第29話 そろそろ敵陣ですね?
何回か魔物に遭遇して、倒して、夕方。
「うーん、間に合いそうにないねぇ〜。このまま行っても時間的に中には入れないよ。どうする?」
「どうして?時間で何か変わるのかしら?」
「おおっと、そんなところからかぁ。門が閉まるから入れてくれないんだよ、セネルちゃんとこって閉めてなかった?」
「夜は閉めてたわ!そういうことね!」
アルカーナの門は見えてる。でも、まだ木々の隙間にわずかに見える、って感じだからこのまま行ってもそこに着く頃には夜になっちゃう。だから入れない。
進むか止まるかどうするか、って感じ。
「ふむ、なら今日はこれ以上進むのはやめようか。明日からは気をつけないといけないことが多いからね、ゆっくり休もう」
2人も闇属性の人がいる中で、闇を最も嫌う国へと行く。なんて危険な行為なんでしょう。行くだけならなんとかなるとは思うんだけど、その国の国教潰そうとしてる人がいるからね……。
チャラ男によれば、すでにアルカーナはほぼルス教が治めているのと変わらないらしい。だから国を潰そうとしてるのと同じだって。
わぁ、やば。いくら小さな国だとはいえ、国は国。私たちこんなことして大丈夫?勝手に国壊してその後どうするの?
「結界張ってくる。ノア、離れてる間だけローズ頼んだ」
珍し、兄さんがノアに私を頼むなんて……じゃなくてだな。
「兄さん私そんな見てないと勝手にどこか行く小さい子供みたいな扱いされても困るんだけど……」
いやそんな実際そうだろみたいな顔しないでよ、そんなことないしした事もないじゃん。あれか?昨日止められたのに魔物倒したのが駄目だった感じ?信用問題?
他の人、誰も援護してくれない。ミーシャはナラルさんと一緒に火起こしてて(ミーシャが魔法で火付けてる横でそれをナラルさんが眺めてる。『見てください、私青色の火出せますよ、ナラルさんとノアさんの色ですね!』『本当だ。綺麗だねぇ』呑気だ)、エスペラールはセネルに治癒魔法かけてて(『今日もたくさん歩きましたね、お疲れでしょうから治癒魔法使いましょう。体も洗えませんからね、治癒魔法の次は浄化魔法で綺麗にしましょう』なんて言ってるのがここまで聞こえる。治癒魔法も浄化魔法の安売りだ)、チャラ男は倒した魔物の内、持ってきた魔物の肉を『うわこれ霜降り。俺貰お。内臓どうするかなぁ、食べる人いなさそうだよねぇ俺も好きじゃない』なんて大きな独り言を言いながら切り分けてる。
こっちにそもそも気がついてないんですね、皆さん行動が早い。
「念の為だろ。まあこの中じゃノアが、まあ、まあ……いい、かもしれないような気がしないでもない……からな」
素直じゃない。




