第7話 まとめますと。
「ああ、聞いてただろ?認識変えて、ローズの立場もらうって。あいつの属性は光。俺と同じ。光魔法に認識を変える魔法があって、それを使うつもりだったんだろうな。防いだけど」
あれ、闇属性じゃないのか。……それもそうだな、エスペラールは転移してたじゃん。少しちゃんと考えたらわかることだった。
ていうか認識変えるって。闇の魔法だけがそういうのできると思ってた。まあ光と闇は対だなんて言うし、あり得なくはない。
「だいぶ物騒なことになってたたんですね。なら早いところ移動した方が良さそうです。ルス教のこともありますし」
「あっ、さっき教祖……じゃない、シーナさんがそれを確かめに行くって言いにきました。後でシンさんに連絡するとも」
教祖って言ったよね。何教だ、なんの宗教立ち上げたんだシーナは。
ルス教から逃げることになって、旅の仕方は今まで通りとはいかなくなった。ルス教の手回しで街に行くと銀髪の女というだけで止められる。いや、止められないことの方が多い。男と思われてるってことだよね、いいことなんだけど心が抉られますね。あれから女物の服着てないからだと信じたい。
シーナは付いてきてるらしいんだけどほとんど見ない。時々出てくる。なんか、影の者っていうか忍者っていうか……主人に気配を感じさせないけど必ずいて、必要な時だけ出てくる人っぽい。実際それなんじゃないかな。
そろそろ髪も切ろうかと思ってるんだけど兄さんに止められ、ミーシャに止められ、後ろから出てきたシーナに止められた。3人揃って『もったいない!どんな髪型も似合うけどせっかく伸ばしたんだから!』って。
じゃあ染めよかな?って思ったけどどこでも売ってる染料は高い。安いと髪が傷むらしいし、頭皮がやばいことになるってのも聞いた。兄さんから。王国の侍女とか、貴族の令嬢とかから聞いたんだって。どんな話してるんだ、兄さん。
染めるのはお金貯まってからにするとして、今はほんと男物の服着てるしかない。バレないんだからそれしかない……それはそれで悲しいけど。
街にいる時は偽名を使ってる。あの街で名前呼んでたから知られてるかも、って。みんな偽名。兄さんだけそのままでいいんじゃ?って思ったけどあの王国、そこそこデカい国だったんだよね、後から知った。辺境に住んでたらそんなのわからんな。だからその国の光魔法の騎士の名がシン、というのも広い範囲で知られてるから名前は変えた。偽名は全部シーナが考えた。
「ふーん、了解。じゃあ行くか」
●●
途中でシーナからの連絡ががあり、ルス教にさっきの戦闘は伝わってないというのがわかった。シーナは、『私以上のがいる……私が、仕事で負けるなんて……!くっ、これが経験の差か!』と。なんのことだ。
あれだけ大きな戦闘だったのにバレてないのはあり得なくない?
シーナの、私以上ってのと、経験の差。そして戦闘相手はセネル。セネルの執事は優秀。ここから推測するに、エスペラールが何かしたっていうのが1番かな。光魔法でも闇魔法と似たようなことできるってわかったし。
でもルス教にエスペラールと問題が増えたことに変わりはないよね……。
ミーシャ「お姉様、今度は髪を染めるつもりらしいです」
シン「髪染め?駄目駄目、そうだそれっぽいこと言ってやめさせよう」
シーナ「それいい!安い染料使うと髪すっごく傷むとか、頭皮に悪影響で禿げるとか!」
ミーシャ「本当っぽくするのには……ああ!シンさんお城の騎士さまだったんですよね、そこの女の人に聞いたことにしたらいいですよ!」
シン「よし、それでいいな」
安い染料でもちゃんとしたものを選べばそういうことはないです。




