第40話 だから今日のとこはスクワットですね。
後で兄さんに聞けば、
『まとめて認識変えればいいだけだろ?簡単なことだ。ただ、俺の力以上の抵抗力が向こうにあれば厳しいからさ。まとめてやったとして、どれだけ魔力を使うか……っていう』
って返された。そりゃ反対するよね、んな無謀な。
兄さんが強いのはわかってる。魔法だってすごいし、剣だって騎士なだけあってとても綺麗に使う。まあ素人の私が見て、だけどさ。平民から騎士になるのってだいぶ難しいこと、って聞いたから強いはず。じゃなきゃあんな自身どこから出てくるんだってことになるしね。
私はどう?
魔法はまぁまぁ。身体能力はそこまで高くない。最悪影の中入って逃げるしかできない。中に入ってるのに魔力使わないからずっと入ってられる。時間経過はあるけどほぼ無敵だ。それしかできないけど。
闇の魔法、使い用によってはものすごく強そうに見えるんだけど、私に戦闘経験が無さすぎて何もできないんだなこれが。宝の持ち腐れだ。
そうだよ、宝なんだよね。私がもっと上手くこの魔法を使えれば化けるはず。魔力量だって元々多いし、この前魔物を影のダ○ソンで吸収してから増えた感じがする。
あのダイ○ン、吸収するものを指定するとかできないのかな。魔力だけ、とか体力だけ、とか。魔力だけ奪って攻撃手段無くして、体力奪って疲れさせる。わざわざ殺さなくていいじゃん、私だってそれで済むのならそうしたい。
村では、飼ってた鶏締めてるの眺めてたことあるし、牛みたいな大きな動物解体するのも見てた。だから命を取るっていうことは前世より身近にあった。
殺す、っていうことに抵抗はある。でも拒否反応はない。どうしようもなくなったらやる。やらなきゃやられる。この世界は前世の世界とは違う世界。生ぬるい考えだとあっという間に死んじゃう。死にたくないし。せめて前世よりは生きたい。
それを楽しむことはしないよ?私サイコパスじゃないし、闇属性の先輩たちの歩んできた道を辿ることはしない。それは破滅への道だ。
「うーんそれにしてもやる事がない」
今日は私と兄さんで留守番。兄さんはまた寝てる。私と話してる途中で寝ちゃった。
少し顔色が良くなかったから、たぶん昨日も寝てないんだと思う。いつも何してるんだろう。気になるけど教えてくれないんだろうな。ローズは気にしなくて大丈夫だから、って言われるに決まってる。
兄さんがそういうのなら私は気にしない。任せます。
筋トレでもするかなぁ、少しでも何かできるようになりたい。
「スクワットでもするかな」
このまま兄さんの寝顔を眺めてるのもいいんだけどさ。綺麗なんだよね、流石攻略対象。整ってます。肌にシミひとつないよ、すごく綺麗。触ったら起きそうだから触らないけど、絶対スベスベ。ノアが寝てる時にこっそり腕揉みに行って直揉みしたんだけど、スベスベだった。
また触りに行きたい。この騒動が終わったらしよう。それまでは我慢。
そもそも兄さんの側から離れられないし。こっそりとかも無理だもんね。外には出られない。兄さんの結界の効果範囲外へは無理。
影の中はどうなんだろう。影の中でどこか行ったら察知されるのかな。やってみる?大丈夫かな。うん、大丈夫だと思う。そこからいなくなるわけだし、中にいる限りわからないはず。
問題は入る時、か。兄さんの結界の中とはいえ流石に魔法使ったらバレそう。使う魔力少しだし平気かな?
……やめとこ、何かあったらやばいし。兄さんに聞いてからにしよう。
その日の更新予定は活動報告にてしています。
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