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隠し攻略ルートは悪役の私!? 〜乙女ゲームの悪役に転生しましたがヒロインから女神と崇められています〜  作者: 絡鎖
スピンオフ!番外編!この世界の私たち。

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ifの夢

突然浮かんだんです…

現代パロディみたいなのが……

1番に浮かんだのがノアだったんですね。思い出してください。村の書庫にいた彼、服装だらしなかったこと。

基本父親のナラルさんに服装きちんとされている人なので、元はダサいんですね。ローズ目線でしかほとんどノアは語られないので、推しフィルターで良くなってますがダサいんです。そんな設定があるんです。忘れられてるようなそんなのが。

髪を伸ばしてる理由も、伸びるのが早くて面倒だから、でしたしだらしない人なんですね。


というわけで今回はノア視点で現パロではないけれど、学園パロディ気味なものです。作者による二次創作だと思ってください。苦手な方はバックを!

前後編あります。

 いつもなら何も思わなかった髪の長さが何故かやけに気になって、そのままトイレで髪をザックリと切った。


 すっきりとした前髪に満足して、後ろ髪は家で切ろうと紐で一括りにまとめる。


 腕時計で時間を確かめれば、もう講義の始まる時間が迫っていた。急ぎ足にトイレから出て、教室へと戻る。


 「……いや、そろそろ認めるか。どんな状況?これ」


 僕は、ローズ達との旅を一時的に止め、彼女達の生まれた王国の王都へ滞在している途中のはずで。シンはさっさと体治して出て行けでもローズは置いてけでもローズの願いは断るな倒れて泣かせるな、だとかでうるさいけど本気で邪魔だと思われてるわけでも無さそうだから厚かましくも彼らの家にお邪魔してしまっている。


 そのはずなんだけど……。


 僕は学生で、つい先日この崇光学園に転校してきたばかり。周囲からの印象はよろしくなく、決して楽しいとは言えない学園生活を送っている。暗くてほとんど何も話さない、根暗ぼっちな男。


 なぜそんな記憶があるのか。後者の記憶は全く知らないはずだ。でも現にこの場所はその学園で、もうすぐ講義は始まってしまう。とりあえず早く教室へ戻らなくては。


 講師はもう来ているだろうと思い、後ろのドアを静かに開け教室に入る。ドアの開く音に一瞬教室の人々は振り返るが、それは条件反射のようなもので、すぐに予習やらお喋りやらに戻っていく。


 はずだったけれど。


 「……教室間違えてない?見たことないんだけど。誰?」


 訝しげに話しかけてくる女子生徒。


 同じ教室で確かに講義を受けていた生徒だ。教室を間違えているということはない。


 交流だってあったはずだ。決して友好的とは言えない交流が。


 僕は虐められていた。ただ、暗くてダサいという理由で。確かに、目元を隠すほどに前髪は長く、後ろ髪だって肩甲骨を超すほどまで伸びている。長髪の男子は別に珍しくない。けれどこんなに暗くてほとんど話しもしない男は他にはいない。


 「い、いや合ってますが……」


 散々笑い者にしていたのに、忘れた?もしかするとこれは新手の虐めなのかもしれない。アンタ誰?なんでこんなとこいるの?知らないんだけど。そういう存在自体を弄る対象にするという虐め。


 今までだって虐めに反応することは無かった。何をされても、例えば持ち物へ落書きされたり壊されたり、若くはトイレへ連れ込まれ水をかけられたり殴られたり、後は離れた場所でクスクスと笑いながら悪口を言ったり。それでも僕は無反応で、相手をしなかったから余計に彼らを逆上させていたのかもしれない。


 僕の今までは“僕”ではなく、別の誰かが体を動かしているようだった。これまでの記憶はあるけれど、僕が虐められて無反応だなんてありえない話だから。


 「また転校生?何も言われて無くない?」


 「転校生ではなく僕は……」


 「イメチェン……じゃなくて。気分転換?ノアくん」


 女子生徒との間に割り込んで話しかけてきたのはシーナだ。出会った頃に数回見た笑顔で僕に話しかけてきている。しかも髪が長い。


 彼女は可愛らしい見た目と、正義感の強い性格で周囲を虜にしている。ここではそれが普通だけど、あのシーナを知っている僕からしたら違和感しかない。


 「……なんの冗談です、シーナ。貴女が僕にそんな話し方……」


 「はぁっ!?ノア!?これが!?ちょっ、シーナ笑わせないでよ!彼とノアじゃ天と地の差があるでしょ!あり得ないって!」


 「わ、笑わないでよ!でも本当にノアくんだもん!ねぇそうだよね、ノアくん?」


 シーナが違いすぎて気持ち悪い。怒っているというのを表しているのか両手を握り、不満げに口を尖らせている。可愛らしい仕草だが、本来のシーナはこわなことを言わないし、こんな仕草はしない。


