やっぱり好きになれねぇ〜〜!!
前に出てきた腐女子のリウとチャラ男の話です。
時間軸的には終わった後ですが、死んではいないのでその後のチャラ男もきちんと書いておくべきかなと思いまして。もちろんチャラ男が嫌いな方、悪役がのんびり過ごしてるのが気に食わないという方は飛ばすべきです。自分でも飛ばします。
チャラ男、記憶がルスに消されてるだけであってただのチャラ男(うざい男)ですし……。
お久しぶりです!私はリウ、腐女子です!毎日自分の理想郷で過ごせてホクホクしています!
製本の能力使ってたくさんの本を出した。絵本から漫画まで種類は多い。次は苦手だった小説本も出せるように文章勉強してるとこ。国でとても有名になった。ペンネームは切り身シャケ。前世と一緒。塩の濃い鮭大好きだったんだよね。ここじゃ内陸すぎて魚ほとんどないんだけど。
で、だな。
最近悩んでることがある。
「リウちゃんさぁ、ほんと男の気配ないよねぇ。あの男の子とはまた違う関係っぽいし?」
「あんたに関係ないから」
「なんでよ〜心配してるんだよ?花屋のメアリーも、質屋のアンも彼氏と出掛けてるってのに、リウちゃんったら部屋にこもって絵描いてるだけでしょ〜?お兄さんとーっても心配だなぁ」
「自分の心配でもしてれば?女取っ替え引っ替えしてるだけじゃなくてそろそろ1人にすべき」
「懐いてくれてる女の子達は捨てられないよねぇ。可哀想だし」
金髪の胡散臭い男。
なんか一時期居なくなったなぁと思ったら、戻ってきた。消えたままで良かったのに、こんな胡散臭くてだらし無い男。
定職に就くでもなく、ただブラブラしてるとこしか見たことない。チャラ男の友達のラゼルだって実家の本屋継いで店主になってるってのにコイツは何をしてるんだ。親に寄生するニートじゃないか。私はこうならないようにしないとね。
こうならないようにしようと思っても、コイツの家が隣ってことは変わらないし、親同士の仲も変わらない。仲が良くて結構。
だから必然的にコイツとは出会ってしまうから、ニートを見せつけられてしまうことになる。身近にニートがいて、それを見てそうならないように!と頑張れるかそれに釣られるかどちらかなんだろうけど、コイツが近くにいると釣られそうになる。
何故かって?コイツ、戻ってきてからもう何人も道連れにしてるんだよね。昼間から出歩いて遊んで、みんな働いてる年なのになにしてんだって感じ。仕事、大丈夫ですか?
「何又もしてる方が可哀想。浮気男撲滅運動でもしよっかなー」
「浮気じゃないよ。みーんなわかってくれてる良い子達。リウちゃんもどう?」
「死んでもごめんだね」
コイツのハーレム要因なんてなりたくもない。
そもそもこんなやつ、シーナに頼まれて無ければこんな話すこともないのに。
なんでもこのチャラ男は、世界的な宗教が関わる事件の黒幕で、世界を壊そうとしていたらしい。信じらんね。でもシーナの味方が非人道的な実験の実験台にされて、彼女の崇める女神、つまり悪役のはずのローズが狙われていたとかなんとか。『アイツを、青いのを味方って言う時が来るなんて……くそっ、くそぉおおお!!』って言われた。よっぽどノアが嫌いらしい。
チャラ男のその時の記憶は神に消されて、今はただのチャラい男らしいんだけど万が一があるから見張ってて欲しい、とも言われた。
「俺、そんな悪い物件じゃあないと思うんだけどなぁ。とびっきりってわけでもないけどそこそこ顔良い方じゃない?」
「顔はともかく、性格と無職が無理。養ってもらう気?正気?」
「そこ来るかぁ〜。確かにねぇ。言って無かったからね。リウちゃんからしたら無職なのかぁ。これでも俺、……あれ、俺……なん、だっけ……」
流暢に話していたチャラ男だけど、途中で言葉を濁らせる。何これいきなり態度変わるの無理なんだけど……どうしたの。
右手で頭を押さえ、顔を歪めているチャラ男。あーもう、こんな時じゃなくて他の時にその表情やってくれたらネタになるのになぁ。相手は男ね。女でもいけるか。あの人から離れて!あなたのせいであの人がおかしくなってるのよ!って。
「何、どしたの。らしくないよ」
「俺……いや……、……なんでもないよ。今日もお仕事〜?すごいねぇ」
しばらく何かを考えるように目を彷徨わせていたけれど、すぐにそれは治り先程までの軽薄な表情に戻った。
記憶が一部消されてるんだもんね、その認識の違いでなっちゃったとかかな?
