第7話 ボス戦。気に入りましたね。
走ってみんなを追いかけ、ちょこちょこ外に出て隠れて攻撃してくる人を無力化して魔力を貰うということをやってます。
人も少なくなってきたし、たぶん残るは神が来る前に見たあの教皇の周りの人たちだけだと思うんだよね。1番難敵っぽい。
いや、まだチャラ男もいるのか。
『それっぽいドア発見!よし、ボス部屋前だよ、今の内に回復休憩!』
シーナはこれ、なんかのゲームだとでも思ってるのかな?
私はただ走って飛び出て無力化するついでに魔力もらってただけなので休憩はいらない。だから中先に見てこよう。
この街の中ならドアなんて意味を成さない。影があれば入り込めちゃうんだから。ドアの所をそのまま通り抜けて、中へ入る。
「ほんと不思議だよね、地面はあるのに壁はない。どんな仕組みにしたんだったか……」
私が嫌だと言った表情が出ることは少なくなったものの、気になることがあるたびにこの空間を弄ることはやめない神。やめて。ていうかなんで私に着いてくるの。外でみんなといればいいのに。
「魔法を作ったのも君なの」
「そうだよ。この世に存在する全ての魔法の仕組みを作ったのはボク。だからどんな魔法でも知ってるよ。覚えてないのもあるけど。新しく作り出された魔法、なんてあるでしょ?でもあれもボクが世界に設定したから作り出すことができたの。発見されてなかっただけ」
へぇ〜。……じゃあ自己流の魔法!とか言って喜んでた過去の偉人たちなんか可哀想だな。私の場合は自分発!じゃなくて嬉しい。何故かって?だってイタさ軽減されるし……。
「この世界の魔法全部。凄い頭使いそう。君は……」
「ふふ、その呼び方新鮮。ねね、ルスって呼んでよ。ボクの識別名は君、じゃないからさ」
私の他人称奪わないでよ。それにルス、って留守みたいでさ……嫌だ。
でもまさか神だなんて呼ぶつもりはないし。例え実際にそうだとしても。
「気が向いたら。……あ。やば」
この人と話してたせいで部屋の中にいた敵に思いっきり魔法干渉されてるのに気がつかなかった。街の影が陽炎みたいに揺らめいてる。
魔力はたくさんもらったからね、たっぷり使って補強。バッチリ。
私の抵抗により干渉してきてた、前と同じ人が弾かれて床に尻餅をつく。服装も動きづらそうなので変わらないから起き上がれそうにない。
『……チッ、使えないですわね。もう1つ最新世代の検体がいたはずですわ。神の器の前の世代。それ、呼び出せないんですの?』
『変わんないよ。こうなったら数で勝負かな。すぐそこまで来てる洗脳希望のヒトたちもいるし。君達も出し惜しみしないでね?ねぇ、出さなくても檻でいいからしてよ。教皇様、少し煩くなりますが、その程度お許し頂けますね?』
『どうせすぐに終わるんだろう……』
洗脳希望のヒトたちもって、兄さんたちのことだよね。させない。
自分自身に魔法をかける。戦う準備しなきゃ。1人で勝手に始めるわけにはいかないから兄さんたちにも知らせて、
「あ〜、どうする?この部屋の影に閉じ込められたみたいだけど、壊そうか?シンくんたちが呼んでるよ」
「え?」
私の街が閉じている。
何本もの影が部屋の中に生え、大きな檻のようになって、この空間から移動できないようになっている。外には出られるみたいだけど、それこそ敵の望み。
壊せそうにない。壊せたとしてもたくさん魔力使う。その後がどうしようもなくなる。詰んだっぽい?
待てよ、この神今壊そうか?って言ってたな。
「壊せる?やって」
「おっけー、任せて」
できるのならやってもらおう。
そして早く兄さんたちを呼んで、ボス戦だ。
「あれ?……うっわ、嫌なのが見える」
「おっひさ〜!リウちゃん元気だった〜?」
「今この瞬間に元気無くなった」
「あっは酷い。ね、おじさんとおばさん今家にいる?」
「……いるけど……何か用?早く帰ってもう来ないでね」
「うん、しばらく会えないと思うからその挨拶に。また会えたらいいな。全部が変わった後で」
そういってチャラチャラしたあの男はキラッキラの金髪を煌めかせて去っていった。
よくわかんない男だったな、やっぱり。
会わなくなるならいいんだけど。
さ〜、次の話考えなきゃね。




