそこまで言うのなら、変な噂を流すくらいにしたい。だからどこの組合なのか教えてほしい。そうしたら、ふとした弾みにそこの組合が消えてるなんてことになってるかもしれないけど俺のせいじゃない。


 「スッキリすること?」


 「うん。その時そこの組合はノアが獲ってきた魔物を倒す人探してたんだけど、なかなか集まらなくて困ってたみたいで。でもノアが一人で倒しちゃったでしょ、それで『相手の実力さえわからない間抜けな貴方達なんですから、この程度に手こずるなんて当たり前のことでしたね!わからなくて申し訳なかったです』って。それ言ったら、ちゃんとした依頼として受けなかったから報酬は無しだ!とか組合は怒ってたけど、その魔物解体して他の場所で売ったら正規報酬より何倍も高い値段で売れたの」


 アイツもたまにはいいことするじゃないか。ま、当たり前だな。アイツ前の状態でもそこそこ強かったし。


 ていうか足が生えた魚みたいなでっかい魔物って、ラントルイーバじゃないか?水陸どっちでも生きられて、川の上流に巣を作りそこで水止める厄介な魔物。騎士団に組合から流れてきた依頼で一度討伐したことがあるが、その時は知らされた魔物の大きさと、貴族の坊ちゃん達の安全を考えてなのか6人の討伐隊になって行ってたな。


 確かに、普通ならそのくらいになるくらいの強さだった。俺は後方で坊ちゃん達に強化魔法掛けてるだけで対峙しなかったけど。俺がやったらすぐ終わるしな。坊ちゃん達の面子(メンツ)が潰れるだかなんだかで面倒なことになるから(団長に言い聞かされて)、後方支援に徹してたってわけ。


 団長居なかったし、ちんたらやってるの待ってるんじゃなくてさっさと倒しちまえば良かったな。すごく退屈な仕事で半分寝かけてたし。今ローズの話を聞かなければ忘れてた程度のもの。


 本当にその組合に集まる冒険者は弱いのばっかりだったんだな。シーナでさえ倒せると思うぞあんなの。


 「へぇ。あの魔物色んなのに使えるもんな。倒しにくいから市場に出回らなくて値段高くなるけど。ローズも防具とか買うんだったら高くてもラントルイーバ使ってるのにした方がいいぞ。鱗は固くて武器にも防具にもできるし、色も綺麗だからアクセサリーにもなってるしな。骨も丈夫だから竜骨と並んで使われるほどだし。加工が難しいんだけどな。それも値段が張る理由だ。俺も何回か使ったことあるぞ。魔道具の部品に。血は薬品にも塗料にも使うみたいだし、肉は素人が料理しても絶対旨くなる高級品。今度売ってたら買ってみるよ」


 一度だけ食べたことがあるけど、あれは美味しかった。ローズにも食べさせてやりたいけどあれそもそも売ってないんだよなぁ。


 今度の休みにでも自分で獲りに行くかな。


 「へぇ〜。じゃあ肉は取っておけば良かったかも。鱗は綺麗だったからいくつか影の中に入れておいたんだけど」


 「加工してやろうか?」


 「いいの?いつか嵌められるような金具買って使おうって思ってたんだけど忘れてて」


 そう言いながらローズは鱗を影の中から取り出した。綺麗な状態の鱗が全部で5枚だ。


 どうしようかな、細工師探してもいいけど俺が加工したいな。形はシーナに頼むかな。アイツ細かい装飾系任せたらすごいからな。俺が考えるより良いのを作り出す。


 だから形だけ任せて、実際にやるのは俺にしよう。


 「いいもの作ってやる。楽しみにしとけ」


 「うん。……兄さん、そろそろ他の人も帰ってくるし、さっきからナラルさんのニコニコした顔が痛いからもういいかな……?」


 「気にすることない。別にナラルさんも悪い気持ちでやってるわけじゃないし。何が問題なんだ?」


 「私の精神」






◼️◼️






 最終的にユーラ達が帰ってきた時にローズは影の中に入ってしまい、俺がノアを泣かせてようやく出てきた。わざとじゃないぞ!


 イライラしながら(もちろんローズにではなく、変にニコニコしてたオーマに)ノアを診たせいなのか、何か力の調節を間違えたらしく、気がつけばノアは幼い子供のように声を上げてボロボロに泣いていた。


 『何したの兄さん!?』


 出てきて1番に言ったのがこれ。ノアの頭を抱えて、俺を睨みつけて。


 本当にわざとじゃない。ノアを泣かせてやる、とは思っていたけどこんな風に騙し討ちみたいにやるんじゃなく、真っ正面から実力で泣かせるつもりだった。


 俺が、治療間違えるなんて許されない。もしこのノアがローズだったらどうするつもりだったんだ。言い訳もできない。


 どこをどう間違えたのか、記憶の混濁がすごいらしいノアは泣きながらローズにしがみついている。


 『離さないで……消えたくない……』


 弱々しい声で呟くノア。流石にこんな状態のノアに、ローズから離れろというような気持ちが湧くことはなかった。


 ローズには詳しく話してないが、ノアが元通りになるのは厳しいと思う。これはナラルさんにも言ったし、ナラルさんもそれでわかってくれている。だから俺がいつもしてるのは、少しでも楽になれるように絡まったものを解くような治療だけだ。


