救います
ほんっとうに短いです。
「穢す者がいれば感知できる……?できていない、闇があるから話が成立する……?闇など必要ない、勝手なこと……?俺は貴方のためを想って今まで生きて行動してきたのに!?なんだ、何がおかしい?何が駄目だったんだ?何があるから主はああなってしまった?」
アルカーナの国の外、国をぐるりと囲う森がある。その森には普通の人なら太刀打ちできないような魔物が多く存在し、商人などが国へ行く場合は強い護衛を雇う必要がある。
観光に行くにはスリルが多すぎるため、そこそこの実力がある旅人でさえその国へ行くことはほとんどない。
そんな森の中、大きな岩に腰掛ける金髪の男がいた。
男の周りには、息絶えた魔物が数多く転がっていた。赤い血が飛び散り、どこのものか、どの魔物のものなのかわからないほどにぐちゃぐちゃになった肉片が散乱している。そんな死の鬱々とした雰囲気など感じさせないほどに男の近くは綺麗で、静かだった。
「覚えていた。だから偽物じゃあない。だったら?闇を一時的にでも受け入れていた器を使ったからいけないのか?」
頭を抱えブツブツと呟く男にまた、魔物が近寄ってくる。
「いや、調整は完璧で、あれ以外は受け入れられるようなモノじゃあない。耐えられない。何のために前から目を付けていたんだ。危険を犯して洗脳までした。上手くいった。……何故だか弱っていたのもあるけれど、思考は一時的に正せた」
男はブツブツと下を向き話したまま、途中で腕を動かすと、近寄ってきた魔物は細切れになり絶命した。
男のブツブツいう声は止まらない。
「なら?なら何がいけない?何があの方の機嫌を損ねた?何故俺は受け入れてもらえなかった?……まだ、やはり、世界が、いけないのか?世界から、切り離さなくては……いや、世界自体が無くならなければあの方は自由にはなれない」
男の纏う雰囲気が変化した。どこか狂気的なものを含んだものに。
顔を上げ、男は笑う。
「全てわかった。もう、大丈夫です。辛いことは終わりです。俺があなたを」




