第31話 教祖としてのお仕事。

私は女神教の教祖シーナ。

女神を取り巻く人々は、まあ、うん。能力的にみたら素晴らしい人たちが多い。私が気に入ってるのは一握りだけど。

お兄さんであるシン。

シンはもう言うことなしだよね。私への当たりがなんか強くなきゃ。まああれだな、一時期敵って思われてたからだろうなぁと思う。私も同じ感じで接してるし。文句は無いな。一つ言うなら、ガード強すぎて邪魔。

信者の1人、ミーシャ。

ミーシャはほんといい子。能力面は心配だったけど、そもそも女神大好きってだけでいいよね。私同担拒否じゃなくてよかった。女神の精神的な味方。あのクズ(ラクス)の時もミーシャがいてくれたから女神はより一層強くあれた。ああ、あの時の女神私ちゃんと見れてないんだよね……絶対カッコよかった、青いワンピースちゃんと見たかった……。今度ミーシャに言っとこ。

青いののお父さん、ナラルさん。

ナラルさんいい人だよね、私好き。見た目は若く見えるんだよね。いくつなんだろ。いつも周りを見てて、やっぱり大人だなぁ、って思う。いくつなんだろうね。魔法の使い方も綺麗で、見習いたい。無駄がないんだよね。きっちりぴったり、必要な分だけ魔力使うの。私なんて余分な魔力バンバン出ちゃうからさ。ほんと見習いたいです。

後から入ったどう見てもあやしいセネルとエスペラール。

この2人、ほんとなんなんだろう。何がしたいんだろう。変な素振りが少しでもあれば即対処しようとしてたんだけどさ、なーんにもない。セネルもエスペラールも強いみたいだし。ま、シンが何も言わないってことは大丈夫ってことだよね。怪しい人、危険な人を女神の近くに置くわけないもん。

でもあの金髪男がなぁ。

チャラッチャラしてるしヘラヘラしてるしで好きになれない。まずあの作り物っぽい金髪が駄目だよね。女神を追い掛けて(ストーカーして)長く旅してるけど、あんな金髪見たことないね。まあ本物なんだろうけど。あとさぁ、なんかよくわかんないけどしょっちゅう青いのと女神を見てるんだよね。なんなんだろ？嫌だなぁ、変な目で女神のこと見ないでほしい。気持ち悪い。

で、肝心の青いのだよ。

青いのはさぁ、能力的にはほんと文句ないの。回復できるし、金属製生までできるっぽいし？回復はシンがいるから必要ないっちゃないけど、シン青いの好きじゃないからわざわざ青いののために治癒とかしない。でも、女神は青いの結構好きっぽい。青いのが辛い目に会えば女神は悲しむ。だから自分で回復してもらわないとさ。

あ〜気に食わないなぁ、私青いの好きじゃない。悪役として女神を村から連れてったの、まだ許してないんだから！！女神が毎日楽しそうなのは嬉しいことだけど、あの青いのの笑み！勝者の余裕みたいでムカつく！くっそぉ、本当ならそこは私の立ち位置だったのに！

……ゴホンゴホン。

でも最近はムカつかない。あの笑みがないから。うふふふふ、嬉しいことじゃないですか。ミーシャがいるからかな。良いことするね、流石私が認めた信者。階級上げてあげようかな。

そもそも女神に自分から近寄ることが無くなった。アルカーナ前の森入る前くらいからかな？うん、なんかいつもと違った。

なんだろ。モヤモヤする。いつだったかなぁ、なーんか混ざってる、みたいな時あったんだよねぇ……ま、いっか。良いことだし。

女神がミーシャと青いのに魔道具を作ったんだって。

まあ、知ってたけど。

知ってましたけど。

あのネックレス作ったの私だし。こっそりシンに石渡されて『いい感じに作ってくれないか』なんて言われて。ミーシャと青いのの分だってわかってたけど、女神へのプレゼント！って思ってテンション上がったんだよね。綺麗な石だったし、土台の金属まで渡されたから。うん、アレクに溶かしてもらって風の魔法上手く使ってそこから作った。楽しかった。でもさぁ、まさか魔道具だとは思わないじゃん？あの石、絶対高いよ。魔石、って言うんだって。

なんかね、宝石と魔石が一緒、みたいな。少しだけ加工してるんだったかな？忘れたけど。確か石ができる過程で魔力が多量に混ざって〜みたいなのをどこかで聞いた。

でも宝石って高いでしょ、魔法を込められる、魔道具に使われるような石は純度が高くて少ない。シンが女神に渡すようなものだもん、いいものに決まってる。

はぁ〜あ、ずるい。私も欲しい。

いや、私は今近くにいるってバレたら駄目なの。もしも、あの怪しい3人の中で女神に仇なす者がいたら不味いから。あの3人、強いし。あんだけ近くで話して戦って、戦力はバレてる。だから私だけでも隠れておいて、いざという時に助けられるように。だからバレたら駄目。

青いのが女神から離れたことだし、少しは我慢して事を終わらせよ。

さ、ご飯食べたら出発しなきゃ。女神たちより先にアルカーナに入っておかなきゃね。夜のうちに行っちゃいたいなぁ。

「夜だけどどうやって入るんだ？」

「飛んで」

正攻法で私が行くはずないじゃん。存在バレたら駄目なんだからさ。こっそり行かなきゃ。

「しーちゃんってバカだよね」

るーくんって最近私に酷いこと言うよね。