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隠し攻略ルートは悪役の私!? 〜乙女ゲームの悪役に転生しましたがヒロインから女神と崇められています〜  作者: 絡鎖
第3章 悪役の私の兄が世界的な宗教をひっくり返す。(予定)

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第51話 私、死にたくないんです。

『ごめん遅くなった!』


声が聞こえた次の瞬間、ノアの目の前を何かが高速で通り過ぎ、鎌を操っていた状態のノアの動きを鈍くさせた。


『お前どこ行ってたんだよ!連絡無いと思ったら……なんでそんな服着てんだ』


『ごめ……はもう言ったから言わないけど!仕方ないでしょ!こんな所で最善手なんてわかんないし。もうアレクたちには指示出してきたから。とりあえずこれで青いのは止められるからやっちゃってよ!』


現れたのはシーナ。ノアの着ているのとは違う形の真っ白な服を着て、胸元に銀のタイピンみたいなのを付けてる。ノアのとは違って変なベルトみたいなのは付いてない。全身真っ白。だからこそ胸元のそれがとてもよく目立つ。


何か手に握ってるなぁ、って思ったらあの魔道具だった。いつの間に。


兄さんは驚いてはいたけど深く追求することなく動きの鈍ったノアを対処し続けている。


『君は新しく来た……ああ、信心深くて物凄いって聞いた子だ。ところでどうして“ソレ”知ってるのかなぁ?俺、君に話したっけ?』


『どうでもいいでしょ。わかるのは、あんた達が無能で阿呆ってこと。他の信仰対象を信じる者を信心深いとか言っちゃって!ま、合ってますけどぉ?』


嘲笑うようにチャラ男を見るシーナ。兄さんはノアを地面に押さえつけている。


黒い鎌は消え、白い服は血だらけ。さっきまでは汚れもなく真っ白のままだったのに。対する兄さんは汚れてはいるけど怪我は見当たらない。


兄さんやり過ぎじゃ……。


傷だらけに見えるけど、ノアの表情は最初と変わらず無表情。得意げだったチャラ男は苦々しいような顔してそれを見てる。


『48番、再調整だ。帰るよ。……と、それ、返してくれない?困るんだよねぇ、それないと』


『やだ。ローズちゃん、居るでしょ!これしまって!』


シーナがチャラ男に向かって、べー!と舌を出し、いきなり勢いよく地面の自分の影に向かってノアから取った魔道具を投げつける。


それを見て私は慌てて影の中へ魔道具を入れた。危ない。壊れる所だった。


『チッ……面倒なことを…………影への干渉……する、しかないか。おいで、48番』


チャラ男がノアへとそう声を掛けると、ノアは抑えつける兄さんの腕の中から消え、チャラ男の横に現れた。転移だ。ノアがしたのか、チャラ男がしたのかはわからない。


ノア、わずかにフラついてるように見えるけど、怪我酷いんじゃないのかな。あ、足元に血が溜まっていってる……。


駄目、行かせたら。


その場から近かったシーナの影から上半身だけ出し、声を張り上げる。


「ノアっ!ねぇ、行かないで!怪我も酷いし……ノア、聞こえてるんでしょう!?私────」


「ねぇ魔道具。返して」


反応のないノアへ言葉を続けようとした時だった。目の前が遮られ、ノアが見えなくなる。何かを突き飛ばすような音が聴こえて、次の瞬間には首を絞め上げられ影から引きずり出されようとしているところだった。


チャラ男が私の目の前まで転移してきたらしい。


「かふっ……」


首へチャラ男の指が食い込む。苦しさより、食い込む指の痛さの方が大きかった。


魔力が続く限り引きずり出されることはないけど、酸欠で意識が無くなる方が早そう。そのまま絞め続けられたら死にます。


「お前……っ!」


兄さんが来ようとしているけど、チャラ男が何か魔法を使っているのか近づくことができていない。ああ、さっきの飛ばされた音はシーナが突き飛ばされた音だ。姿が見当たらないから。


「48番、右腕を切り落として」


低い声でチャラ男がそう呟く。


一瞬後、自分の首を締め上げるチャラ男の腕を、どうにか離そうと掴んでいた右腕がボトリと地面へ落ちる。


「っ……ぁあ”あ”っ……!」


熱さの後にやってくる激痛。気道を塞がれているから悲鳴も満足に上げられない。


「両腕無くしたくなかったら、今のうちにあれ渡して。そうしたら今は見逃す」


感情の籠らない声音で、私を人として見ていないかのような冷たい眼差しで、チャラ男が言う。


────怖い。


相手は敵で、強くて、もしかしたらこのまま殺される……やだ、死にたくない、こんな死に方前世より嫌、殺されるなんて嫌!


今にも飛び出そうな悲鳴はチャラ男へと塞がれ、代わりに出てきたのは涙だった。


「はぁ?なんで泣くの?例えここで殺されても光に殺されるなんて光栄なこと、他じゃ経験できないよね?なら嬉しくて笑うはずでしょ。なんで泣くの?……もういいよ、48番、左腕。次は脇腹を抉るから」


痛みと恐怖に支配されながら、左腕にくるはずのものを覚悟した時だった。


「させるかぁぁあああああ!」


「させないよ!」


バチバチッ!と周囲に光の魔法とは違う光が発生する。左腕は、残ってる。


チャラ男がそれに気を取られて指の力が一瞬弛み、兄さんが物凄い形相でチャラ男をぶっ飛ばす。


気が動転していた私はチャラ男から解放された途端、影の中へ戻っていた。


「ぁぁぁあ”あ”あ”!!痛い、痛い痛い痛い痛い痛い痛い!!やだぁ!死にたくない!あああああああ”あ”あ”あ”あ”!」


外で兄さんが私を呼ぶ声が聞こえる。


でも、外は危ない。無くなった腕が痛い。外はまた痛い目に合うかもしれない。


死ぬような目に、合うかもしれない。


そんなの嫌だ。腕は痛い。出血は止まらない。このままにしたら死んで……。


「いやっ、嫌だ、死にたくない!まだ、まだ私……っ!」


どうしたらいいの?どうしたら治るの?どうしたら死なずに済むの?


そうだ、チャラ男が言ってた。魔道具を渡せと。そうしたら見逃すって。


外に、出なきゃ。


1番近い影は兄さん。兄さんの影から外へ出て、チャラ男を探す。


「渡す、渡すから……っ!嫌、死にたくない……死にたくないの……っ!腕、腕を……」


「【神の奇跡(テラス)】やめておけ。大丈夫、大丈夫だから」


腕の痛みが消える。


暖かい温もりに包まれる。


「シーナ、動けるな。一旦引く。お前も来い」


ほんの少しのやり取りの後、私たちは転移した。

昨日は投稿無しですみません。


この流れで楽しんでいただけているのか悩んでしまいまして……。一応、今までふざけていたわけですし、それを目当てに読んでくださっている方からしたら面白くないのかなぁ…とも思ってるんです。もう少しかんがえます。

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