第4話 話してみます。
「そ、う。そうよ。私は、転生者……」
わずかに震える声。あーでもとりあえず発動させようとして手に集めたその魔力どうにかしてほしいな。手ずっと掴んでる私からしたらすごく怖いよ。いつ攻撃されるんだろうって。
「とりあえず攻撃するのをやめてもらっていいかな。私たち、事情があってこんな戦闘して目立つわけにはいかないから」
ルス教が情報共有早いってことはよくよく分かってます。なんどヒヤッとさせられたか……。
何か魔法使ってるのか、ていうかそもそもどこに目あるかわからないのが1番怖い。誰がルス教に関わる人で、誰が関係ないのか。
宗教怖いよ……。その宗教を潰そうとしてる兄さんも兄さんだよね。兄さんの考えにすごい乗り気なシーナも。
「貴女は。闇属性なのでしょう?」
「そう」
「……光と闇は────」
「待ってそれはいい。兄さんがおかしいのはわかってるし、兄妹で光と闇属性っていうのがほとんどあり得ることじゃないのもわかってるけど本当のことだから。でも兄さんは私を大切に思ってくれてる。光と闇が共にあることはおかしくない」
こんくらい言わないとわかんないんじゃないかな、この子の場合。ちょっと病みちっくな感じの人ってはっきり言わないと理解してくれないよね。1つの考えを教えられたらそれが全てだ!と思い込むから。
「兄?あれは、お兄様なの?兄妹で、正反対の属性……なら、ご両親は。近所の方々は?貴女は、闇属性。お兄様は光属性。何かなかったの?」
何かってなんだろう。村にあったでっかい木を黒くさせて売れそうとか言われたことかな?それともそれを見て白髪染めできないか?って言われたことかな。
違いますよね、闇ってことで忌避されなかったのか、兄さんと差別されなかったのか、ってこと聞きたいんだよね。
「辺境の村生まれだから。特になかった。でも今それ関係で追われてる」
辺境の村でも闇属性が忌避されるのは変わらないと思うんだよね。あの村がおかしいだけで。
やっぱり乙女ゲームの舞台の村、っていうのが関係してるのかな?ゲームじゃ闇属性が忌避されてるなんて設定出てきてないし。……出てきてないよね?プレイしたのが結構前だしこの世界で生きた分の時間もあるから記憶が怪しいぞ。
「そう……そう。良かったわね、離れていく人はいなくて。ようやく知れたのね、闇というだけで離れていかれる気持ち」
「謎だけど。過去の人がしたことから仕方のないことって思ってる。私をわかってくれている人はいるから」
私が何もしてないとしても、“闇属性”の人たちが悪いことをしたという歴史は変えられない。
じゃあもうどうしようもないじゃん?私1人がいいことをしようと、そんなもの広がるわけがない。身の回りの大切な人たちが、私のことをわかってくれて受け入れてくれればそれでいい。私は満足。
「……あいされてる」