 「そうです、ですからその表情を辞めてください。これはシンが仕掛けたものですか?彼ならやりそうだけど」


 「ほらぁ!やっぱりノアくんだった。目元見えてる方が明るくていいね。素敵だよ!」


 シーナはこんなに澄んだ笑顔をする人間だったか?


 「お前ノア!?えっ、えっ……!?」


 「そこ、うるさい。さっさと席に着け」


 女子生徒が呆然とした声を上げていると、講義の開始時間になり痺れを切らした講師が注意をしてきた。


 講師は


 「……これは夢だ。そうだ。きっと夢。それかシンに錯乱の魔法でもかけられたのかもしれない」


 シンだった。





◼️◼️





 「ノアくん。お昼一緒に食べない?」


 昼。席を立とうとする僕の前にシーナが現れ声をかけてきた。


 そんなことを今まで言ったことは無かったのに、どういう風の吹き回しだろうか。


 「なぜです?」


 「なぜって……大勢で食べた方がいいかなって」


 いきなりなんだろうか。でも僕はシーナと食べる気はない。彼女の言う通りにシーナの周りには友人たちが大勢いるし、今更その輪に入ったところで話も合わないし、美味しく昼食が食べられるとは思えない。


 それに僕には先約がいる。


 「悪いのですが、先約がいるので」


 「えっ、まっ……」


 止められる前に僕は教室から出、中庭へ向かった。




 彼女は既にそこにいた。


 柔らかな日差しの中、銀が光り輝いている。


 「……また来たの。あ……髪型変えた?似合ってるよ。前の方が可愛かったけれど」


 噴水の脇に座り、膝の上へ昼食を広げているのはローズ。肩まで伸ばした髪を切り揃え、耳の上辺りで少しだけ取って青い髪紐で結っている。


 ローズとは教室が離れている。だから彼女は僕が虐められていることをほとんど知らないし、何か察してもそれについて言及してくることはない。


 最も、ローズといても以前の僕は何を話すでもなくただ無言で、彼女の言葉を聞いていただけだったのだけど。


 「座ったらどうかな。私、今日は焼肉丼。昨日家で焼肉をして。その残りなの」


 言われた通りに隣へ座り、持ってきた包みをローズと同じように膝の上へ広げる。


 ローズの昼食はいつも“弁当”として持ってくるのに違和感があるものばかりだ。僕の知ってるローズなら持ってこないであろうものばかり。


 今日の焼肉丼はまだあり得るもので、この前は湯豆腐だった。冬になると鍋を持ってきたりする。1人用の鍋に具を入れて、小さなコンロまで持ってきて一人鍋が始まる。僕がくるとわかっているからか、鍋の時は必ず具材を多めに持ってきて分けてくれる。


 夏には小さな鉄板を持ってきていた。ロッカーに置いて帰ってるから、と言って連日バーベキュー。『買いすぎて肉の消費が大変だった』これがローズの昼食がバーベキューになった理由だそう。お昼は持ってこないで付き合って、と言われた。


 「君はいつも通りにサンドイッチか。少し交換しよ」


 焼肉丼を僕に押し付け、ローズは僕の膝の上からサンドイッチを1つ取る。僕は焼肉丼を一口貰い、彼女がサンドイッチを食べ終わるまで待つ。


 「もっと食べないの?口に合わなかったかな」


 「……美味しいですよ。けれどローズは普段よく食べるでしょう?」


 このローズの前で僕が口を開くのは初めてだった。


 目をまん丸に開き、心底驚いたというような表情で僕を見つめるローズ。


 「君、よく見てるね。でも一口じゃ割りに合わない。サンドイッチ貰ってるから」


 話せたの、とは言われなかった。でも驚いていたのは僕が言葉を発したからだ。


 「では、もう少しだけ」


 「うん。その方がいい」




 お互い無言で昼食をとり、昼の休み時間が終わる。


 いつもならローズが何か話しているけれど、今日は何も話さなかった。


 「……あの、その……ノア」


 「はい」


 ローズは俯いているため、表情が見えない。


 彼女がこんなに歯切れが悪そうに言葉を発することは初めてだ。どうしたんだろう。


 「私……そんなに食べる、かな」


 ああ、なるほど。


 ローズだって女の子だ。だから僕の言ったよく食べる、という言葉が引っかかってしまったんだ。悪いことをした。


 でも、何と答えるべきか。僕の知ってるローズならそんなこと気にしない。むしろ、最近は『大きくしないと駄目だから』なんて言ってとてもよく食べている。何を大きくしないと駄目なんだろう?