チャラ男が今までルス教で働いていて(?)、暮らしていたなら今コイツは無職。どうやって暮らしてるんだか。やっぱり親頼み?
「そう。アンタとは違うから。じゃ、私行くわ。あんまり遅いと怒られちゃう」
「大変だ〜。頑張れ〜」
今日はシーナの仲間が来る日だったな。攻略対象を偵察に使うシーナ。流石だと思う。放置して城に行くか。
いや、来ない日でもずっと見張れる訳じゃないし、私は実際にチャラ男の別面を見てないからコイツが危険人物なんだって言われても実感できない。だからだいぶ放置してるんだけどさ。今のところ変な感じはしないし、シーナにもそこまでずっと見てなくて平気って言われてるから。
でもシーナの仲間が来るたびに、大丈夫だよな……良かった……なんて真剣そうにやってるのを見るともう少しちゃんと見ておくべきなのかなとは思ってくる。
何かあっても私が何かできる訳じゃないんだけどね。シーナが、使い方もよくわからない魔道具をたくさん置いて行ったからそれがどうにかしてくれると私は信じている。
私には本を作る事しかできないので!
「アンタも早く仕事探しなよ」
「はいはーい」
ヒラヒラと笑顔で手を振るチャラ男をその場に置き、私は城へと移動を始めた。
◼️◼️
「先生、この前“裏”で出した限定冊数の本が高値で取引されているそうです。劣悪な複製本まで出てきてるとか。いつもの先生の印が無いんですぐわかるんですけどね。そろそろ“表”でも出した方がいいですよ」
「あ〜、見た見た。なんかうっすい紙束ねたやつでしょ。あれで売れるのが謎だよね」
「少しは安くなってますからね。少しでも安い方を買おうと思うのは当たり前のことかと」
「うーん、じゃあ発売から時間経ってるやつは増版して安く売るか〜。いいもの持ってて欲しいし。“裏”のはアレ以外は全部“表”で出そう」
「了解しました。空いている時間にでも増やしておいてください。後はこちらでやっておきます」
「ありがと」
城に与えられた仕事用の部屋で、私のスケ管理をしてくれている灰色の髪の少年、リュコスと話しながら描いた本の直しをする。それが私の仕事場での仕事内容。本格的に描くのは家でやることが多い。ここで描くとリュコスに見られながら描くことになって落ち着かないんだ。
確認の終わった紙の束をまとめ、与えられた力で本にする。大きさや紙質だって自由自在。よくある漫画本のサイズで出すことが多いけど、最近リュコスが文を書くようになったから小説本のサイズでも作るようになってきている。
リュコス作、イラスト私、でね。リュコスのペンネームはリィン。女の子みたいな名前だね、って言ったら恥ずかしそうにしてたけど、本人は気に入ってるみたい。初めて本にしてあげた時の嬉しそうな顔は忘れられない。わかるよ、作品が本になるってすごいこと。淡い綺麗な恋愛モノを書いてるから巷では、リィン先生は清純な乙女だと言われている。
ちなみに切り身シャケこと私は正体不明のゴッドマザー。この国に新たな文化(BL、GL)を取り入れた者と言われている。クソ恥ずかしいんだけど。取り入れられた新たな文化がBLって。それを私がって。
時々貴族のパーティーに無理やり連れ出されるんだけど、そこでお嬢様方に言われるんだよね、『このようなものを広めてくださった先生にはとても感謝致しますわ。わたくし、毎日騎士様や殿下を見るたびにワクワクできて、とっても楽しいんですもの!』だとか『婚約者の弟が婚約者を好きすぎて私を嫌っているのですけれど、先生の作品を拝見してからそういうものなのだと思えるようになってとても嬉しいんですの。いいですわ!もっとやってくださいまし!って思ってしまうんです……私、婚約者失格ですわね。思うのは辞めませんけれど。うふふ』だとか。
