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隠し攻略ルートは悪役の私!? 〜乙女ゲームの悪役に転生しましたがヒロインから女神と崇められています〜  作者: 絡鎖
スピンオフ!番外編!この世界の私たち。

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そこに弄りやすそうな髪があったのがいけないと犯人は供述しております。

遅くなりました!

時間軸は逃げてる時か、その後か

自由に考えながら読んでもらえるといいです。どちらかは決めてません。

椅子に座ったまま静かな寝息をたて寝ている、ノアの青い髪にそっと触れる。


しっとり艶々、ムカつくくらいにさらっさら。はっきり言って気持ちいい。ずっと触っていたい。


「そーっと、ですよ!そーっと!」


「ミーシャ、声大きい。起きちゃうよ」


「はっ。すみません。ふふ、ドキドキして大きくなっちゃいますね」


私はミーシャと2人、手に花や髪飾りを持ってノアの近くへ立っていた。


というのもミーシャが、寝ているノアを見て『長い髪って無性に弄りたくなりますよね』なんて言い出すから。わかるけど。


起きててもやらせてくれそうだけど、寝てるうちにいたずらするのも楽しそうでしょ?そしてなぜだかミーシャかが大量に持っていた髪飾りを装備して、今に至る。


寝息も深いからそうそう起きないとは思うんだよね。それでもドキドキする。


「よし、紐外すよ」


ノアの髪を一纏めに結っている髪紐に手をかける。


ゆっくりと引っ張り、解いていく。


「成功ですね!髪型どうします?凝ったのでもいいと思うんですよねぇ、編み込んで、お団子みたいにします?」


「根本が三つ編みで、その中心から髪出てるみたいなやつ……ってわかんないね、こう一纏めにした髪の根本を三つ編みでぐるって巻いてるやつ。あれ可愛いと思うの。その髪飾りたくさんつけてさ」


「ああ!わかりました!たぶん想像してるの合ってると思います!やりましょう」


「細かいところはお任せします……」


髪を解いたノアの後ろ姿だけでもきつい。何がって?この、この……ああ説明できない。この背中を私が見ることによって湧き上がる気持ちは私にしか理解できない。興奮してやばいってだけわかっててください。


前に立つなんて絶対無理だな。


「じゃあ梳かすのお願いしますね。ノアさんなんかサラサラですしあんまり必要ないとは思うんですけど」


ミーシャから櫛を受け取り、ノアの髪へと入れる。スーッと髪の上を滑る櫛、何これなんで絡まってないの?サラサラすぎない?


私の髪となんでこうも違うのか……攻略対象なだけあるよ、カッコいいところしかない、みたいな。そんなんじゃないのはわかってるけどさ。ノアはかっこいいだけじゃない、可愛いところもカッコ悪いところもある。


何もないところで転けたりするんだよね。この前戦闘中に転けて、焦ってたのか体勢立て直せなかったのか、地面から蔓生やして体支えてて。その時のノアのあれっ?っていう顔が面白くて面白くて……なんか笑っちゃった。


これは可愛いところかな。カッコ悪いのは……そうだ、あった。


これ本当にカッコ悪いんだけどさ、川の近くを通った時に、順番に水浴びしてこようってなったの。暑かったし、しばらく体洗えてなかったし。私は何もなく終わったんだけどノア、服を全部獣に持っていかれちゃって。追いかけたらしいんだけど途中で自分の格好(全裸)にハッとして、それで見失って。真っ裸で帰ってきたよね。『親父、ちょっと服だけこっちに投げてくれないか……?獣に全部持って行かれた……。それか、ローズがしばらく離れた場所に行ってもらえると助かります。気にしなければそのまま行きますが』なんて言って。気にするも何も今全裸!?何それ面白すぎるってのでナラルさんと笑い出しちゃって、しばらくノアは全裸で放置されていた。


途中で流石に怒ったノアが魔法を使って木の枝操作して、私を離れたところに放って服着てた。それも笑っちゃったんだよね。全裸で怒ってるよ、って。絵面がもうダメだよね。笑うしかない。ギャグじゃん。


「大丈夫そうじゃない?あ、一つに結うくらいはできるからね。他できないのでやらせてもらいます」


「お願いします」


梳き終わった髪を纏めて、頭の上の方に持っていく。ポニーテール。あれっ、何気にノアのポニーテールはじめてなのでは。いつも下だし……下、だし。いつも見えてないところが見えてて……。


「……うっ!?」


「お姉様!?ど、どうしたんですか!」


「な、なんでもないよ」


うなじは凶器。なんかエロい。すらっと伸びた余計な肉のない首筋、髪の生え際……“前”にポニーテール駄目ってとこあったの、わかる気がする。


触りたくなる。起こしちゃうからしないけど。


「あ、お姉様、やっぱり前の方の髪出して結んでくれませんか?こう、顔の横の髪出す感じで」


「了解」


ミーシャの言う通りに結び終え、場所を変わる。


できるだけ横で、真正面にはいかないように。無理だもん、ポニーテールだよ?


