第22話 脱出成功ですね。
シーナとルフトが現れた!
「良かった無事だね!……っと、結界張って……よし。もう大丈夫!」
「まだだよしーちゃん。ここから出れなきゃ全く大丈夫じゃないからね?自分がいれば大丈夫って考えてるの、それじゃシンお兄さんと同じだよ?」
「わ、わかってるって」
これだけで上下関係がわかるな。
兄さんのことについてはもう何も言えない。……あれっ、それ聞いてたってことか。じゃあ姿を現さなかっただけで、近くにはいたんだね。
「ほんとかなぁ……」
「ほんとだから!出れば大丈夫。うん。とりあえず行こ?ナラルさんとミーシャはアレクが見てて、たぶんもう外出てるんじゃないかなぁ。それで、あの金髪男とローズちゃんのお兄さんが一緒になってローズちゃんたちのこと探してるよ」
わあ、兄さんとチャラ男なんて危険な感じしかしない組み合わせだぁ。
兄さんが探してくれてるのはわかる。でもなんでチャラ男も一緒になって探してくれてるんだろう?逃げててもおかしくないし、出会ってそんなに経ってない。危険を犯してまでこの国に残る必要は無いはず。
「……ふん、恩を売るってことですか。シンを落とせば後は楽ですからね」
「そんなにあの金髪嫌?わかるぅ〜、わかりあいたくないけどそれだけはわかる〜。その内女神に下ネタとか言ってそうだし……そんな汚い言葉聞かせたくないし汚れるよ、早めに潰しとくべきこれ……?」
シーナとノアのチャラ男に対する考え方、嫌いってのは同じだけどちょっとなんか違うよね。シーナの嫌は、私と同じ感じだと思う。
「どうでもいいから早く行こうよ、しーちゃん。シンお兄さんがでっかいこと起こす前に行かなきゃこの国マズいよ」
兄さんじゃなくてこの国が、なのか。
ルフトから見ても兄さんはやばいらしい。うん、私から見てもやばいなって思う時ある。
●●
無事にターイナ国から脱出できました。
シーナの魔法すごいね、門にいた兵たちの前そのまんま通ったのに気がつかれなかったし。シーナとルフトなんて、普通に話してた。気がつかれないってわかってるからなんともなく話せるんだろうな……私なんて、いつ気がつかれるかってずっとビクビクしてたもん。
「お姉様!無事でしたか!よかった、よかった……!」
「お兄さんには知らせといたからね。すぐに来るはず。私たち、もう行かないと。ねぇ、私たちのこと、3人にはできたら言わないでほしいんだ。金髪男はなんか存在知られたくないし、残りの2人は怪しすぎる。だってなんでセネル……エスペラールだって……いや、うん。なんでもない。お願いね!」
ナラルさんとミーシャに合流し、ミーシャに抱きつかれ、シーナがそれを羨ましそうに見ながらそれだけ言って、ルフトとアレクを連れて去っていった。
すぐに見えなくなったのはなんでだろう。原理を知りたいです。
「言わないで……?なんでだろ」
確かに3人とも怪しいけどさ。
チャラ男はもう全部だよね。本人にそのつもりは無さそうだけど。
セネルとエスペラールなんて少し前まで敵みたいなもんだったし。いきなり手のひら返してきたら怪しむよね。
ま、言わないだけだし、大したことじゃない。今まで伝えてないんだから変わらない。
「ローズっ!!」
「びゃっ!?」
「ああ良かった!本当に良かった!何にもないな!?大丈夫か!?大丈夫だったか!?逸れた時はもうほんと、やばいくらい焦った……もう捕まったんじゃないか、酷いことされてるんじゃないか、って。よかった……」
突然後ろから抱きつかれて変な声が出てしまった。
びっくりしたぁ……。
「兄さん!いきなり抱きつくのやめて!心臓止まるかと思った……」
「ほんとだよ〜、いきなりものすごい速さで走り出してさぁ。ついてけないよ〜」
コイツも戻ってきたのか……そのままさよならが良かったな。
「ローズが見えた途端何も考えられなくなった。お前はどうでもいいし、俺はただローズの無事を確かめたかっただけだし。驚かせたな、ごめんな?今度からは前から抱きしめるよ」
そういう問題じゃない。