間違ったものを広めてしまった感が否めない。
意外とこの文化を受け入れてくれる人が多くてよかったとも思えるんだけどね。汚らわしいって思う人も居るみたいだよ、そりゃね。だから、NLだけ描けともクレーム来たりする。聞かないけど。
「そういえば先生、この前来てたフィーンリア家の招待状、返事どうしますか?ここは御当主様含めて一家で先生の作品を読まれているようなので顔だけでも出すべきだと思いますが」
「えー……それって、繋がりとかそういうので読んでるアピールしてるだけなんじゃないの?前にもいたじゃん。話振ってもなんにもわかってなかった貴族。それなら嫌だなー。虚しいだけだし」
「いえ、発売されれば即買われて行くようで。同じものを何冊も。予約までして初版本を買われているそうですよ。これは先生の言う、がちふぁん、というものじゃないですか?」
それ本当かな。
本当なら行こうかな。パーティーは面倒だけどファンに会えるのは嬉しい。
「じゃあ、行く……かな」
「わかりました。返しておきます」
よろしくー、と適当に返事をして確認作業に戻る。
あれ?1ページ足りない。嘘、無くした!?どこだ!これは家から持ってきたやつだ。なら家に置いてきたかな?探さないと。
「ねー、このやつっていつまでだったっけ?」
「短い連載のですね。それは明日までです。どうしました?」
「1ページ無いです……」
「ええっ!?ちょっ、どこでなくしたんですか!何ページ目ですか!?この前みたいにページ数誤魔化したりしてないですよね!?探さないと!」
期限厳守公私無混同、仕事は必ず成し遂げる、がリュコスのモットー。期限厳守と仕事やるのは一緒か。時間に厳しいし、仕事中は関係ない話は一切しない。ふざけようものならすぐにしかめっ面で『先生、お給金発生してるのお分かりですか。その行動は、金を生む行動ですか。貴女の金はその行動から発生しているのですか。……金に見合った働きを期待しています』って言ってくる。最後には呆れたような、見放したような目で。つらい。
でも、そんなリュコスだから私とリュコスとの出会いがあったとも言える。私とリュコスが出会ったのは貴族のおっさんにリュコスが連れられていた時。異世界情事を見たかったんだけど失敗した。
リュコスは下級貴族の次男。ほぼ平民と変わらない暮らしをしているけど貴族は貴族だし、上級貴族には逆らえない。一応貴族だから平民より縛りがあって、平民の方が良いって常々リュコスは愚痴っている。
そんで、その上級貴族のおっさんに気に入られちゃったのがリュコスで、リュコスを雇いたいだとか、養子にしたいだとかから始まり、どれも断られると遠回しの要求ではなく直に言ってくるようになった。そう、もう事案だよね。犯罪。満足させろ、って。逆らうのか!?なんて言われたら何にも言えなくなるよね、リュコスの家的に。家を守るためにも、リュコスはおっさんに従わないと駄目だった。
そんなかわいそうなリュコスを満足げに連れていたおっさんが会ったのが私でした。
私のことは知っていたおっさん、ショタコンなのは周りにあまり知られたくないのか(実際は多くの人が知っているそう。リュコス談)、ネタにされて書かれたらやばいって思ったらしくもうリュコスには絡んでこない。家も無事。
