第6話 いざ、戦いの場へ……まだ戦わないですね。
「わぁ〜、面白いね、ここ。知ってはいたけどこんなになってるんだ〜へ〜ふむふむ」
「ああもう……かき混ぜるのやめて。気持ち悪い」
影の中。私は神と一緒にいた。なぜかって?勝手に入り込んできたんだよ。
私が覗きに行った教会のでっかい建物の中に直転移して、すぐに魔法が飛んできて、兄さんが結界を張り、シーナとミーシャが風と火で辺りを吹き飛ばしながら燃やし、私は怖……と思いながら影の中に引っ込みました。
隠れて攻撃してきた人を探そうと思って。
こっちが結界張って守れるのなら、向こうだって守れるに決まってる。だからシーナとミーシャの攻撃が絶対に効いているという確証はない。確実に、潰さなきゃ。ルス教光の聖地だからね。たくさん光属いそう。
そうやって探して、シーナたちに先を越される中なんとか1人を闇で無力化させた後に神参上。
私の魔法に割り込んできただけじゃなく、中身を確認するみたいに弄ってくるの。他の人が干渉するとここの維持が難しくなるんだね、よくわかりました。やめてください。
「ごめんごめん。闇って少ないじゃん?関わろうと思っても気がついたらもう居なくなってるんだよね。光はここの宗教に保護されるけど、闇は迫害対象だし。だからこういう魔法があることは知っていても実際に見ることはなかったんだ」
だからといって私の魔法を妨害する理由にはならない。
こんなことで何か失敗してまたヘマしたら兄さんに怒られるだけじゃない、これから自由に生きていくことさえできなくなる。私の人生がかかってるんだから……!
「……あの、ノアの顔でその表情できたらやめてほしい。怖くなる」
「その表情って?」
「上から見下ろしてるみたいなのと、ニヤッ、って挑戦的に笑うの。ノアならしない表情されると、もうノアはいないんだなって……思う、から」
本当に戻ってくることはないんじゃないかと。そう感じてしまう。だから怖くて、悲しい。
こんなこと感じてる場合じゃないんだけどさ。今はただ、目の前のことに集中しないといけないんだけど。
「あぁ、あぁ。ごめん、癖なんだよね。人とは絶対的に違うわけだし、同じ立場には絶対に立てない。だからかな。立ち位置が違う、って感じながら接してしまう。ま、神だし。できる限り気をつけるよ。あ、彼がしていたようにしようか?いや、しますか?だね?」
「……っ!?ノアのこと、知って……!?」
「もちろん。みーんなのこと知ってるよ。だってボクは神だ。この世界の創造主。把握していない所もあるけど……向こうのゲームの登場人物は別。確実に把握している。だからホラ、みんなもう移動してますよ。僕たちも行かないと」
え……?
ゲームの、登場人物って。
世界の神ならそれもあり得る?地球から、多くの乙女ゲームの内容を持ち込むこと。設定を与えること。
神ならそんなこと簡単か。
「なら、転生者も……!?」
「ああ、そうです。向こうの世界から適当に貰って。あの世界の神、人類増えすぎた〜貰って〜っていろんな世界の神に泣きついてるんです。普通の神なら貰うなんてしませんけど、僕普通じゃないんでたくさん貰ってるんですよ。普通じゃない仲間はいくつかいましたしね」
世界には、神がそれぞれいて……地球の人口が増えすぎたから地球の神が他の世界の神に人をあげて……?わからなくなってきた。そもそも人の譲渡なんてできるのか。
え、私たち神に殺されたとかじゃないよね?
「そのために殺されてたりは……」
「あはは、しないよ!そんな酷いこと。ボクが指定したのは30代までで死んでしまった人。ゲームも知っているし、ふぁんたじー?もわかるからね。馴染みやすいでしょ。そろそろ本当に行きましょうか。置いていかれてる」
指定までできると。
神がいるから私たちも存在しているんだろうから、そんな増えすぎた猫の飼い主探しみたいなやり方でも文句は言えない。
わけがわからないけど本当に置いていかれてる。行こ……。
「ノアの真似なんてしなくていい。下手くそ」