それにしてもミーシャは手際が良い。するすると髪を編んで、私の言った通りの髪型が出来上がっていく。


「よしっ。いい感じじゃないですか?それにしてもノアさんの髪、ムカつくくらい手触りがいいですね……男なのに。なんかこう、綺麗に保つ方法とかあるんですかね?」


「最高。ありがとう。……こういうもんなんだよ……ボサボサになるとか言ってるけどそんなの見たことないし」


絡まって困るんです。なんて、さらっさらの髪でそんなこと言われましても。


ミーシャの手によって、ノアの髪型は随分と可愛らしいものに変化した。そこまで高くはない位置でポニーテールができていて、その根本はリボンを編み込んだ三つ編みでぐるりと巻かれていて、顔の横へと出していた髪は、緩く後ろへ持っていかれている。


リボンとかもっと巻きたくなる。


「飾り付けしましょ〜!シンプルにしてもいいんですけど、ゴッテゴテに飾っても良さそうじゃないですか?」


「起きて困惑したノアの顔が浮かぶよ……」


飾り付けって言い方がまずなんか違うよね。イベントで部屋を飾り付けするとかならわかるんだけど。ノアはクリスマスツリーか何かか?


でも私も飾り付けしますね。イタズラは楽しいもん。もっと可愛くしてやろう。








●●







「親父!親父だろこの魔法!どこ行った!ちょ、ローズもミーシャも笑ってないで探してくださいって……!やったのは2人なんですから!」


「駄目、無理……格好は悪くないのに状況が状況だから面白すぎる……ふひっ……ひひっ……あははっ!」


「ナラルさん、酷いことしますねーふふっ。それにしてもそのものを固定するなんてそんな魔法見たことなかったです。土属性ってすごいんですね。回復魔法も使えますし、便利すぎじゃないですか?」


私たちがノアの髪を弄った後、やってきたナラルさんが完成品を見てこう言った。


『我が息子ながら可愛らしいじゃないか。2人もここまで頑張ったものをすぐに解かれるのは嫌だろう?よし、おじさんがいいことをしてやろう』


それからノアの頭に軽く触れ、何かの魔法をかけたんだけどどうやらその魔法は、対象の状態を固定するものらしくて。本来の用途とは違うって言ってたけどナラルさん、楽しそうだった。


本来は植物の状態を固定したり、金属生成の時に一時的に止めておくためだったりに使うらしい。もちろん上位土属性魔法に分類される。ノアはまだ使えないから解除できないってさ。


ノアにとっては災難ですね。


「あはははっ、ふふ、ひぃ、ひひっ……ふぅ、はぁ……ぶふっ……ナラルさんが、ナラルさんが……ふふっ」


笑いが止まらない。


だってこれ、ナラルさんがやったんだよ?あのナラルさんが。ノアとの親子らしさというか、父と息子ならではのノリは今までも何度か見させてもらったけどここまでのはない。セーブしてたのかな。


我が息子ながら可愛らしいって。笑っちゃう。


「やっぱりそうなんだな!親父!くっそ……」


ノアの口調が乱れてるのは、いつもなら興奮ポイントなのに今は笑いの種にしかならない。


いっつも涼しい顔してイケメン保ってるノアもやっぱり普通の人だよね。面白い。こういう剥き出しの感情っていうの?いいよね。


「可愛いし、いいじゃないですか。お似合いですよ」


「そういうことじゃなくてですね!?僕一応男ですしこういうの可愛い、似合ってるからいっか〜で終わらせられないんですよ!ていうかお似合いってどういうことです、ミーシャ!」


「そのまんまです〜!私もおさらばしますねっ!ではまたっ!」







結局、ナラルさんは夕飯の時間の途中にようやく帰ってきて、最後まで魔法を解除できなかったノアはリボンが巻かれたの頭のままそれまで過ごすことになった。


兄さんはそれ見て『変じゃないのが癪だな。なんだアイツ』って言ってた。一回笑って見直してからのセリフだからね、これ。勢いで笑ったけど冷静になったら違った、みたいな感じで私はまた笑ってしまった。

ミーシャ「今度は服も変えましょうね〜!私作りますから!」

ノア「……勘弁して」

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