『仕事だと思えば……それに俺が我慢すれば済むし』
なんてリュコスは言ってたけど、あの時震えてたの知ってんだからね。
で、仕事じゃないと仕事の話は一切しないし、仕事は一切持ち込まない。
「んー、たぶん家にはあると思う。無かったら徹夜で描き……直し、ます……はい。あってくれぇ!!」
一晩で1ページ分描けるかはさて置き、これで今日の分の仕事はお終い!さーて帰ろ。帰って部屋中ひっくり返して探さないと。
「では、その本は明日作業するとして。お終いですね。お疲れ様でした」
「おつかれー。あ〜早く帰って探さなきゃ……」
「……じゃあ、今日の予定はまた今度、で」
鞄に物を詰め、帰る支度を始める。
今日は本当ならリュコスと出掛ける予定だった。私から誘って、2人でぶらぶらする予定だった。結構楽しみにしてたっぽいから申し訳ない。
「ごめんよー、見つかれば行けるけど見つからなかったら無理だ……私から誘ったのにすまん」
「いいえ。いつでも行けるから。楽しみが伸びたと思えばそれで」
それでも残念そうにしてるのがよくわかる。
こんなに楽しみにしてくれてたとは……すごく悪いことした気分だ。
「じ、じゃあさ、一緒に家来て探すの手伝ってくれない?見つからなかったらリュコスの前で描くからさ……」
「えっ!?」
何故かリュコスは、私が絵を描いてるのを見るのが好きみたいで、描いてるとずっと見てくる。だからここで絵描かなくなったんだよね。ずっと見られるから。恥ずかしい。
でも今回は致し方ない。私のせいでこうなったし、今日の予定無くしちゃったのは私だし。
「元々出掛けるつもりだったし、時間は大丈夫でしょ?流石に徹夜で付き合わせはしないけどさ。お詫びだと思って。お詫びになんのかは知らないけど。それで出掛けるのはまた今度にしよ」
「で、でも。そんなことがあっていい……のか?2回も?遊びに行って?」
下級貴族で平民と変わらない暮らしをしてるけど縛りがあるって言ってたのは本当なんだな、気軽に遊びに行けないなんて。それじゃ平民と変わらない暮らしなんかじゃなくない?
「あ〜そっか、お家の事情もあるもんね。まあそこはお家の人に聞いてさ。無理そうだったら取材でもなんでも理由付けて。行こうよ」
「行く!絶対行く!!……ゴホン。と、とりあえず。今日は早く帰って探さないと、ですよ」
一瞬プライベートの時の年齢に合った顔になったリュコスだったけど、すぐに仕事の顔に戻る。ちなみに仕事じゃない時のリュコスは敬語が取れる。だからこの原稿探しは仕事とするらしい。時給出ませんよ?
はっきりしてた方がやりやすくていいっちゃいいんだけど。仕事仕様の敬語リュコスは厳し過ぎてもう少し寛容になってほしいです。締め切りとか。
「仕事として行くならお断りします。私はお詫びのつもりで提案したのに、仕事って言われたらやる気失せちゃう。描き直しても適当になっちゃうな〜これは」
「遊びで行ったらやらない気がする……けど評判落ちるのは先生ですからね。今まで期限ぴったりに出せてたのに。先生の名声を落とす手はいくらでも準備してありますから、見つからない場合、手抜きした場合、覚悟しておいてください。……じゃあ、早くいこ?」
……こっわ。
◼️◼️
「リウ!これだ!あった!」
「ほんとだ!ありがとうリュコス!!やっった〜!!」
私の狭い部屋の中、2人で見つかった原稿を挟み抱き合う。無事に無くなったと思われていたページは見つかりました!
良かったぁ、これで徹夜作業しなくて済む……!