 このローズは知っているローズとは少々違うようだし、考えて言わないと。


 「普通……と比べると、少しは……食べる方、だと思います。……あ、食べ過ぎとかでは無いですよ!変に食べないより断然良いです!その方が好きですし!」


 食べる方、という言葉を聞いたローズは顔は見えないものの、落ち込んだのがとても良くわかるくらい肩が落ち込んでいた。


 言い訳のように後に言葉を繋げたけれど、全部本心だ。傷ついてなければいいけれど……。


 「本当……?」


 ようやく顔を上げたローズ。良かった、悪くは思われなかったようだ。傷ついている顔でもない。


 「ええ。本当です」


 「そっか……ふふ、よかった。そろそろ時間だ。また明日」


 安心したように笑うローズ。


 キラキラとした笑みで手を振り、自分の教室の方向へと去って行ってしまった。


 「アイツあんな風に笑えんだな」


 「シン!?」


 後ろから突然聞こえた声に驚き振り向けばシンが真後ろに立っていた。


 「おいおい、呼び捨てか〜?せ、ん、せ、い、だろ?鬱陶しい髪切ったと思ったら態度もデカくなりやがって。でも良かったな、これでボコボコにされてるお前を助ける必要も無くなりそうだ」


 どういうことだろう。


 これが夢か何かという事は当然だとしても、シンが僕にこんな優しく笑いかけるなんてこと一度でもあっただろうか。シーナ並みに変わり様が気持ち悪い。


 ここのシンは、虐められている僕を助けてくれる人だった。大抵酷いことをされているとやってきて、虐めをどうにか無くそうと動いていた。そこで何か変だと思わなかった僕も僕だけど。シンが僕のために動くなんてあり得ないし。


 それに、ここでもローズとシンは兄妹だ。でもシンの引くほどのローズへの思いは全く感じられない。どちらかと言うと、距離を置いているようにも感じられる。


 「どう言うことです?」


 「人間の心理だよ。モサくてダサい、おまけに暗くて話さない。虐めやすいだろ」


 「今の僕は違うと?」


 「ま、後ろ二つとモサいのは消えたんじゃないか?ズボンの裾を靴下の中に入れてる限りダサいのは消えないぞ。しかもその靴下の色なんだよ。赤と黄色って」


 「……これがいつもだったので気が回りませんでした」


 流石に僕でもこれがおかしいのはわかる。親父に散々、いくら旅途中で人に会わないとは言え身嗜みだけはきちんとしてくれ、おかしな服装をするな!それを趣味とは認めんぞ選ぶのが面倒なだけだろう!と怒られてきたから。


 ズボンを引っ張り、靴下の中から出す。左右の靴下が違うのはどうしようもない。ズボンで隠れるからいいとしよう。


 「いつも靴下揃えたらどうだ、って俺は言ってたけどな。左右非対称が好きなんだと思ってた。……と。昼の休みも終わるな。遅れずに教室戻れよ」


 そう言って、シンもローズと同じ笑みの表情で僕に手を振り、去っていった。彼はこの顔で多くの女子生徒を恋に落としている。


 とまぁそんなことはどうだっていいか。


 今、この状況がおかしいということと、その改善方法は全く分かっていない。


 どうしたことだか……。

夏コミ中止になりましたね……

スペース頂けてたのですが、感染拡大の方が大変ですしね…早く治って欲しいものです。


後編は近いうちにすぐ投稿します。

いつも感想ありがとうございます!!

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― 新着の感想 ―
[一言] 素材が良いのに身嗜みを整えない残念男子とイケメン先生……貴腐人の方々に見せたらアーーッ! というまに大☆惨☆事になりますぞ?
[一言] ではifでおとなしいシーナやシ(スコ)ンに代わりまして……ごほん(咳払い) オラオラ青いのこの野郎! 女神様から図々しく、かついやしくも手料理をご馳走になりやがって!! なんだそれ…
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