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隠し攻略ルートは悪役の私!? 〜乙女ゲームの悪役に転生しましたがヒロインから女神と崇められています〜  作者: 絡鎖
第3章 悪役の私の兄が世界的な宗教をひっくり返す。(予定)

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第21話 危機感のなさに絶望を覚えます。

最初三人称、残りはローズです。

それはとてもゆっくりで。


誰にも気がつかれないようにゆっくりじっくり時間をかけていて。


でも手間だなんて思わない。


だってこれは◼️◼️様のためになるから。


今までだってそうやってしてきているから。


ずっとずっと、そうやってきたから。


あぁ、あぁ!


愛しき我が主よ!







●●






大変なことになった。


「おいっ!こっち探したか!?」


「見たよ!向こうだ!」


「1人いたぞ!……ってお前かよ!紛らわしい髪しやがって!」


「俺のせいじゃねぇよ!金髪なんてそこらにいんだろ!」


「向こうにいたってよ!さっさと行こうぜ!誰かに手柄取られる前にな!」


バタバタと走り去る音が聞こえる。


やがてそれは小さくなっていき、この場からは話し声の主たちはいなくなったことがわかった。


「……行った、かな?」


「おそらく。気配はありませんから。隠しているのならまた別ですが……ないと思います」


「ん、なら行こう。兄さんたちと合流しなきゃ」


「そうですね」


ターイナ国。アルカーナ国の隣国で、チャラ男によると治安が悪く、ルス教が浸透している国。小さい国だから、端から王都まで行くのに1番遠い町でも歩いて1日くらいで着けてしまうらしい。馬とか魔法使ったら半日かからないって。


私たちが寄るべきではないと言っていた国。


そこに結局来ていた。


兄さん曰く、『今まで大丈夫だったんだし、やばそうならローズのは俺が隠せばいい。治安が悪いのは、それもどうにでもなる。だって俺がいるんだから』


だって。


駄目だったけど。


国には入れたんだ。何にもないだろ?って兄さんも言ってたし。でも、バレた。私が闇属性だと。数人で歩いてた人たちとすれ違った時にいきなり、闇だ!って叫ばれて。逃げてる途中で聞いた話によると、その人たちはルス教信者で、つい最近アルカーナから帰って来たばかりの人たちだと。


何かそういう訓練してきてたってことかな。


まあそれからは早かったね。こっちだ!あっちだ!囲め!みたいに。分断されて兄さんたちと逸れちゃったし。


で、今は裏通りの木箱と木箱の狭い隙間にノアと入り込み、うまい具合に影を使って隠れているという状況。


ノアが近い。なんで2人でこんな狭い所入ったんだ、って思ったよ。


片足を立てて座りその間に私を入れ、腕で隠すように覆いかぶさってきている。当たる胸板が硬くて大きくて、あんな綺麗な顔しててもやっぱり男、綺麗な長髪で女装したら絶対女の子に見えるけどやっぱり男、みたいなことずっと考えてましたね。


あと腕。シャツ越しでもわかる、異性の腕。突きたくなったけどさすがに我慢した。そんなことしてる場合じゃない。このシャツに隠された筋肉を確かめたいけど今は緊急自体なんだ!


「……ローズ、なんで僕の腕を揉んでるんですか」


「……はっ」


我慢できなかった。


しっかりしてました。


「と、とりあえず行きましょう」


「うん。わかった」


「……腕は離してください」


名残惜しいけど本当にふざけてる場合じゃないもんね。後でノアが寝てる時にでも触ってみよう。ああ、もっと前に触っておけば良かった。もっと前から知ってたかった……。


木箱の影から出る。うん、いないね。


今のうちに移動しなきゃ。


「でも兄さんたちどこにいるかわかんないしなぁ」


この国から出るのが1番いいことなんだろう。迂回して行け、ってチャラ男も言ってたし。


でも兄さんたち出てなかったら?一回出たら入るの大変そう。まず出られるかもわからないしね。


「それなんですよね。どうしたものか」


絶対に、セネルとエスペラールはもう出てそう。エスペラールが転移魔法使って。代償はあるけどそんなことどうでもいいです、お嬢様のためですから。なんて言って躊躇なく使うんだろうな。兄さんは私が止めるからその時間は躊躇してくれる。すぐ使うけど。


2人は心配ないかな。


でもミーシャが1番心配かも。兄さんといればいいけど……。


「いたよ!」


「っ!?」


男の声。裏路地の奥の方から。男……の子、の声だな。


なんか聞き覚えのある。


「るーくんでかした!ローズちゃん、無事!?」


そこに現れたのはシーナとルフトだった。

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