2話
目が覚めるとそこは見知らぬ天井だった。
「どこ?ここ?」
起き上がって周りを見てみる。質素ではあるが不潔な様子はない。寝ているのもマットレスは入っていなそうだがリネンのベッドシーツ。そんなに不潔感はないようだ。自分の手を見るちょっと若いかな?
っていうかもともとの自分が思い出せない。日本人だったこととかちっぱい女神のこととかは思い出せるのにどういうことだ?
前世の個人情報がすっかり抜け落ちている感じだ。
扉が開く音がした。そちらを振り向くと10歳くらいの女の子が見える。
そのまま突っ込んできて頭突きをかまされる
「ラウル!目が覚めたのね!」
抱き着いて泣いてくれているようだ。心配していたのか。
「ありがとうドロシー、少し顎が痛いけど大丈夫だよ」
自然に返事が出た。あ、そうか。この子は双子の妹ドロシー。そして僕はラウル。
確か二人で遊んでいて木に登っていたんだ。で足を滑らせて頭から落ちたということだったんだ。
返事をするとママを呼んでくる、と駆け出して行った。そうか、10歳に転生か。
いや、この場合はショックで転生を思い出したってことかもしれないな。
でもさほど文化レベルとか低そうじゃないけどどうなんだ?
中世っぽいけど部屋の窓にガラスがないってことは15世紀くらいのイメージでいいのかな?
いよくに燃えたコロンブス。だっけ?それくらいはたしか板硝子はなかったはずだよな
うーん、よくわからん。とりあえずは実地調査の後として
そんなこと思っていたらドロシーが女性と共に戻ってきた。
20代後半っぽいが少し疲れたような感じのする女性である。
母であるウィラ(27歳)。彼女も駆け寄ってきて抱きしめてくれる。
それはいいのだがちょっと力が強い
「よかった。目が覚めてくれて」
涙ぐんでくれているのはいいけど苦しい!息ができない!母娘そろって愛情が痛い苦しい!
何とかもう一度気絶の前に気づいて放してもらえました。これ父親もそうだったら今度こそ死ぬかもしれない
目が覚めた後はお小言を一通りもらい、きょうはもう一晩安静にしなさいと言われ二人は出ていった。
もちろん妹は一緒に居たがったのだが手を引かれ泣く泣くの退場であった。
さて静かになったから落ち着いて自分の貰ったスキルでも検証してみっか
とはいえ、どうするんだ?
こういう時にはステータスオープンっていえばいいはずなんだが
おお、出た出た。お約束
ラウル・シャロン(10歳)
LV 1
HP:6/15
MP:----
ATK: 4
DEF: 3
MATK: 6
MDEF: 2
INT :85
【N】 浄化
水魔法 LV5
聖魔法 LV1
剣術 LV3
探索 LV1
【R】 料理 LV3
火魔法 LV2
【SR】 忍術 LV5
【SSR】 収納魔法
【SSR】 MP無限
【UR】 召喚士 八百万の精霊
うんスキルはちゃんとあるけど なんだこの紙みたいなステータス。
それこそ木から落ちたら死ぬな。よく生きてたもんだ。
INTだけが突出して高いけど。それはおそらくこの大人の意識がそうさせてるんだろうな
そもそも85でこんなんなんだからアインシュタインとか出てくると100越えるんだろうね。
問題はスキルだ。SR以上がなんかおかしいことになっている気がするんだけど
収納魔法ってあれだよね?ストレージだよね?
とりあえず枕をもって収納イメージ。おお消えた。
出てこい出てこい。おお出てきた。
想定通りな感じなんだけど問題はこのURスキルなんだよね。
なんですか?この召喚士って。八百万の精霊ってことはいわゆる日本的なものでもいいのかね?
妖怪とか、付喪神とか、神様なんかも呼べる?
試してみっか
【召喚】 ちっぱい女神
思うと光の輪が上下に浮かびその間に光の玉が出てきた。光は収縮していくと人型となりどこかで見たような姿となっていく。
「へ?」
なんか驚いている
「お久しぶりです女神さん」
「ちょっと、ここ何処?」
「どこって部屋の中」
「部屋はわかってるのよ、何で天界にいたのに地上に降りてるの?。しかも子供に召喚されたって?」
「しー!静かに!」
なんかあたふたしている、面白いのでしばらく見ていたいけど。家族にバレると困るのでとりあえず黙ってもらい説明した。
どうやら自分のことは覚えていなかったようだがスキル11枚のところで思い出してくれたようだ。
「あ、あの時の多かったスキルの人ね。あれ以来そんなことはなかったから覚えてるわ。そういえばあの時スキルの説明忘れてたわね」
ちょうどいい、確認作業もめんどくさいので聞くことにした。
N
浄化:生活魔法。汚れを落とすことができるシャワーいらず洗濯機いらず。
部屋の掃除にも使えるけれど広さに応じMP使用
水魔法:水属性の攻撃魔法が使えるLV5は中級全般と氷初級まで。
聖魔法:回復、アンデッド浄化など。LV1はヒール、キュアのみ
剣術:剣をもって戦うスキルLV3は中級位 ただし10歳児の筋肉では十全に使えない可能性大
探索:罠解除、気配察知、落とし物捜査の複合スキル
R
料理:おいしい料理が作れます レアスキルなのでお店レベルの料理
火魔法:レアスキルは上限が上級まで開放 LV2なので今のところ中級まで
SR
忍術 :忍者になれます。といってもアメリカンムチャブリレベルで
SSR
収納魔法:ストレージを作ってそこに入れて持ち運べます。広さはMP依存
MP無限:MP使用を全く制限なく使えるスキル
「ってこれだけでそれこそ無限のストレージじゃない!」
「声が大きいよ!」
慌てて口を押える。どうやら誰も来そうにない。よかった~
「それでこの最後のスキルなんだけど」
そういって見せた瞬間女神の顔色が変わった。
「ちょ!ちょっとURスキルなんて。本来与えられるものじゃないのよ?」
肩をもってガクガク揺さぶられる
「まってまって!、くれたのは貴女!」
しばらくすると落ち着いてくれたようで説明してくれる
「このスキルは召喚の最上位スキル。神でも悪魔でも妖怪でも魔物でも、それこそすべて召喚が可能ね。
本来はもちろんあたしみたいな神様とか呼ぶには膨大なMPで発動しないはずなんだけど・・・」
「あー、【MP無限】のせいでストッパー効かないんだ」
「そうなのよねぇ。まあ基本神様も上位になると抵抗はできるから。そうおいそれとは呼べないけどね。」
「あれ?じゃあなんで呼べたの?」
「うるさいわね!、お風呂上がりでポテチ食べてのんびりしてたのよ」
「夜食は太るよ。胸じゃなくて腹に」
「や・か・ま・し・い~」
頬っぺた引っ張られてしまった。
「そういえば名乗ってなかったのにどうやってあたしを呼べたの?」
「いや、普通に【ちっぱい女神】で呼んだけど?」
「あたし、今から死神に転職するけどいいわよね?」
「すいませんでした!。スレンダービューティの女神様!よろしければお名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
必死に土下座である。文化的にあるのか知らんけどまあこれはしとかないといかんだろう
解ってくれたのか、もしくは客観的に10歳児に土下座させている自分に気づいたのか雰囲気を緩めてくれた
「もういいわよ!、次はないけどね。私はアルケーよ。覚えて居なさい」
「わかった。しっかり覚えておくよ」
そういって握手する。
「誰も来ないうちに帰るわね。また何かあったらいつでも相談しなさい。またね」
手を振りながら光にになって消えていく
やれやれ。10歳にしてとんでもない力だな。




