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八百万の精霊召喚~異世界神から日本妖怪~  作者: 那園曽 氏規
本編

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15話

家に帰って家族に報告会。まあ基本的には家に被害のない方向でというので納得していただきました。


「そういえばヒルデ姉は見に来なかったけどよかったの?」


「なんであんな奴の顔見なきゃいけないのよ?まああんたが負けてたら殺しに行くくらいはしてあげたけどね」


こわい。負けなくてよかった。

何でも一年時からつっかかってきてたそうだ。見下す割にはやたらと絡んできて何かと自分が上アピールをしてきてたそうだ。あかんやん、それ


「ただ、ヒルデ姉のこと好きだっただけじゃないの?それ?」


「まあそうでしょうね。才色兼備スーパー美少女だから惚れるのは勝手だけれどうざいだけのものに気を使う必要はないわね」


「自賛もそこまで行くと清々しいな」


「まあ正直、彼の性格に魅力がないのがいただけないわね。他人を見下す前に自らを磨かなきゃ」


まあそこはわかるね。実際今まで腐って何もできていなかったんだから。

再起に期待しときましょう。


************


次の日学院でミュゼにお礼を言う。まあ普段から友人ではあるが公式に友人と示さなきゃあの契約に使えなかったからね。


「本当は私も見学に行きたかったのですが、皆に止められてしまって」


モジモジしながら言う。


「いや、ミュゼみたいなお嬢様が行っちゃダメでしょ?。そもそもドロシーですら危ないから行かせたくなかったのに」


「ですら?」


「いや、まあ美少女はむさい男の多い冒険者ギルドなんて危ないから行っちゃだめってことだよ」


ジト目のドロシーに慌てて釈明する。それを見てクスクス笑うミュゼ。


「さすがにそこまでの無茶は言いませんわ。学院の実習の時にはお二人にお世話になるでしょうし」


「まかせて!それまでにはBランクになってるから」


「いや、どれだけレベル上げるつもりなんだよ?」


意気揚々と言うドロシーに突っ込む。君まだFランク依頼達成ゼロなんだよ?

システムわかってないんじゃないだろうか?


「それに基本、学校休みの時でないといけないだろ?依頼日数で半年後にEがせいぜいじゃないか?」


「んー。じゃあさ!ドラゴンとか大物を討伐して一気にランクスキップアップとか」


「一番ダメな発想じゃねぇか」


「えー!じゃあ、そうだ!ミュゼも一緒に行けば」


「するなつってんだろ」


紙を丸めてぽこんと頭をたたく。護衛が対象を危険に連れて行ってどうすんだ

休日にはきちんと付き合ってやるから我慢してろ


「私なら一緒に行ってm・・」


「だめだっつの」


ミュゼにもぽこん。楽しそうにクスクス笑い出した。

ドロシーと二人で不思議なものを見る目でミュゼを見る。

視線に気づいたのか恥ずかしそうにはにかんで疑問に答えてくれた。


「こんな風にお友達としてふざけあったおしゃべり出来るのがなんか初めてで楽しくって」


まあここでなきゃできないよな。学生時代の少しの間でも楽しく過ごしてもらえればいいか。


「おう、ラウル。ここにいたか」


呼ばれて振り向くと学校という場所に似つかわしくないおっさん、カーンズがやってきた。

見知らぬものが見たら猛獣襲来っぽいよな。


「なんか変なこと考えてないか?」


「イエベツニ」


表情に出てたかな?シッパイシッパイ

そうするうちにカーンズが何かを投げてよこす。

受け取るとどうやら自分のギルドカードだった。あと処理の関係で預けてたんだ。


「それとな、今日はお前、午後の授業はこっちに出なくていいから魔術クラスに行け」


「なんでです?まさか武技クラスから追い出されるとか?」


「んなわけあるか!」


げんこつ落される。児童虐待だ。まあPTAがないから耐えるしかないけどね。そもそもこれがカーンズ(おっさん)のツッコミなのだ。さっきやった紙を丸めたものと同程度なのだからどれだけの力なんだよ。


「まあ理由は二つある、一つは魔術の教官やってる奴がお前さんを見たいって言ってな」


「カーンズさんのパーティの人でしょ?そんなの抑え込めないんですか?」


「お前さんはヒルデ嬢ちゃんの暴走を止める自信があるのか?」


「あ、ごめんなさい無理です」


アッサリ謝る。ヒルデ姉に勝とうだなんて無駄なことはしたくない。それこそドラゴン討伐のほうがまだましだ。まあ討伐せずともドラゴン呼べますけどね。


「あともう一つは単純な話、きょうの授業内容が「一対多数戦闘」だからだ。お前にゃいらないだろう?」


ああ、確かにいらない。この世界は魔法戦闘もあるので意外と面制圧って簡単なんだよね。それに基本一人で狩りしてたから、その辺は問題ないな。


「じゃあさ、きょうはあたしと入れ替わりってことでどう?」


そこへドロシーが割り込んでくる。確かにもともとミュゼを一人にしないための魔術クラスだったからな。入れ替わっても問題はない。ただしこちらの都合では、だけどね。

カーンズのほうに向き目線でいいのか尋ねる。なんか鼻で笑われた気がするが気のせいかな?


「いいだろう、魔術クラスの方には俺から言っておいてやる。あと、ドロシー嬢ちゃんの体力だけど大丈夫か?」


「それは問題ないですよ。普段は家の庭走ってトレーニングしてますから持久力はあります。」


何のかんのと家の中にトレーニングルームとか作ってるんだよね。ダンベルとか腹筋台とか現代式器械トレーニングを取り入れております。


「ドロシーケガしないでくださいね。」


「大丈夫よ、全員に勝つから」


「それ心配に対する返事じゃないぞ」


そこはかとなく不安だが無事に午後を乗り切れるんだろうか?

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