第2話 要は新興宗教ってことですね?
私が帰っても兄さんたちは戻って来てなかった。おかしいな、戻ってくる途中でルス教の人が肯定派が出した部隊が全滅したとかなんとか言ってたんだけど兄さんが対処しに行ったのってそれじゃないの?
なんでも、ルス教は否定派と肯定派と中立で対立してるんだって。急いで戻る途中で軽く聞いたくらいだから何を否定してるのか肯定してるのかはよくわからなかった。神がなんとかとは言ってたんだけどなぁ。神を否定は流石にないだろうし。
「良かった無事だった。もうほんと……私が女神からの頼み断れないってわかっててやってるよね……やめてほしい……断らないけど……」
「……なんかごめん」
女神。
シーナは良く女神って言う。わかってるけど、私に向かって。私のどこが女神なんだろう。
いや、私じゃないのかもしれない。シーナは、“ローズ”を女神と見てるんだ。私はローズだけどあのゲームのローズじゃない。シーナって、私があのゲームのローズだと思ってるから私たちに協力してくれてるのかな。
……だったら誤解を解くべきかもしれない。私は転生者で、ローズだけどローズじゃないってことを言うべきかも。ゲームのローズだと思って協力してくれてるのなら、そうじゃない私なんかのために命かける必要はない。
今まで騙してきたの、って言われるかもしれないけど……仕方ない、シーナだってあんな変なことばっかりするのが悪いし。言い出せるわけない。
「ていうか遅くない?もうそろそろ戻ってくると思ってたんだけど……」
「それもそうなんだけど。シーナ、話がある」
「え?なになに?また頼み事?特攻したいとかはやめてもらいたいなぁ……なんて」
違います。
シーナの腕を引き、みんなから少し離れた所まで移動する。これで聞こえないかな?
「え〜なになに?他の人には言えないようなの?何?戦地で言うこと……はっ。ようやく頂点として君臨してくれる────」
「あの、一言で済ませる。シーナは、転生者。私も、転生者。私をゲームのローズだと思って協力してくれているのなら、もう大丈夫。命張らなくていい。今まで黙っててごめん」
「なんだ……そんなことか……え?そんなこと?それ前にローズちゃん自分で言ってたのに……?」
え?
言ってた?転生者って?いつ?覚えがない。
「嘘。いつ?え?言った?」
「うん。……あ。そうだったローズちゃんまったく覚えてなかったんだった……。じゃあ今の無しで。はい。…………ええーてんせーしゃだったのー!」
棒読みすごい。
覚えてないって何?怖いんだけど……そうだ、一回お酒呑んでその日の夜の記憶がない時があった。もしかしてその時?そんな時から知ってたの?
でも協力してくれてるの?
「えっ……と。その。なんで、協力してくれてる……んですか?シーナ、はあのゲームのローズが好きってこと、ですよね?私、違うのになんで……」
「あぅ……敬語は……やめてください……敬語は、敬語は私が使うべきなんです……ほんと。ご本人が前にいてそのまま言うなんて恥ずかしいのですがお望みならば仕方ありません。私、女神教……つまりローズちゃん、いえ。ローズ様を頂点とした宗教の教祖です。信者数2人」
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え?なんて?
「も、もう一回わかりやすくお願いします」
「敬語はやめて今まで通りに話して!女神大好き!大好きなお仲間は後2人いるよ!」
敬語をやめてほしいことくらいしか理解を受け付けられなかった。




