8話
気絶は数分で目が覚めました。
ミュゼが回復魔法掛けてくれたらしい。
でも感謝はしない加害者だからな
「本当にごめんなさい」
シュンとしている。
「いいよ、いいよ、治してくれたんだし。ありがとう」
前言はあっさりひっくり返る。可愛いは正義だな
あとは午後まですることがないので食堂へ。
途中ミュゼが何やらお付きの人を呼んでこそこそしてたけどあとで聞くと施設壊した処理をしてくれたらしい。あ、なんかうちら兄妹が申し訳ない。謝ったら謝罪を受け取ったうえで気にしなくていいと言ってくれた。天使だな。いや女神さまだな。誰かさんより。
「それで、あの炎の猫とキツネはどうやったんですの?」
食事中にもワクワクと聞いてくる。
それにはドロシーが答えてくれた。
「うちには猫がいるのよ、アンバーって名前なんだけど。そのアンバーの猫じゃらしにするために魔法を練習してたらああなったんだって」
あきれながら言ってくる。でも最初に見たドロシーはミュゼ以上の喰いつきだったんだけどね。それこそ炎のほうに抱き着くくらいだったもんな。
ちなみに制御を教えてくれたのはアンバーだったんだが猫を作ったらダーキニーが拗ねてしまったので必ずこれをするときは猫とキツネ二匹セットで出すようにしている。
「そういえばミュゼは昼からどうするの?」
基本武技は選択制だ。女子はあまりとらないと聞くけれど。もっともうちの場合はヒルデ姉も武技をとっていたらしい。何気にどこに行くつもりの姉なのだろう?
「私はもう何もありませんけれどラウルの応援くらいは致しますわよ?」
「あたしも出るわよ」
「じゃあ、ドロシーも頑張って応援しますわ」
抱き合って喜んでいる。美少女の抱き合う姿は眼福である。
「そういえば今の主席剣士は女性の方らしいですわ。ワルキューレの異名を持つ方と聞きましたが」
「へー、ヒルデ姉といいドロシーといい強い女性が多いな。」
「ラウルに言われると嫌味にしか聞こえないんだけど」
ジト目でドロシーが言うんだがそんなことはない。剣士LV3だし何よりノーマルスキルだからね。
ただ家での手合わせは忍術スキルで剣を振っているので負けないだけで。
あれ?そういえば魔法も、剣術も、妹に負けてるんじゃないか?・・
悲しくなってきた。
一人落ち込んでいる前では二人が楽しそうに話している。まあいいか。楽しいのなら
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午後になって武技試験会場に集まった。
午前中は200人ほど受けたらしいのだが午後はさすがに120人というところか。
今年は男子の数は半分以下らしいのだが女子も武技を受ける人数が多いらしい。
何でもさっき話に出た主席剣士の影響も大きいらしい。
世間一般はともかく我が家的に女性は弱いものとは思っていないのであるのだが、世間的には女性が強いのはすごいことらしい。
今年の武技試験は教官3人主席剣士5人の8人に対し模擬戦という流れ。120人だから一人頭15人相手ですか。ご苦労様ですね。
女子は30人ほどなので主席ともう一人の女子生徒が受け持ってくれるらしい。
ドロシーはそちらに流れて行ってこちらは順番待ち。
というか、登録順らしくどうやら最後っぽいんだよね。
見ているとちらほらまともな剣筋の受験者もいる。剣術スキル持ちなんだろうなぁ。
Rの剣術だと同じLV3だともう太刀打ちできないらしいからなぁ
剣術持っていてもLV1とかだとまだまだへっぴりっぽいからね。そこは鍛えるしかないから
おそらくカリキュラム用の班分けの見極めも兼ねてるのかな、
そうこうするうち女子を見てみるとドロシーの番が来たようだ。
主席じゃないほうの女生徒と模擬戦をしているけど。レイピアをショートソードで器用に避けている。
動きが大きい割に剣筋がぶれないからレイピアで受けるのは難しいと思うんだよね。真正面に来た突きを巻き込んではじいた。あれ、苦し紛れに忍術スキルで刀使うイメージで巻き込み払いをしたんだが、悔しがって習得しやがった。あんまり強くなられると兄の威厳がなぁ・・
とりあえず勝ったので女子の方にきて労ってあげた。
抱き着いて喜ぶのはいいんですけどすいません世間の目を考えてください。
兄妹ですからねー。あやしい関係じゃありませんよー
ミュゼに注意されて慌てて離れてくれた。まあいつも通りなのでほほえましいね。
さて女子は終わったけど男子はまだ順番きそうにないなぁ。
と思っていたら肩をたたかれた。振り向くとさっきドロシーの相手をしてくれてたおねーさん
「キミ、男子の最後の受験でしょ?うちのお姫様が相手してあげるってさ、用意して」
え?主席剣士なんじゃないの?フルボッコパターンの予感が。
ほらほらこっち、と強引にひっぱって行かれた。
どうやら向こうはやる気らしく女子用に持っていたレイピアをすでにソードに持ち替えている。
訓練用とはいえショートではないブロートソードなんですけど。
流石ワルキューレ。でもここで挑発に乗らないよ。ドロシーにソードを借りる。ブロートソードに比べ軽いゆえに受けには向かない。ただし振れるなら、ね
彼女はフェンシングの面を外していない、ただニヤリと笑った気がした。それが合図。
振りかぶって斬撃がきた。片手剣ではあるが刃の部分をもってバントの形にして受け流す。数撃は両手持ちで凌いでいたら突きに変えてきた。肩も入れてタックルから入る重量的な突き。通常剣技なら必殺の間合い。でも剣術使ってないんですよ。
手刀を腕と肩に入れ勢いそのまま受け流し相手を投げる。忍術って柔術も入っているので無刀取りの入り身投げ。さすがに受け身は取れないのはわかっているので投げる直前で抑え込む形で止めたけれど。
「これで勝ちでいい?」
「ずるい!そんな技使うなんて!」
え?なんかめっちゃ怒られなれてる声なんですけど
面をとるとぷんすか怒っているヒルデ姉があらわれた。
「剣技の試験じゃないのここ!剣技以外使うなんて卑怯でしょ!」
「いや、ヒルデ姉。「武技」試験じゃないの?」
「武技ね。純粋に武技でヒルデの負けよ」
もう一人のおねーさんが取り成してくれる。うん間違ってなかったようだ。
ヒルデ姉は、姉の威厳がとかぶつぶつ言っている。いや立派にその文句のつけ方、姉弟ってわかるから大丈夫だよ。
「というか、いくら武技って言ってもヒルデの剣技かいくぐって勝つ人は初めて見たわね。さすが自慢の弟じゃないの」そう言っておねーさん、ミアンさんは笑って書類を持って行った。
「悔しいから今度は剣技一本で勝負よ。ラウル!」
なんかひきづっていかれたけど試験はしっかり見てあげようよ。残る男子とかの目線が痛い
七話にて1000PV あざっす(o*。_。)oペコッ