「本当に焦ったよ、いざと言う時の脅しとして用意しておいた手段を使う所だったからな。使わずに済んでよかった」
「いや脅しで留めて?使わないで??」
「ふふ、リウがきちんと仕事をしたらね」
クスクスと笑うリュコス。
これが見られてよかった。一歩違えば『先生、まだですか?』っていう侮蔑の表情を向けられていたからね。(3回経験済み)
それにしても貴族って顔いいんですね。城で見かける人たちも綺麗な人多いし。なんだろ。向こうで聞いた、貴族は金持ってるから美男美女を買う、だから結果的に綺麗めの集まりになる、みたいなのは本当なのかな。リュコスもおっさんに目付けられるだけあって、良い顔してる。
私より5つ年下のリュコスだけど、年下には見えないくらい大人っぽくて、でも表情とか態度に年齢通りの子供らしさ、かわいさがあるのが最高に良い。笑った時の目元が好きです。
月みたいな色の薄い金髪は、見てるだけで触りたくなるくらいサラふわで、あ〜、ダメ。触るわ。
「リウ?……まあいっか」
もふもふ〜。最高。成長したらどうなるんだろう。どう成長するかわからないけど、とりあえずいいひと見つけて欲しいね。リュコスはどっちでもいけると思うから。ぐふふ。
「この後どうする?ご飯でも行く〜?」
「行く!」
城を出たのがおやつの時間くらいで、それからまだ3時間くらいしか経ってない。3時間も、というかは人によるけど。
だからご飯をゆっくり食べに行く時間くらいはある。リュコスがいつまで外出歩いてていいのかわかんないけどね。
「近くに新しく鉄板焼きの店ができたんだよね。まだ行ったことないんだけど、安いから試しに行ってみようよ」
「うん!」
家を出て数分の距離にあるその店は、新しくできた店だからかそこそこ混んでた。そして何故だか、
「やるねぇ、貴族のお坊ちゃん捕まえたのか〜」
チャラ男がいた。
「流石リウの知り合いだ。中々に個性的」
「流石って何?てかアンタここで働くことにしたの?」
チャラ男、ここで働いているらしい。注文しようとしたらコイツ来た。
服は制服らしく他の2人の店員と同じ格好なんだけど顔がチャラいなぁ。流石にピアスは外してるけど、顔面は変えられないもんなぁ。
「知り合いの店でさぁ。店出すって声掛けられてね。初日から連勤中。こんなに忙しくなるとは思わなかったなぁ。あ、ご注文は?おすすめは野菜炒め。今なら季節のデザート付き。鉄板焼きの店に来てどうして食べられないのかって?この時間は忙しくてどれも生焼けのことがあるからね。もう少し遅い時間になってから頼むことをおすすめするよ」
仕事はきちんとするらしい。まあ私たちに構ってるあいだに他の2人の店員さんが忙しそうに動いてるのは見ないことにして。
コイツのおすすめに従うのは嫌だけど、生焼けなんてもっと嫌。野菜炒めにしよ。
「じゃあ、野菜炒めで……。リュコスは?」
「俺は……あれ。混ぜ焼き」
「生焼けに挑戦とはやるねぇ。2人ともパン?米?」
混ぜ焼きは、前世のお好み焼きとほとんど変わらない。名前だけが違う感じ。
私は米、リュコスはパンを頼んでチャラ男は仕事に戻って行った。
「生焼けかもって。大丈夫?」
「忘れたの?俺の魔法、火だよ」
失念してました。そっか、生焼けでも焼けばいいんだもんね。なら私もそっちにすれば良かったかなぁ。リュコスに焼いてもらえば生焼け来ても食べられた。
「リウ、明日原稿忘れないようにね。せっかく探したのに持ってくるの忘れるとか残念すぎるだろ」
「わかってるって。デザート何かなぁ。お腹空いたな〜。早く来ないかな」
残念すぎるとか言われちゃってる私。だけどリュコスはそれ以降仕事の話はしなかった。公私無混同ですからね。
料理がくるまでは、次に遊びに行く時はどこに行きたい、だとかの話をしてチャラ男がニヤニヤしてるのを視界から締め出しながら過ごした。
「野菜炒めと、混ぜ焼きです。ごゆっくり」
料理を運んできたのはチャラ男じゃない人で、安心してしまったのは内緒です。これじゃあチャラ男が苦手みたいじゃん。苦手なのは確かだけど、苦手ってなんか負けた感あるからあいつには使いたくない。
野菜炒めはきちんと火通ってた。混ぜ焼きも大丈夫だったらしい。美味しい!って言いながらリュコスが食べてる。一口もーらお。
「貰い〜っ!」
「あぁっ!」
パンにリュコスが齧り付いてる間に混ぜ焼きを一口貰う。美味しい!前世のとはやっぱり少し味が違うけど、これはこれでいける。好きだな。チャラ男がいない日狙ってこれからも来ようっと。
忙しくない時間にね。
続きます




