第44話 教祖は愛を持ってルス教を騙す
シーナ視点
私、シーナ!
ただ今絶賛ルス教信者としてとてつもない思い違いをされている真っ最中!
おかしくておかしくて、今にも笑い出しそうです……。
「だから君を推薦しようと思っていてね、まぁ少々信仰心が強すぎる……いや信仰心はいくらあってもいいことだね。これを持って本部へ行くといい。認められれば教皇様に会えるかもしれないよ」
「本当ですか!ありがとうございます!」
まさかさ、私の信仰がルスじゃなくて女神だなんて思ってないんだろうなぁ、ここの人たち。
私は信仰心の高さから、シスターさんたちだけじゃなく大司教とも仲良くなって、あ、もちろんこの大司教は前のあのクソ司教とは別の人。何人かいるんだって。
ま、こんな宗教入ってるんだからクソに変わりないんだけど。
それでね、闇は女神を悪く言うこのルス教だと思ってずっとここの人たちと関わってきたらさ、本当に熱心な信者とか言われて私ちょっと有名になってる。不味かったかな。
それで、仲良くなった大司教になんか紙もらった。推薦状だって。なんの?
封をされた状態で渡されたからなんて書いたのかはわからない。
これ持ってけば教皇に会えるんだって。本部っていうのはね、1番おっきな建物のこと。建物っていうか、塔っていうか、城っていうか。そこに教皇住んでるらしいよ。私は入れないんだけど。
大司教とか、偉い人しか入れないんだよね。流石にそこに押し入るなんてことはしない。私でも無理そうだし、そんな危険な行為しませんよ。それで女神が危険な目にあったらやばいし。
「これで!ようやく!大きな一歩と!言えるのではないでしょうか!!」
本部なんて言われてるくらいだし、そこ行けるようになればルス教の全体が見渡せそうだよね。隠してることとか知れそう。やったわ、私流石だわ。
でもこれがもし罠だったらどうしよ。
私が他のもの信仰してるってバレてて、教皇のとこいったら捕まるの。最悪じゃん。
……ないか。
そこまでするのなら今捕まえるよね。周り敵ばっかりなんだし、私逃げられないし。
じゃあ安心して行けますね。
「フッフッフ、悪いなシンよ。私が重要な情報を持って行くだけだとは思うなよ。一足先にルス教の闇を暴いてくるからな!」
●●
推薦状を持って、本部まで来た。
ここに来る前、なんか信じられないことに青いのが拐われたらしいって情報が入ってきた。私とは他の方法で情報収集してるアレクから教えてもらった。なんでも昨日の夜消えたらしい。
いやでも青いのが?あり得なくない?青いの、あれでも結構強めよ?私には及ばないけどぉ?顔はまあ女っぽさあるけどそんじょそこらの人に負けるほど弱くないよ?男だよ?女神奪った男だよ?クソっ。
でもまあとりあえず私は本部に行かないと。
青いのは自分でどうにかしてください。私は女神に頼まれない限り青いのに手を貸すつもりはない。
何か狙いがあってのことかもだし。そっちはシンがどうにかしてくれるでしょ。
そんなことを考えながらだったけど、何にも言われることなく中に案内された。なーんにも疑われてる様子ないんだけど。ルス教の信者として、自分たちの仲間として思われてる。話しかけてくる内容だってそうだし、態度も信用しきった感じだし。
すごいね私。……いんやこれも罠かも。用心しなきゃ。
「……あぁっ!?」
待って、今、今、青いのがいた……?なんかぐったりして運ばれてる人居たんだけどまさか……ね?でもあの憎っくき青い髪を私が間違えるかな?
間違えないね。因縁の相手だし。アイツマジで拐われたんか。アホじゃん。何したんだ。男の肩に担がれてたよ。あ、もしかして、そうやって内部に入るのが目的だったり?しない?しそう。
なら本当に放っておいて大丈夫じゃん。私が何か手出しておかしなことになっても悪いしね。ま、ヤバイのならシンに助けを求めるんだな。助けてくれるのか知らないけど。
次話もシーナです続きます




