第17話 一緒なのはちょっと考えられないんですが。
朝、街の外。
「いや〜、女の子だったんだね〜。綺麗な顔してていいよね。俺の幼馴染の女の子いるんだけどさ、あの子は可愛い系だったから綺麗系の子と仲良くなれてうれしーなー」
私たちはチャラ男と一緒だった。
なぜか泊まっている宿も同じで、朝出る時間も同じ。行く方向同じだね!じゃ、行こっか!と言われそのままここまで来た。
「おいローズから離れろ」
「ええー、なんで?話すことも制限してるの?だからこんなお人形さんみたいにあんまり笑わないの?それともこれは俺だけ?あれ?俺嫌われてる?会ってそんなに経ってないのに嫌われちゃってる?何したかなぁ、俺」
「仲良くなったつもりはない」
このチャラ男、1人でうるさい。無視すると自分で答え出して納得してる。見た目で嫌っちゃいけないな、って私も思ったから話してたんだけど、中身と見た目、変わらない。中もチャラい。
「ローズは結構笑いますよ。それはもう可愛らしい笑顔で。普段との違いっていうんですかね。ミーシャの言うことがわかるような気がします」
「ふーん。てかさ、なんで女の子なのに男みたいなフリしてるの?そういう子とか?似合ってるけど、こう、もっと可愛いのも似合うんじゃない?」
チャラ男が何なのかまだわかってない。だからルス教に追われてることとかまだ言えてない。ていうか言えなくない?宗教に入ってる人はそんなに多くないとはいえ、ルス教の考え方はほとんどの人が肯定してるようなものだし。闇は悪だ、とか。
チャラ男が私を闇属性だと知っててもこうして話してることが不思議なんだよね。気になっただけって何だそれ。
「お姉様はなんでも似合います。似合いますけど、とりあえずあなたの目的を教えてくれませんか?ナラルさんが聞いても、ノアさんが聞いても、シンさんが聞いてもはぐらかしますよね。なんでですか?それに、さっきからずっとお姉様に絡んでますけどもしかして気があるんですか?やめた方がいいですよ。ガード固いんで」
「まさか。俺のタイプは可愛い系だし。なんかもっと、騙されやすそうな子がいいんだ。危うい感じあって良くない?」
独特の好み。チャラそうなのに、頭は良さそう。苦手要素増えた。裏で色々考えて手回してる系は私無理。敵に回った時怖くない?
「で、目的〜?俺得にそんなの無いんだけどなぁ。さっきからそう言ってるじゃん?強いて言うなら……俺、光属性じゃん?まあ色々めんどうなわけよ。知りたいことあっても、あんまりおおっぴらに調べるとバレるじゃん?バレてめんどうじゃん?だからとある国目指してて。アルカーナってんだけど。知ってる?ルス教の、発祥国。国教にもなってるって。そこなら詳しく色々知れるだろうし、調べててもあんまりおかしくないじゃん?ね?」
アルカーナ国。ルス教の発祥国。ルス教をどうにかしよう、って言って行動してるうちに何度か聞いた国名。私は知らなかったけど、アルカーナがルス教の国、っていうのは大抵の人が知ってること。ミーシャだって知ってた。
む、村にいた時はルス教自体知らなかったし!ゲームにだって出てこなかった。だから知らなくたっておかしくは、ない。ギリギリ。
そこは、ルス教が目的な私たちが目指す国。
チャラ男はそこへ行くらしい。
あれ?もしかしなくてもこれチャラ男と一緒に行くことになるんじゃ……。