 記憶を消すだとかいうのは俺の得意分野だけど、ノアを蝕む記憶は“ノア”という人間を構成するものに刻まれてしまっているから、俺には消せない。


 それこそあの神がエルピス(チャラ男)にやったという自分自身(ルスという神)の記憶全てを消す、というのと同じようなことになってしまう。あの男にとって神は全てだったから。流石に俺はそこまでのことはできない。


 わざとじゃない、何度もそう言って謝って、ノアに治癒魔法をかけた。治癒魔法は、元に戻すような効果もあるから。もちろん怪我して傷を治癒魔法で治したとしても、その記憶まで消えないから今のノアにはあまり効果はないものかもしれない。


 少しは効果があったのか、落ち着いたノアはローズを掴んだまま眠ってしまった。


 そのままお説教。


 『兄さんがちゃんと診てくれてるのは知ってるし、ノアのことそんなに好きじゃなさそうなのもわかってるし、でも自分の腕信じてるのわかってるし、兄さんのこと信用してるからノアも自分のこと任せるんだろうし、お互い嫌いではないっぽいのもわかる。私だって兄さんのことは信じてるし尊敬してるから。でもね、何にも出来てない私が何か偉そうに言えないけどこれだけ言わせて。もしノアのこと、生きること、兄さんが気に食わないからっていうだけで邪魔するんだったら私許さないから。みんなは兄さんのこと止められないよ?でも私、できるからね』


 失敗するつもりは無かった、なんて言うのはただの言い訳だけど、ローズの言う通りなのかもしれない。


 だってノアのこと、気に食わないって思ったことたくさんあるし、おそらく……いや、確実に、ノアがエルピスの魔法にかかってしまったのは、俺がノアに治癒魔法かけてやらなかったからだ。ローズと添い寝したからっていうだけで。あの時魔力もなく、抵抗出来なかったから簡単にかかってしまった。


 ローズに嫌われたくない。でも、ノアは気に食わない。ローズの言うように、嫌いな訳じゃない。でも好きにはなれない。


 シーナだって最初はローズを傷つけたから気に食わなかったけど今は普通だ。いつかノアのことも同じように思えるようになるだろうか?




◼️◼️




 ナラルさんにとても謝った。


 わかっていたことだが、流石のナラルさんも苦い顔をしていた。


 だって大切な一人息子だ。ずっと一緒に旅してて、あんなことになって。大丈夫だなんて言ってたけど、心の中ではなんで自分の息子が、って思ってたはずだ。


 俺がもっとちゃんと接してたらこんなことになってなかったのか?気に食わないからって意地悪してないでローズと同じように大切にしてたらこんな酷い目に合わずに済んだんじゃないだろうか。


 もしかしたらナラルさんだって、そう思ってるかもしれない。俺がちゃんとしてれば、魔法だって普通以上に使えるんだからやってくれれば。


 そう思われてても仕方がない。


 「本当に、申し訳ないです。許されることじゃないのはわかってます。こんな悪化させるようなこと……。許してもらおうとか、そういうことは思ってません。自分がどれほどのことをしたのかはきちんとわかってるつもりです」


 「……いや……。……シンくんは、きちんとしてくれているよ。今までちゃんと見てきたからね。俺は、今のあの子をシンくんのように楽にさせてあげることはできない。俺にはできないことをしてくれているだけで、感謝しているよ。迷惑をかけているのはこちらだからね」


 ナラルさんは絶対に、俺を糾弾する事はないだろう。いっそのこと怒鳴りつけてもらいたい。その方が楽だ。


 いい加減、俺も大人になるべきなんだ。ナラルさんのように。もう22なんだぞ、とっくに成人してるんだから大人気ない行動はやめるべきだ。いくらノアが気に食わないとはいえ、俺のしてることは人命に関わること。しかもノア、年下なんだぞ?3つも違うんだぞ?


 私情を挟んでる場合じゃない。


 「ナラルさん……一度、思いっきり殴ってもらえませんか」


 「え?一体何を言ってるんだい、そんなこと……」


 「ケジメを付けたいんです。俺、このままじゃ駄目だから。色々軽く考えすぎてるから。お願いします。もちろん、これは俺の我儘ってわかってます。ただ、俺の気持ちをどうにかするだけのことだ。でも……」


 そうしてもらわないと気が済まない。例えこれが独りよがりのことだとしても、なんの罪もないのはおかしいし。


 ナラルさんは少し悩む素振りを見せたけど、すぐにやると決めてくれたらしく、体の横で拳を握った。


 「悪いな、シンくん。おじさん加減できなさそうだ」







 後日ノアに同じことを頼んだが、命を助けられてるようなものなのに、そんなことはできない。いつもの調子に戻ってくれ、というようなことを言われた。腫れは3日続いた。


 こういう所が気に食わないんだよな……。

別にナラルさんはシンを嫌ってるわけじゃありません。

シンの気持ちに答えて、思いっきり……あれ…顎がおかしいな……。

シンは殴られた後治癒魔法は一切使いませんでした。



魔物、シーナとシンを基準にしてはいけない。あれは強い魔物。2人は化物。



感想とてもありがとうございます!!!

嬉しいです!!

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