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隠し攻略ルートは悪役の私!? 〜乙女ゲームの悪役に転生しましたがヒロインから女神と崇められています〜  作者: 絡鎖
第4章 悪役の私が世界を知るまで。

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世界の終焉を

チャラ男視点です

世界が悲鳴をあげるのがわかる。


創造主が壊すと思えばこんなにも簡単に世界は壊れてしまう。


(ヒト)にとってかけがえの無く、大きな存在でも神にとってはちっぽけなもの。中に生まれた数多くの生命でさえ被造物なのだから躊躇いなく棄てることができる。


ここはルス、この世界の神を信仰する場所だけあり、世界に干渉するのが簡単だった。世界の神を信仰する、ということで繋がりができているんだろう。


フルムがいた場所というのもその繋がりの1つでもあるだろう。


「ぐちゃぐちゃ、ぐちゅぐちゅ……全部、ぜーんぶ無に還す……」


俺はヒトであり、神ではない。フルム()の力を取り込んではいるが、俺は俺であるからか、少し力が使いづらい。世界へ力が通りづらい。


早く終わらせなければ余計な邪魔が入りそうだ。闇の彼女や、その周りの者たち。ルス神自身もその立場を理由に、俺を取り除かなくてはならないかもしれない。


だから否定派の者の力を借りている。不本意だが。上手く言いくるめ、協力させた。コイツらは今の俺をフルムだと思っている。


フルムが身体を欲しがっていたのはここにいる者のほとんどが知っていること。俺が来てからは、断らなければ俺が器になる可能性が大きい、というのも皆知っていた。


だからフルムの力を使い、言葉を少し真似ればここにいる無能な奴らが俺をフルムだと思うのは当たり前のことだった。


もちろん自分からフルムだとは名乗っていない。


「フルム様。仰っていたように、侵入者です。結界を破壊され、保持担当の者が倒されました。侵入者は全部で8人。1人は、器……いえ、ルス神かと思われます」


「ああ、なら急ごう。早く壊さなければ」


奴の名で呼ばれるのは不快でしかないが仕方ない。これもほんの少しの辛抱。これが終わればそんなことを考えることもなくなる。全て消えるのだから。


そういえば教皇はどこへ待機させているんだったか。


俺も存在を知らなかった隠し通路から飛び出てきた教皇は、枢機卿含め側近の奴らが全て闇の勢力に囚われたと言った。それより前にその事実を察していた俺は、それを聞いても大して驚きはしなかった。


あの教皇の力は知っている。フルム自身が神を殺すものだと語っていたから。その魔法は封じておきたい。俺はただ、世界という重荷を取りたいだけであってルス神へ危害を与えるつもりはない。否定派の目的である、神を殺すなど以ての外。


牽制には使えるもしれないが、それで何かあったらと考えるとやはり使えない。


「教皇を呼べ」


「はっ」


フルムは、教皇一家へ神を倒す力を授けたと言っていた。神と言っても本物の神(フルム)ではなく、偽物の神(ルス)のこと。これはフルムにとって、ではあるが。


俺にとって神はあの方(ルス神)ただお一人のみ。神を騙るコレ(フルム)こそ偽物の神であり、コレの言う侵略者。


フルムの言うことが正しいとして、ルス神は確かにフルムを堕とし、今の神の座についたのだろう。だとして、それに何の問題がある?そこまでの力を持っていたのがルス神だった、蹴落とされるほどの実力しか持っていなかったのがフルムであった、たったのこれだけのこと。


だから決して、ルス神は悪神などではない。


フルムが何と言おうと、否定派が殺そうとしていようと、ルス神は真の神であり世界の創造主であり、ただ崇める存在だ。


「フル、ム様。お呼びでしょうか……」


教皇がやってきた。


いつもの尊大な態度はなく、(フルム)への恐怖のみを感じる。この教皇はわかっているのだろう。フルムが良きモノではなく、悪しきモノだと。ルスとは違う神だと。


それは正しい。だが、それを察した時点でここから去るべきだった。


「ああ。呼んだ」


「どのような、ご用件で……」


「それだけどな、」


教皇へと向き直りながら強化した腕を動かす。


ずぶ、と腕が生暖かいものの中に埋まる。


「え…………?フル……これは……」


自分の胸へと埋まる俺の腕を見、教皇は戸惑った声を上げた。


急なことすぎて、理解が追いついていないようだ。別に俺は相手を痛めつけたいわけじゃない。苦痛を感じていないのなら、そのまま終わらせてやるべきだ。


入り込んだ腕の先、手の中にある心臓を、一気に握り潰す。


「アハ、俺はフルムじゃない。お前らは間抜けだ」


教皇の目を見つめ、その言葉を呟く。教皇のみへだがきちんと聴こえるように、声量を調整して。


「こふっ……っおま……エル、ピスか……だが……」


言葉の途中で教皇の目から光が消える。胸から腕を引き抜けば、体はそのまま地面へぐしゃりと倒れていった。


この場には俺以外にも人がいる。世界への干渉に協力させている否定派の者たちがいる。


ようやく事の自体に気がついた彼らが声を上げ始めた。


「フルム様……っ!?きょっ、教皇……っえ、」


「何故っ!?教皇!」


すでに息をしていない教皇へと駆け寄り、無駄な治療行為を始めている阿保の髪を鷲掴み、俺へと顔を向けさせる。


「気に食わぬから殺した。いつ、術を中断しろと言った?戻れ、同じようにはされたくないだろう?」


ニコリと笑ってそんなことを言う。それだけで顔を真っ青にし、震えながら元の位置に戻っていく。


便利だ。


協力させていない者へ命令し、教皇の体を下げさせる。それを終わらせたすぐ後、闇がルス神を引き連れすぐそこまで入り込んできたとの連絡があった。


「闇とルス神の対処をしてくる。これを進めることが一番良いことだって、考えなくてもわかるよね?」


返事を聞く前に俺はその場から転移し消えた。

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