第15話 危機感もっと持ちましょうね。だからほら!
3人で廊下に座り込み、軽食タイムになっていた。
危機感がない。
「ん、これにこれ付けると美味しいよ。ルフトくん、やってみなよ」
「僕それ苦手で……」
「絶対不味い。失敗したからって他の人巻き込まないで」
ルスはよく食べる。お腹空いてたのか、ただ大食いなのか。体はノアなんだけどな。食べられる分量わかってるのかな。食べ過ぎて気持ち悪くならなきゃいいけど。
まあノアも結構食べるっちゃ食べるから大丈夫か。
「うーん、好みが変わってる。体が違うと変わるのかな?持ち主に吊られるのか?それともこの体がおかしいから?」
そんなノアがおかしいみたいな。
おかしいってどういうことだろ。ノアは見た目は普通。何か病気あったとか……?
「薬漬けされてたからかな。ねぇボクが居なくなったあと、もしこの体が生きてたら治癒魔法かけたほうがいいよ。ボクがいる内はボクが治したから大丈夫だけど、ボクが居なくなった反動でどこか傷つくかも。よろしくね」
「……薬漬け?ねぇ、ノアがどんなことされたのかわかるの?」
「詳しくはわからないよ。ここ自体あんまりよく見えないから。でもこの体がどんな状態かはわかる。だからどんなことをされたのかな〜?みたいなのはわかるんだよね。ま、想像だけど」
私は、知りたいのかな。ノアがされたこと。
知ったとしても何かできるわけじゃない。ただ、罪悪感が増えるだけかもしれない。
なら知るべきじゃあ、ないかな。
「ノアさん、全く別人みたいになってたけど別人であってるのかな?ノアさんだけど、性格が変わった感じだったのかなぁ?」
「別人だよ。AI……じゃわからないのか。ただ命令されたことを忠実に守るだけのつまらない人格。自分で考えるとか感じるとかないの。……いやぁ、すごいよね」
地球から人もらってきたり、ゲームの人物誕生させたりするだけはある。地球の知識、あるんだね。
ダイ○ンでも笑ってたし、地球人なんじゃないか?って思う。こんな人いたら知り合いになりたくないけど。
「痛いのも感じないの?……辛いことも?それでノアさん、大丈夫なの……?」
「ああ、彼はその記憶はほとんど無くて…………ちっ、やっぱりそうだった。生きていやがったか……じゃあアレもそこで………………。面倒なことになった。ねぇ、シンくん呼んできて。急いで。ボク、グロいの見たくない」
ルフトに返答していたルスが、いきなり真剣な表情になった。
纏う雰囲気は真剣で、逼迫したようなもの。それでも最後のグロいの見たくないで全て台無しになってる気もする。
私だって見たくない、そう思ったら先にルフトが動いていた。ごめん、ありがとう。
ルフトがドアを開け中に声を掛ければすぐに兄さんが出てくる。
「今いいところなんだけど……」
「それどころじゃない。捜索組のところに転移して、すぐに戻るよう伝えて。今……うあ、駄目だ、遅かった。もう追えない。……ここの地下、さっきの牢の並んでた場所があったよね。4つ分かれてる道があるって言ってた。そこの、左から3つ目。否定派のってあの男が言ってた所。そこの奥に行って。すぐ連れ戻してきて。ボクは行けない。何も知らずに行って無事に終わるはずがない……!」
「え?は?何、わからない。さっきの牢の4つの道?そのまま転移してきたんだけど……」
「とりあえず行って!さっきの牢を戻ればわかる!……ミーシャ、ミーシャちゃん。彼女、ローズちゃんが作った魔道具持ってるね?なら追えるでしょう。早く。早く!」
ルスの剣幕に押され、兄さんはすぐにその場から転移して消えた。
何、ミーシャたちに何かあったの……?
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